銭湯ペンキ絵師・田中みずきさんの新作が見られる銭湯はここ!

特集

お風呂で“湯った〜り”しませんか?

2017/04/26

銭湯ペンキ絵師・田中みずきさんの新作が見られる銭湯はここ!

銭湯と聞いて、富士山のペンキ絵をイメージする人は多い。実は、このペンキ絵を描く絵師は、現在3人しか残っていない。最年長81歳の丸山清人さん、72歳の中島盛夫さん。そして、最年少となるのが34歳の田中みずきさんだ。日本で唯一の女性ペンキ絵師として活躍する田中さんに迫った。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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田中みずきさん

田中みずきさん

銭湯ペンキ絵師

富士の風景に思いを馳せるペンキ絵は、銭湯に欠かせない存在

「湯どんぶり 栄湯」で行われたライブペイントでの田中さん

日本で3人しかいない銭湯ペンキ絵師の一人、田中みずきさんがペンキ絵に魅せられたのは、近代美術史を学んでいた大学生のころ。銭湯をテーマにした作品に興味を持ち、初めて銭湯に行くと、たちまちペンキ絵の魅力に引き込まれたという。

田中みずきさん
田中みずきさん
「それで卒論はペンキ絵の歴史をテーマにしたんです。調べていくうちに、銭湯の数が減少していることや、ペンキ絵師も少なくなっていることを知りました。このままではこの文化が失われてしまう。それなら、描き方だけでも覚えて自分がその技をつなぐことはできないか、と思ったのが、この世界に入ったきっかけですね」

ところでペンキ絵というのは、実際にはない世界を描いていくのが一般的なんだそう。「どこの風景か」というのを限定しないことで、見る人が想像する余地を残す。だから人によって懐かしく感じたり、旅に出たような感覚にもなる。想像を膨らませながら湯船に浸かってみるのも一興だ。

田中みずきさん
田中みずきさん
「ペンキ絵は頻繁なところでは1~2年に一度のペースで画き換えます。長く銭湯に通って、その移り変わりも楽しんでいただけたら嬉しいです」

\田中さんの最新のペンキ絵が見られる銭湯はここ!/
1.稲荷湯(千代田区神田)
2.第二寿湯(江戸川区江戸川)
3.鶴の湯(江戸川区北小岩)
4.湯どんぶり 栄湯(台東区日本堤)
5.恵比寿湯(千葉県市川市)

1.稲荷湯(千代田区神田)

広告を募ってペンキ絵を描く昔ながらのスタイル

朝焼けに燃える赤富士は迫力がある

東京のど真ん中。下町の風情を残す内神田にある「稲荷湯」は、もとはタイル張りの壁だった。しかし、3.11の震災で一部が剥がれてしまったのをきっかけに、剥がれ落ちる心配のないペンキ絵に変更を決めたのだそう。それ以来、毎年絵を書き換えているという。

田中みずきさん
田中みずきさん
「周辺の商店などに広告を募り、その広告費でペンキ絵を描くという、昔ながらの形でやられている銭湯です。今ある絵は、暗い夜空から日が昇って、空が明るくなっていくところの赤富士を描きました。毎年7月ごろに描かせていただいてるので、次はどんな富士山になるかも楽しみです」

※稲荷湯では、今年も近々広告を募集するとのこと。5~6月に田中さんのブログ「銭湯ペンキ絵師見習い日記」(http://mizu111.blog40.fc2.com)にて募集内容を告知予定。

稲荷湯

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

2.第二寿湯(江戸川区江戸川)

「お湯の富士」くんの立体感に注目!

二面に分かれた壁面は、高さもあって迫力もひとしお

右端に描かれた「お湯の富士」くんは、江戸川の銭湯を応援するキャラクター。知る人ぞ知るゆるキャラで、江戸川区の銭湯のペンキ絵にたびたび登場してる。実はこの「第二寿湯」の主人が仕掛け人なんだとか。

田中みずきさん
田中みずきさん
「昔近所に相撲部屋があり、よく力士が汗を流しに来ていたことに着想を得て、力士と銭湯のシンボルである富士山を掛け合わせたそうです。お湯の富士くんを立体的に描いてほしい、というご主人の要望で、影を入れて立体的に描いています。また、雲が一番下にくるというのも稀なので、実は珍しいペンキ絵かもしれません」

第二寿湯

口コミ・写真など

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3.鶴の湯(江戸川区北小岩)

奥行きのある壮大な風景に思わず引き込まれる

わき上がるような雲と雪化粧した山々が印象的

二段の破風を備えた風格ある建物で、まさにレトロな銭湯のイメージをそのまま具現化したような「鶴の湯」。広い洗い場に人気の薬湯、露天風呂まであり、中も充実している。

田中みずきさん
田中みずきさん
「鶴の湯さんでは、おまかせで描かせていただきました。ペンキ絵は富士山の下には浜などの水辺を描くのが定番。そのセオリーは崩していませんが、書き換える前の絵は左側(男湯)が砂浜だったので、今回は左側に山を描きました。岩や松などモチーフを重ねることで奥行きを出したのがポイントです」

鶴の湯

口コミ・写真など

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4.湯どんぶり 栄湯(台東区日本堤)

リニューアルに合わせて製作した最新作

まだ足場も外れていない、描き終わったばかりのペンキ絵

現在大幅なリニューアル工事を行っている「湯どんぶり 栄湯」。そのお披露目となるイベント「湯どんぶり祭り」が4月末に開かれ、田中さんが描くペンキ絵の公開製作も行われた。丁寧ながらも素早い筆さばきに多くの人が魅了され、どんどんと絵ができあがっていく様子に驚いていた。この絵は男湯と女湯の間にあるため両方から見ることができる。営業再開は5月15日を予定。また、男女の浴室にもう1枚ずつ絵が描かれる予定なので、ぜひお楽しみに!

田中みずきさん
田中みずきさん
「テーマは浜辺から見える富士山です。栄湯の代々のご主人の名前に『松』の字が入っていたことから、大きな松を描かせていただきました」

湯どんぶり 栄湯

口コミ・写真など

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5.恵比寿湯(千葉県市川市)

番外編! 開店前に並んで見たいシャッター絵

壁面だけでなく、シャッターに描くこともある

実はすべての銭湯の浴場にペンキ絵が描かれているわけではない。そもそもスペースがなかったり、タイル絵になっていたりと銭湯によってさまざまだ。「恵比寿湯」は後者で、中はタイル張り。しかし、ここにペンキ絵がある。昇降式のシャッターを生かした鯉の滝登りと、登った鯉が龍になって空を舞う、実に縁起の良いペンキ絵だ。

田中みずきさん
田中みずきさん
「正面の銭湯入り口は去年、左の赤富士はコインランドリーの入り口で、今年描かせていただきました。シャッターは溝があるので、少し苦労しました。開店直前に訪れてご覧いただけるととても嬉しいです」

恵比寿湯

口コミ・写真など

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一口にペンキ絵といっても、いろいろなストーリーがある田中さんの作品。風呂好きならずとも、生で見てみることをオススメしたい。

取材・文=石井 良 撮影=延藤 学(栄湯)

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