憩いの場として親しまれて25年。「白鳥庭園」の舞台裏

2017/06/19

憩いの場として親しまれて25年。「白鳥庭園」の舞台裏

敷地面積3・7ヘクタールと、庭園として名古屋市内最大級の規模を誇る白鳥庭園。 園内では約250種類、1万本以上の植物が生育している。 都心にある豊かな景色を眺めようと、訪れる人は後を絶たない。 開園から今年で25年を迎えた庭園の移り変わりについて、所長の川島大次さんに尋ねた。

中広

中広

貯木場だった庭園
中部地方の地形を表現

「尾張徳川家の白鳥貯木場があった場所に、白鳥庭園はあります」と話すのは、白鳥庭園管理事務所所長川島大次さん。木曽川を下ってきた木材は伊勢湾まで運ばれ、堀川を使って白鳥貯木場にいったん集められた。その後名古屋城の建築材としてだけでなく、全国へとさばかれ、徳川家の貴重な財源となっていた。時代が流れ、木材の輸送方法が筏から陸運へと変わると、大正から昭和はじめにかけて木曽川を使っての運搬は終わりを迎える。白鳥貯木場は埋め立てられ、1979年から順次、白鳥公園としての整備が進められた。

庭園のほぼ中央に建つ清羽亭(せいうてい)は、京都と尾張の大工が手がけた数奇屋建築。茶会や華道、歌会などに利用されている

白鳥庭園は「文化の香り高いまちづくり」の一環として、1983年から造成がスタート。埋め立てられた当時を知る人が「あたり一面は砂漠のように広かった」と振り返る。

池泉回遊式の日本庭園で、中部地方の地形がモチーフ。御嶽山から木曽川の水の流れが生まれ、清流が勢いよく伊勢湾へと続く水の風景を、滝や岩の配置で映し出した。源流から大海までの「水の物語」をテーマとした、東海地方でも最大級を誇る庭園だ。

石組の良し悪しは、石の形や色、質、そして庭師の感性と腕によって大きく異なる。白鳥庭園に携わったのは、京都で活躍していた川崎幸次郎氏とその川崎流の石組技法を学んだ佐竹三喜雄氏。二人は、根尾谷産の紫雲石や中津川産の蛭川みかげ石、長野県上松産の木曽石など、良質な石材を約6000トン使用し、動線などに配慮しながら緩急を効かせた庭園を造り上げた。


環境に配慮した管理体制
人や動植物の交流の場

2014年から岩間造園株式会社、株式会社トーエネック、公益財団法人名古屋市みどりの協会の3団体が共同し、指定管理者として庭園管理を担っている。受付など15人の職員のほか、シルバー人材センターから派遣された8人が草刈りなどの清掃を担当。岩間造園株式会社など専門の職人が庭園の手入れをする。

現在、白鳥庭園が挑戦しているのが無農薬の管理。きっかけは、2010年10月に名古屋国際会議場で開催された「第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)」だった。職員内で生物多様性への関心が高まり、草木に這う毛虫は割り箸で捕獲するなどしてきた。また、冬季にはスタッフ総出で繭や卵を除去。春に発生する害虫の数をおさえる効果を生んだ。

割り箸で毛虫を捕まえたり、ほうきで園路を掃き清めたりと作業の種類は幅広い

園内は、1年を通じてさまざまな動植物が顔をのぞかせる。小さなピンク色の花を咲かせるフジバカマを目当てに、蝶のアサギマダラがやって来ると、2014年に判明。「動植物の種類は増減を繰り返してきました。2013年頃からはタヌキが園内に住みつくようになったんですよ」と川島所長はほほ笑む。

ボランティアによるガイドツアーでは最新情報を共有するため、毎週作成する「花と実の見頃マップ」が役に立つ。職員同士も朝礼で園内の変化を報告し、来園者からの質問にスムーズに答えられるよう日々の工夫に余念がない。

7年前に作られたそろいの印半纏。園内に250本の松があることから、腰模様には敷き松葉がデザインされている

1年間のイベント内容を充実させるなどして、徐々に人数を増やしてきた。昨年度の入園者数は15万人。開園からは約260万人が訪れている。「すべての来園者の要望を叶えるのは難しい。ですが、白鳥庭園が少しでも多くの方の癒しの場となるよう、気を配って運営しています」と力を込める。川島所長をはじめとする職員が一番大切にしているのは、来園者とのコミュニケーション。園内を巡り、道中で風景を楽しむ人々に声をかける。交流を深めたことで、職員の気が付かなかった破損箇所を教えてくれた人もいた。

秋の夜間ライトアップに合わせて園北側の竹林に整備している歩道は、新たな見どころの一つ。担当するのは、せん定などの手入れをする庭師で尾張名秀園の加藤秀一さんと高比良淳さん。「来園者に安心して巡っていただけるよう、一つひとつの作業に細心の注意を払っています」と2人は笑顔を見せた。


マップ作りで植物保全
「名勝」を目指して励む

今年4月からは「白鳥庭園いきものマップ」の作成に着手。庭園に生息する動植物を調査した。カタクリフクジュソウユキワリソウホタルブクロなど、数の減少が危ぶまれている植物や山野草の保全が目的の一つだ。環境活動のネットワークである、なごや環境大学の共育ゼミ「都市の緑のモノサシづくり2016」協力のもと、マップ作りが進められている。

白鳥庭園では、カワセミ、メジロ、アサギマダラ、シデコブシ、リキュウバイなど季節ごとに様々な動植物が見られる

自然環境の保全だけでなく、日本庭園としての発展も目指している。築50年が経つと、日本庭園は国が指定する「名勝」へのエントリー資格を得られる。「指定に向けて折り返しの年となりました。後世へ受け継いでいくため、気持ち新たに庭園管理を努めていきたいですね」と川島所長は前を見据える。

四季折々に異なる顔を見せ、多くの来園者を楽しませる白鳥庭園。季節ごとに庭園を訪れ、違いを見つけるのも趣がありそうだ。

Yahoo!ロコ白鳥庭園
住所
愛知県名古屋市熱田区熱田西町2-5

地図を見る

アクセス
神宮西駅[4]から徒歩約9分
伝馬町駅[2]から徒歩約14分
熱田駅[出口]から徒歩約14分
電話
052-681-8928
営業時間
9:00~17:00(入園は16:30まで)
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

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