渋谷・吉祥寺の2大横丁で感じる東京はしご酒の最前線

特集

横丁はしご酒は大人のエンターテインメント(東京・名古屋・大阪版)

2017/06/08

渋谷・吉祥寺の2大横丁で感じる東京はしご酒の最前線

東京を代表する横丁である「渋谷のんべい横丁」と吉祥寺の「ハーモニカ横丁」。長い歴史を経てもなお、多くの人々を引きつけてやまない2つの名横丁を、ライフマガジン編集部のはしご酒ビギナーが体験した。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

名物横丁には自分の居場所がきっとある

渋谷のんべい横丁(左)も、吉祥寺のハーモニカ横丁(右)も足を運ぶ価値のある店ぞろい

一歩足を踏み入れるだけで、酒飲みの心をとりこにする横丁のはしご酒。今回紹介する2つの横丁はどちらも戦後直後から営まれ、高度経済成長や東京オリンピック、果てはバブル経済崩壊など、歴史の荒波を乗り越えてなお愛される酒場であり続けている。

目まぐるしく飲食店のトレンドが変貌する東京で、これほどまでに人々を魅了する理由を探すため、横丁愛に目覚めた新人編集部員が2つの横丁を体験。グラス越しに見えてくる、東京2大横丁の最新事情をお届けする。

\2大横丁を体験したのはこの人/

新人編集部員・河原

新人編集部員・河原

今回訪れたお店はこちら!
■ハーモニカ横丁(吉祥寺)
1軒目:「コパンダ」
2軒目:「ヤキトリてっちゃん」
3軒目:「片口」(かたくち)

■渋谷のんべい横丁(渋谷)
1軒目:「会津」
2軒目:「ビストロ ダルブル 渋谷本店」
3軒目:「TIGHT」(タイト)


吉祥寺「ハーモニカ横丁」とは

現代的な酒場が多いのもハーモニカ横丁の特徴

JR吉祥寺駅の北口を出た正面にある「ハーモニカ横丁」。終戦を迎えた1945(昭和20)年に出現した、いわゆる「闇市」と呼ばれたマーケットがルーツとされる商店街だ。楽器のハーモニカの吹き口のように間口の狭い商店が並んでいることからその名がついたと言われ、現在でも100軒ほどの商店や飲食店が軒を連ねている。


ハーモニカ横丁1軒目:「コパンダ」

味わい深い路地に面した開放感抜群の「コパンダ」

ハーモニカ横丁のはしご酒の起点は、交差した路地の角にある「コパンダ」から。路地に面した部分には壁がないため、まるで屋台にいるかのような開放感を楽しめる。今年で開店13年目を迎える、味のある居酒屋だ。

本日の「おつかれセット」の3品は、トムヤムおでん、カンパチの刺し身、鶏肉とキュウリの和え物
編集・河原
編集・河原
「『おまかせセット』(1000円)の内容を教えてください」
店長・杉浦さん
店長・杉浦さん
「お好きなお酒に、お任せのつまみが3点つきます」
編集・河原
編集・河原
「おつまみはボリュームがあって、本当においしいです。一般的なお通しとはクオリティが違いますね。生ビールは単体で頼むと500円なので、セットのおトク感が際立ちます」
杉浦さん
杉浦さん
「ありがとうございます! これだけを楽しんで河岸(かし)を変える常連さんも多いですよ」
おつかれセットで杉浦店長と乾杯!
編集・河原
編集・河原
「この『店長と乾杯』(350円)っていうのは?」
杉浦さん
杉浦さん
「私に1杯ご馳走していただければ、ご一緒に乾杯できるという、一方的に店トクなシステムです(笑)」
編集・河原
編集・河原
「ぜひ乾杯しましょう!」
いかにもうまそうなアテを仕込み中の杉浦さん
編集・河原
編集・河原
「今ボウルで混ぜてる料理、すごくおいしそうですね」
杉浦さん
杉浦さん
「あ、見つかっちゃいましたね。これは『くんせい卵ポテサラ』(400円)。文字通り燻製のゆで卵と、隠し味にコンビーフを入れたポテサラなんです」
濃厚な「くんせい卵ポテサラ」(400円)
編集・河原
編集・河原
「これは味が濃厚で本当においしい!」

\次回は飲みたい!/
パンダワンカップ(税別600円)、パンダビール(税別700円)

かわいい容器だけでなく、味わいもなかなかのものだそう
編集・河原
編集・河原
「ポテサラがおいしすぎてお酒のお代わりをしたいんですが、まだ1軒目なのでパンダビールは次回のお楽しみにとっておきます!」
路地に面した店だけあって、入りやすさは抜群。取材中も女性の一人客が多かった印象

コパンダ

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


ハーモニカ横丁2軒目:「ヤキトリてっちゃん」

横丁のイメージを覆すようなポップな内装の店内

2軒目は、ポップな内装が目を引く焼き鳥の「ヤキトリてっちゃん」。内装を手掛けたのは建築家の隈研吾氏で、壁面に描かれた湯村輝彦氏のイラストが印象的。1軒目とはがらっと雰囲気が変わるジェットコースター感を楽しむべし。

編集・河原
編集・河原
「焼き鳥とホッピーの組み合わせが大好きなので、飲み物は『ホッピーセット』(税別630円)をお願いします」
店長・小林雅武さん
店長・小林雅武さん
「うちのホッピーの『なか』はキンミヤ焼酎。小さなグラスに入れて提供しています」
受け皿にあふれるほど焼酎を注がれる
編集・河原
編集・河原
「うわぁ〜、けっこうなみなみと注ぎますね(笑)。とてもうれしいんですが、これはどうすればいいんでしょうか?」
小グラスに注がれた焼酎は受け皿を介してグラスへ
小林さん
小林さん
「グラスを少し傾けると、焼酎がグラスの底を伝って落ちるので、小皿で一回受けるようにして注ぐといいですよ」
つまみには、ラムチョップ(税別420円)と豚ニラつくね(税別220円)をオーダー
小林さん
小林さん
「ラムチョップと豚ニラつくねがホッピーによく合うのでオススメですよ」
シンプルな味つけはホッピーにベストマッチ!
編集・河原
編集・河原
「ラムが大好きなんですが、これは臭みがなくて香ばしい。つくねはあっさりとした豚つくねにコショウが効いていてホッピーが進みます!」
小林さん
小林さん
「ラムチョップは塩コショウのシンプルな味つけで、水分が抜けすぎて固くならないよう、高温の火で短時間炙ることで表面に香りがつくように仕上げているんです。料理はどれも奇をてらうことなく、シンプルさを心がけています」

\次回食べたいのはこれ!/
煮込み(420円)

カウンター内の大鍋で煮込まれる煮込みも必食
編集・河原
編集・河原
「店内の楽しげでポップな印象とは裏腹に、提供される料理はどれも丁寧に作られたシンプルな味わいでした。今度は友だちと来て、大鍋でおいしそうに湯気を立てていた煮込み(420円)を絶対に食べようと思います!」
ポップな内装で年齢層は低め。その分、ビギナーも女性も入りやすそうだ

ヤキトリ てっちゃん

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


ハーモニカ横丁3軒目:「片口」

屋根つきの通路に面した風通しのいい店構え

江戸前のにぎり寿司が3貫で480円からと、はしご酒のシメとして寿司を気軽につまむのにぴったりな寿司居酒屋。もちろん酒の種類も充実しており、刺し身をアテにじっくり飲みにも対応可能だ。

見事な手つきで寿司を握る店長の金野さん
編集・河原
編集・河原
「ここは回らない寿司だ......。憧れですが、お会計がちょっと心配です」
店長・金野(こんの)さん
店長・金野(こんの)さん
「マグロの赤身、白身、貝類の3貫セットで480円(税別)からと、お手ごろなので安心してください(笑)。お好みでも一貫200円から握れますのでお気軽にどうぞ」
編集・河原
編集・河原
「それでは3貫セットいただきます!」

\今日の3貫セット&日本酒はこれ/

マグロの赤身、白身(イサキ)、ホタテの3貫盛りは480円(税別)。片口で提供される日本酒は1合900円(税別)から用意
編集・河原
編集・河原
「職人さんの握ったお寿司は本当においしいですね! この白身は何ていう魚ですか?」
金野さん
金野さん
「イサキと言って、これから梅雨時期にかけて一番おいしくなる旬の白身魚です」
左から「初孫(純米酒)」「李白(特別純米酒)」「玉乃光(純米吟醸)」(税別各900円)。ワインはグラス(750円)、ボトルでも3000円から用意している
編集・河原
編集・河原
「寿司に合う日本酒を教えてもらえますか?」
金野さん
金野さん
「常時7種類ほどの日本酒を用意していますが、よく出るのは『初孫(純米酒)』『李白(特別純米酒)』『玉乃光(純米吟醸)』あたり。今回は純米酒の『初孫』を合わせてみてはいかがでしょう」
日本酒を入れる酒器の片口も初体験
編集・河原
編集・河原
「こういう風情ある酒器で日本酒を飲んでみたかったんです。たった今、急激に酒飲みレベルが上がった気がします(笑)」

\もう1品!/
焼き丸干しいか(税別380円)

噛めば噛むほど味が出る「焼き丸干しいか」(写真は盛りつけ前の分量)
金野さん
金野さん
「函館産のスルメイカを丸干しにした『焼き丸干しいか』も日本酒によく合いますよ」
直火でさっと炙り、食べやすいよう細かく切って提供される
編集・河原
編集・河原
「炙ったスルメイカならではの香ばしさと、干したハラワタの濃厚な味わいが日本酒と溶け合って、もう最高です。こういうシブいつまみに出会えて本当にうれしいです」
寿司店ということでやや敷居は高く感じるが、コスパが高いので初心者でも安心して楽しめる

片口

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

まだ明るい時間帯からのスタートとなったが、どの店も開店直後から温かく迎えてくれた。複数の路地が縦横無尽に交差する迷路のような横丁には、まだまだ気になる店が多く、また日を改めて探索したくなる懐の深さを感じることができた。


渋谷「のんべい横丁」とは?

宮益坂の交差点近くの路地を入ると現れる酒飲みの天国

JR渋谷駅に近い山手線内回りの線路脇にある横丁。1950(昭和25)年に、東急本店の周りで営業していた屋台が規制を受けたため、その代替地として提供されたのがこの場所。現在は40ほどの酒場が集まっているが、店の間口は屋台の大きさを基準に決められたのだとか。


のんべい横丁1軒目:「会津」

細い路地に赤ちょうちんがよく似合う「会津」

渋谷のんべい横丁の1軒目に選んだのは、線路際の路地から一本入った中通りにある「会津」。福島県会津地方の蔵元・榮川(えいせん)酒造のお酒と、山菜などの旬の食材を活かした家庭料理が楽しめる。

編集・河原
編集・河原
「路地に浮かぶ赤提灯に照らされた古風な店構えは、まさに自分の想像していた『横丁酒場の理想形』そのものです」
乾杯で迎えてくれる優しい常連さんたち
スタッフ明美さん
スタッフ明美さん
「ウチは会津の家庭料理のお店で、お酒は会津の地元の榮川(えいせん)酒造のカップ酒(700円〜)がオススメです」
福島県会津地方の蔵元「榮川」の酒がそろう
横丁はしご酒が板についてきた様子

\会津の地酒には会津のつまみを/

会津名物の山菜のたまり漬(500円)とニシンの山椒漬(600円)
編集・河原
編集・河原
「山菜やニシンの山椒漬といった、会津の地の料理と地酒の組み合わせは言うことなしです。それに、このお通しがしみじみとおいしいんです」
お通しは心がこもった手作りの品が用意される
明美さん
明美さん
「お通しと席料で800円いただいているので、おいしくてしっかりとつまみになる量をお出ししているんです。もちろん、お通しだけでお酒を楽しんでもらっても大丈夫ですよ」
編集・河原
編集・河原
「お通し2品とお酒で1500円で飲めるわけですね。常連のみなさんがとても温かいので、不慣れな自分でも上手に飲めるようになった気にさせてくれるのがうれしいです」
取材時も満席だった会津。風格があるので初めてでは入りづらいかもしれないが、店主も常連も優しい人ばかりなので、勇気を出して踏み込もう

会津

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


のんべい横丁2軒目:「ビストロ ダルブル 渋谷本店」

開店と同時ににぎわい始める店内

「ビストロ ダルブル」は、落ち着きのあるウッディな店内で本格派フランス料理とワインが気軽に楽しめる、渋谷のんべい横丁唯一のビストロ。

1杯目はビールのハートランド(700円)を選ぶ常連客が多い
編集・河原
編集・河原
「ワインが充実しているはずのビストロなんですが、みなさんハートランドビール(700円)
を飲んでいるので真似してみます」
店長・藤木さん
店長・藤木さん
「グラスワインは赤、白、泡を用意(各700円)していますが、なぜかみなさん、しょっぱなはビールなんですよね(笑)」
編集・河原
編集・河原
「堅苦しくなくていいです。ビールの次は赤ワインを飲みたいので、オススメの料理をお願いできますか?」
藤木さん
藤木さん
「それでは『カスレ』(1300円)と『ポテトサラダ』(400円)をご用意します。少々お時間がかかるので、2階のお席に上がってみますか?」
2Fにはロフトも作られ2〜3名で利用できる
編集・河原
編集・河原
「2階はこじんまりしててすごく落ち着きます。ロフトはデート使いも楽しそうです!」

\お待ちかねの「カスレ」が登場/

「カスレ」(1300円)
藤木さん
藤木さん
「カスレは、白インゲンと豚肉を煮込んでから、オーブンで香ばしく焼いた豆料理です」
2Fは6人程度までのグループでも楽しめる
編集・河原
編集・河原
「ジューシーな肉と、ほっこりした甘みの白インゲン豆が赤ワインによく合います」
「ポテトサラダ」(400円)
編集・河原
編集・河原
「ポテトサラダは、カリカリベーコンとパルメザンチーズと黒胡椒の組み合わせが、カルボナーラのよう。カスレとのローテーションで、ワインがいくらでも飲めそうです!」
開店と同時に満席も珍しくない繁盛店。にぎやかなので入りやすい

ビストロ ダルブル 渋谷本店

口コミ・写真など

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のんべい横丁3軒目:「TIGHT」

2Fにある店の窓からは山手線の電車の姿を眺めることができる

渋谷のんべい横丁のシメの1軒は、窓から山手線の線路を見渡せる2階のショットバー「TIGHT(タイト)」。チャージが無料で1杯だけでも気軽に飲めるので、はしご酒の仕上げに覚えておきたい名店だ。

編集・河原
編集・河原
「大きなガラス窓からの眺めがいいので、窮屈な感じは全くしないですね。最後のシメの店として、終電までのんびり過ごすのにぴったりじゃないでしょうか」
店主・木村さん
店主・木村さん
「ありがとうございます。『タイト』という名前の通り狭い店ですが、お客さん同士で仲良くなるきっかけになるみたいですね」

\オススメのドリンクはこれ!/
ブランデースプリッツァー(800円)

店主自らオレンジを漬け込んだブランデーをベースした「ブランデースプリッツァー」
木村さん
木村さん
「オススメはブランデーにオレンジを漬け込んで、ジンジャエールで割った『ブランデースプリッツァー』(800円)です」
編集・河原
編集・河原
「ブランデーのコクに、オレンジ特有の甘みとほろ苦さが加わって奥行きのある飲み物ですね」
木村さん
木村さん
「イヤな苦味が出ないように、皮と果実の間の白い部分を取り除いてあるんです」
ヘンドリックスジンにキュウリを加えた、オリジナルのジントニック
木村さん
木村さん
「もう一杯、おかわりで試していただきたいのが、ヘンドリックスジンにキュウリを加え、トニックウォーターで割ったカクテル(900円)です」
編集・河原
編集・河原
「こちらはクリアな味わいです。キュウリの青い香りがドリンクに移ることで清涼感があります」
「月に1回は来ています」というフランス出身のグループと意気投合
編集・河原
編集・河原
「今日は海外のお客さんが多いですが、木村さんは英語がお得意なんですか?」
木村さん
木村さん
「得意ってわけではないですが、人との会話が好きなので、お客さんを相手に練習させてもらってます(笑)」
編集・河原
編集・河原
「僕もここで勉強して飲み友達になりたいです!」

というわけで、渋谷のんべい横丁デビューも無事終了。日本有数の繁華街に寄り添う慎ましやかな横丁だが、質の高い酒場に目がない国内外の飲んべえ達に愛されている一体感が感じられた夜だった。ビギナーや一見さんを優しく迎え入れるオープンな気質で、今後ますます魅力的な横丁になる可能性を秘めているようだ。

小さい2Fの店舗のため、入りやすいとは言えないが、店主の木村さんのドリンクとおしゃべりに引きつけられて常連になる人も多い

TIGHT

口コミ・写真など

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\横丁デビュー終了/

編集・河原
編集・河原
「今回おじゃました横丁は、どちらも1日では“はしご酒”しきれないほどの魅力的な店舗ぞろい。残念ながら満席で入れないお店もありましたが、店内はそれぞれの店を愛するお客さんの姿でにぎわっていました。次回はもう少しだけ勇気を出して、未体験のお店にも積極的に挑戦したいと思います!」

といった具合で、吉祥寺・渋谷の両横丁で6軒の酒場を満喫したルーキー河原。横丁の魅力に取り憑かれた飲んべえがまた一人誕生したようだ。


取材メモ/横丁特有の小さな店では、人とのコミュニケーションが最高のつまみなのだと再認識しました。

取材・文/杉山元洋 撮影/島本絵梨佳
取材協力=武蔵野市フィルムコミッション

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

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グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

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