由緒正しく濃く甘く! カレー王国・鳥取のチキンカツカレー伝説

特集

全国ご当地グルメ(鳥取県編)

2016/03/28

由緒正しく濃く甘く! カレー王国・鳥取のチキンカツカレー伝説

県外から押し寄せる客があとを絶たない、今では鳥取市の観光名所になっている「喫茶 ベニ屋」。おめあては、店主自慢の「チキンカツカレー」だ。昔ながらの甘くて濃厚なトロみのあるルーを煮込むのは2代目店主、平田瑩壹さん。「カレー消費王国」と言われる鳥取県で、伝説となった味とは?

Yahoo!ライフマガジン編集部

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半世紀を超えて情熱を注ぐ

この店のカレーは、甘口ながら濃厚で懐かしい味わいが特徴。カレーの上にドカッとのったこんがりサクサクのチキンカツもたまらない。肉厚なチキンカツの香ばしさと、トロけるルーのレトロな甘味がうまく絡んで、「今どき珍しい味」と客はご満悦。出張で立ち寄るビジネスマンの間で徐々に口コミとなり、その後、観光客も訪れるように。

「基本のレシピは半世紀以上変えていません」と、店の味に誇りを持つ2代目店主の平田瑩壹さん。しかし、少しずつやり方は改良している。

観光客にも大人気という「チキンカツカレー」(800円)。店内にはカロリー表を設けて、昨今の健康ブームにも配慮している

先代のカレー作りは手作業そのものだったが、瑩壹さんはブレンダーを導入。さらに、カレーパウダーと小麦粉を大豆油に漬け込んで、うまみだけを濃縮させるという独自の製法を取り入れることにより、濃厚な甘味を引き出している。このルーをブレンダーでしっかりと混ぜ合わせ、さらに別鍋で煮込んでおいた豚のゲンコツスープと合わせていく。

「でき上がるまで丸三日かかりますね」というほど時間のかかるカレーだが、ほかの喫茶メニューをこなしながらも、ただならぬ情熱が込められている。

神戸のマツヤ珈琲店から「コロンビア」「キリマンジャロ」「ブレンド」と3つを取り寄せ、店主納得のコーヒーを提供する。「自分が本当にうまいと感じるものを出したい」が口癖だ

創業時からドタバタ劇の連続!

戦前、初代・平田貞雄の兄・平田滋晴が化粧品店をスタート。口紅を売るので「ベニ屋」と名付けた。1948(昭和23)年、その隣に「ベニ屋喫茶部」を設けたことが現在のルーツ。戦後の物資が不足する中、「生き抜くための商売を」とチョコや缶詰など手に入ったものは何でも売って、苦難の時代をしのいだ。

ところが、1952(昭和27)年の鳥取大火災で店はおろか、町ごと焼け野原に。絶望感の中で、生きる糧を得ようと、コーヒーや砂糖を集めるために駆けずり回り、1954(昭和29)年、現在地に喫茶店を開き、カレーを提供するようになった。

駅から歩いて5分というロケーション。店内の装いも昭和っぽさが感じられる。ジャズやクラッシクなどにも詳しい店主。昼時は満席になることも珍しくない

戦後の混乱の中で生まれ、地元に愛され続けたカレーだからこそ、「守るべき味」なのだろう。近年では、全国的に注目されるだけでなく、中国の上海テレビ局までが取材にやって来るほど有名になった。

通は、食後に「インドミルク(かき氷)」(550円)も食べるそう。ココアパウダーを茶せんで、きめ細やかにして氷に注ぐ。ココアパウダーは40年間、バンフォーテンのものを使う。食後のスイーツも、歴史を重ねてきた一品だ。

※掲載の内容は2016年3月時点の情報に基づきます。
※2019年5月に店舗(住所、電話番号、営業時間など)、メニュー、料金などの一部情報を更新しました。

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