犬養裕美子のお墨付き! 大人のための空間、目白「待つ宵」

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7月の連載記事まとめ

2017/07/27

犬養裕美子のお墨付き! 大人のための空間、目白「待つ宵」

“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくても居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第30回は目白<待つ宵>だ。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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器と酒を愛で、合わせる。日常のぜいたくとは上質な時間にある

初めて「待つ宵」に入ったのは、まだ17時30分をまわったばかりの口開けだった。目白通りから少し入った、ちょっと雰囲気のある“居酒屋以上、割烹(かっぽう)未満”の風情を見せるたたずまいは、以前から気になる存在だった。入り口は新参者を拒むかのようにいくぶん控えめだ。

目白駅を出て目白通りを左折。りそな銀行の交差点を左折。通りから十数歩のところにある控えめな店構え

ガラス越しにうっすら店内が見える。その日はまだ誰も客がいないようなので、予約なしで暖簾(のれん)をくぐった。カウンター6席、テーブル12席ほどの店内は、居心地がよさそうだ。
「予約してないんですけど……」と聞いてみると、空いているのはカウンターだけとのこと。危なかった!

ベンチシートのテーブル席と、ゆったりした椅子のカウンター席。小さな花は店主の長江さんが生けている

メニューを開いて、「なるほど~」と少し感心する。最初にその日のおすすめの魚、刺身や焼き魚、煮魚が並ぶ。続いて一品料理、サラダ、煮物、揚げ物、ご飯&麺、甘味などが並んでいる。

よくよく見ると、ハモ子の煮凝り(580円)、古白鶏レバーペーストと砂肝の盛り合わせ(890円)、海老真丈のふわふわ揚げ(920円)。手の込んだ料理がこんなに安くていいのだろうか。

腕の立つ料理人は、素材を無駄なく使いこなす

店主の長江良樹さん 愛知県出身、45歳。修業した先の親方は関西の有名料亭出身。長江さんもその仕事を受け継いでいる

聞けば、店主の長江良樹さんの経歴が面白い。

「大学時代に居酒屋のバイトをしたときは、料理を仕事にするなんてまったく想像もしていませんでした。卒業後、メーカーに勤め、営業マンとして5年働きました。それなりに成績はよく仕事も楽しかったんです。ある時突然、自分は料理と器が好きなんだと気付き、結果として店をやりたいと思ったんです。そこで調理師学校に入り直し、卒業後は広尾の日本料理店に入りました。その店は、今はもうないんですが、現代作家のギャラリーも兼ねていまして、器使いが面白かった」。

お造り(2人前)5種類2800円。羽太(長崎)、勘八(長崎)、甘海老(北海道)、メジマグロ(宮城)、ハモ(淡路)

器に興味があった長江さんは、料理の修業はもちろん、いつか独立する時のために少しずつ器を買い集めていた。そして平成25年10月、目白に自分の店を構えた。「小さな店といっても、季節ごとに器を替えるのが日本料理の楽しみですから。器をあれこれ合わせて料理を出すのが楽しいんです」と長江さん。

もちろん料理を引き立てる脇役も大切。リーズナブルで幅広い日本酒、焼酎、ワインの品ぞろえも、くいしん坊な酒好き(=私)でも申し分ないラインアップだ。

鮎(アユ)一夜干し1450円。骨をキレイに取り出しカリカリに揚げて骨煎餅に。塩焼きもおいしいが、また別の魅力を味わえる

長江さんの仕事はていねいで無駄がない。長江さんは「見た目は普通の煮凝りですが、ここで食べた煮凝りが一番おいしい。そう言われるよう、一つひとつの料理の完成度を高めていきたい」と語る。

そしていずれはコース中心にしたいという目標もある。でも、私は思う。懐石に劣らぬ料理を、居酒屋と変わらない値段でできる料理人はそういない(それは技術的にもだが、何より心意気の問題ではないか!)。

オープンから3年、メニューからはずせない料理がある。蕪(カブ)と鶏セセリの葱(ネギ)塩ポン酢和え(720円)、真鯛(マダイ)ほぐし身の焼味噌(みそ)(780円)。

コース(要予約、6200円)の八寸。新ジャガとズッキーニの塩辛焼き、もずく酢、とり貝とアスパラの酢味噌和え、ハモ子の煮凝り、キビナゴの唐揚げ、海老真丈のふわふわ揚げ、真鯛ほぐし身の焼味噌、カラスミ大根

どちらもお酒をおいしくする絶妙なスペシャリテだ。鯛の骨の隙間の細かい部分も、ていねいに扱えば魅力的な一品になる。それが料理人の腕。長江さんが考えるコース仕立てにも興味があるけど(コース料理は予約があれば可能)、気軽に足を運べる今のスタイルをもうしばらく続けてもらいたい。

Yahoo!ロコ待つ宵
住所
東京都豊島区目白3丁目5-8

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アクセス
目白駅[出口]から徒歩約3分
雑司が谷駅[2]から徒歩約12分
池袋駅[西武南口]から徒歩約12分
電話
03-6908-2364
営業時間
17:30~22:00(L.O.)
定休日
毎週月曜日、第1・3火曜、その他不定休
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Yahoo!ライフマガジン編集部

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