銭湯の達人、町田忍がレクチャーする、初心者のための銭湯攻略術

銭湯の達人、町田忍がレクチャーする、初心者のための銭湯攻略術

2017/04/26

内風呂が当たり前になった現代、銭湯は非日常の世界。一度も利用したことがないという人も少なくないのでは? そんな銭湯ビギナーのために、銭湯研究の第一人者であり「銭湯学」を提唱する町田忍さんが、銭湯の楽しみ方や、知っているようで知らない銭湯のナゾ、イマドキの銭湯事情などを伝授!

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

町田 忍さん

町田 忍さん

社団法人日本銭湯文化協会理事

Lesson1-自分好みの銭湯をみつけよう!

社団法人日本銭湯文化協会理事の町田忍さん。ペンキ絵師としての顔も持つ

ーー銭湯ビギナーにとって、銭湯は未知の世界。銭湯を楽しむ極意などがあったら教えてください。

町田忍さん
町田忍さん
「銭湯にもいろいろあるので、まずはWEBサイトなどで近場で好みの銭湯を探して、行ってみてください。最近はホームページを持っている銭湯も増えていますし、東京都浴場組合などが運営しているサイトにも写真がたくさん出ています。充実した施設を楽しみたいなら、“幕の内弁当型”と呼んでいる、スーパー銭湯タイプレトロな銭湯が好きな人なら、ペンキ絵や古い建築を堪能するのもいい。楽しみ方は人それぞれ。ただ、どの銭湯にも共通して言えるのは、内風呂にはない開放感が味わえるということ。行政が行う親子ふれあいデーなどのイベントもあるので、そういう機会に行ってみるのもいいと思います」

Lesson2-レトロ銭湯を利用するときの心得

ーーお客さん同士のコミュ二ティができあがっているレトロな銭湯は、新参者にはハードルが高そう。利用する際に気を付けるべきこととは?

町田忍さん
町田忍さん
「特に地方の銭湯は地域密着型で地元の人しか来ません。誰がどの下駄箱や洗い場を使うか、暗黙のうちにだいたい決まってるので、下駄箱なら下の方、洗い場なら脱衣所に近いところなど、あまり人が利用したがらないところを使うのが無難です。昔の人が多いから、王・長嶋の背番号の1番・3番とかも避けた方がいいね。もうちょっと若い人もいるかもしれないから、イチローの51番とかも。地方の銭湯に行ったら、ぜひコーヒー牛乳も飲んでください。だいたいその地方でしか飲めないローカル牛乳ですから」

町田さんおすすめのレトロ銭湯1

群馬県桐生市の「三吉湯」は材木屋を営んでいた先代が、自ら材料を調達して建てた銭湯。中央の三角飾りがおしゃれ。※現在はペンキが塗られています(写真=町田忍)
「三吉湯」の内部。写真で見ると新しそうだが、実際は歴史を感じさせる味のある雰囲気なのだとか(写真=町田忍)

三吉湯

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

町田さんおすすめのレトロ銭湯2

京都市中京区にある「錦湯」。藍染の暖簾やすだれに、都の風情が感じられる(写真=町田忍)
「錦湯」の脱衣場には常連客の名前や屋号が書かれたカゴが並ぶ(写真=町田忍)

錦湯

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Lesson3-銭湯のナゾを知ろう!

「銭湯の魅力は庶民文化が凝縮しているところ」と町田さん。そもそも町田さんが銭湯にはまったきっかけは、オーストラリア人の友人から「なぜ日本の銭湯は、お寺や神社のような形をしているのか」と問われたこと。知れば知るほど浮かび上がる銭湯にまつわる素朴な疑問。それらの答えには、庶民の暮らしと結びついた、興味深い理由があるようです。

ナゾ1「どうしてお寺や神社の形をしているの?」

町田忍さん
町田忍さん
「宮造りの銭湯が誕生したのは、1923年の関東大震災以降。それまでの銭湯はシンプルな作りでしたが、地震による火災でほとんど焼けてしまいました。しかし、歌舞伎座だけは燃えずに、焼野原に立っていたそう。これを見た宮大工の棟梁が、復興に向けて元気が出るような銭湯を作ろうと、豪華な宮造りの銭湯『歌舞伎湯』を作ったんです。『歌舞伎湯』はたちまち人気になり、東京には宮造りの銭湯が増えていきました。これは東京独特のもので、地方には銭湯の定番スタイルってないんですよ」
大田区雪谷にある「明神湯」は美しい宮造りの銭湯。これぞTHE東京型! 改装しておらず、窓枠なども木でできています(写真=町田忍)

明神湯

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ナゾ2「男湯と女湯の配置はどうやって決めているの?」

町田忍さん
町田忍さん
「お雛様の向きと同じという説がありますが、それは誤り。宮大工の棟梁に聞いたところによると、標高が高い方を男湯にするそうです。女性は髪が長いから、女湯を上にすると詰まってしまうとか、女湯が下の方が覗かれにくいとか、様々な事柄を総合的に考えた結果です」

ナゾ3「番台の高さは地域によって違うの?」

町田忍さん
町田忍さん
「番台の高さは東京が一番高くて約130cm。地方の平均は100cmです。東京の銭湯は一見客が多いから、板の間稼ぎ(入浴客の着物や金品を盗む泥棒)を見張るために、高くしています。客が多い分、浴室も広いので、高くしないと隅々まで見渡せないですしね」

Lesson4-レトロ銭湯のトレンドをチェック!

昔ながらのレトロな銭湯も、スーパー銭湯との差別化を図って、少しずつ進化しています。その中から町田さんのおすすめ銭湯をご紹介!

ペンキ絵のトレンドは北陸新幹線!

足立区千住の「タカラ湯」の北陸新幹線は、町田さんによって描かれたもの(写真=町田忍)
町田忍さん
町田忍さん
「最近僕が描いたペンキ絵は、足立区『タカラ湯』の北陸新幹線。もともと銭湯に富士山が描かれるようになったのは、大正元年のこと。神田猿楽町の『キカイ湯』の主人が子供を喜ばすために、静岡県出身の川越広四郎という画家に依頼して絵を描いてもらったの。それがふるさとの富士山のふもとに蒸気機関車が走っている絵だったことから、富士山が銭湯の定番になったっていうわけ。北陸新幹線は富山県の依頼で描いたんだけど、当時の蒸気機関車は現代の新幹線みたいなものだから、ちょうどいいでしょ」

タカラ湯

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地域性を生かして生まれ変わるレトロ銭湯

町田忍さん
町田忍さん
「比較的最近リニューアルした文京区の『ふくの湯』と町田市の『大蔵湯』は、銭湯をメインで手掛ける建築士、今井健太郎さんによるもの。どちらも地域にあった個性的なお風呂です。モダンかつ大胆でありながら、しっかり和のテイストを感じられる空間になっています」
平成23年にリニューアルした文京区千駄木の「ふくの湯」の外観は和モダンな雰囲気(写真=町田忍)
「ふくの湯」の浴室にはペンキ絵師による赤富士のほかに、プロのデザイナーによる七福神の絵も。色使いが大胆!(写真=町田忍)

ふくの湯

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東京都町田市の「大蔵湯」は平成28年12月にリニューアルオープンしたばかり。すっきり無駄のない外観がクール(写真=町田忍)
「大蔵湯」の内部は高級感のただよう和の空間。スーパー銭湯の多い地域で、あえてヒノキの湯船だけで勝負する(写真=町田忍)

大蔵湯

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これだけ知れば、あなたも銭湯通!? さっそくお友達や家族を誘って、銭湯へゴー! 湯船に浸かりながら、銭湯のナゾでも披露してみてはいかが?

取材・文=香取ゆき 撮影=中川文作(人物)

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