犬養裕美子のお墨付き!25種類の素材が味わえる、人形町・丈参

連載

犬養裕美子のアナログレストラン

2017/08/03

犬養裕美子のお墨付き!25種類の素材が味わえる、人形町・丈参

“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくても居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。31回は人形町<丈参>だ。

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

メニューを見て驚く! 
鶏の部位って、こんなにあるの?

みさき、きんちゃく、ふりそで、心のこり……メニューに並ぶ摩訶(まか)不思議な単語に、初めての客は戸惑う。焼鳥屋なのだから鶏の部位だろうけど、いったいどの部分なのか? 正解は雌鶏のテール、ホルモン、手羽のつけ根、心臓のつけ根。

都営浅草線、東京メトロ人形町駅より徒歩約3分、都営新宿線浜町駅より徒歩約5分。周囲は最近、マンションも増えた下町エリア

内臓を中心に20種以上の部位がありますね。これだけそろえている店は少ないと思いますよ。というか、うちも仕入れには、苦労しています。細かい部位にわけてくれる業者が、めっきり少なくなってきていますから」と店主の出浦丈裕(でうらたけひろ)さん。

出浦丈裕さん、46歳。「寡黙」「声をかけづらい」と言われているが、実は焼き台の上のダクトの音が大きく、お客さんの声が聞こえないそう。「話しかけられて、何度も聞き直すのも失礼で」。焼き台に集中することに
田代恭平さん(36歳)。料理担当として、一品料理や〆のご飯ものを担当。店のオープン前から一緒に仕事をしていたので、かれこれ17年

白金の名店「酉玉(とりたま)」での修業後、人形町の一角にこの店を構えて10年目を迎えた。わざわざ予約を取って通ってくる常連が多いのは、ここで味わえる「焼き鳥」が、立派な「専門料理」だからだ。

店内はカウンター12席のみ。必ず予約を! 

「焼き鳥」は、日本が誇る肉料理

一羽からほんの少量しか取れない稀少(きしょう)部位をきれいに整えて串に刺す。そして、炭火でじっくりと焼く。その焼き方にも出浦さんならではのテクニックがある。炭火の良さを最大限に生かした、香りのいい焼き加減

「もちろん焦がすのは論外。苦いだけですから。こんがりと、素材の特徴に合わせた焼き色まで焼いていくのが難しいんです」。例えば、みさき(雌のテール)ならプリンとした弾力を出したいので、皮目をきつね色に仕上げるのがいちばんおいしいんだそう。

紀州備長炭を使用。鶏の脂が炭に落ちて、その煙で焼き鳥がいぶされる。その香りが何とも言えないおいしさに。出浦さんは焦げる手前まで焼く“攻めの焼き”

素材に合わせて味付けも変える。塩、タレ、ガーリックバター、バルサミコソース、生醤油などなど。フランス料理と同じ様に、部位ごとに味付けやソースを変えて、それぞれ風味を引き立てるのだ。

もちろん、どの部位に、どの味付けが合うかは出浦さんの長年の経験からアレンジしたもの。「うちではまず『おまかせコース(7本1800円、10本2500円)』のどちらかを注文してもらって、それからお好きなものを追加していただくのがいいと思いますね」と出浦さん。

おまかせ7本 1800円コースより。左から、生麩(なまふ)、ソリレス(モモの付け根)、おたふく(リンパ線)、みさき(雌鶏のテール)。素材によってひと串のボリュームが違うのも、味のバランスを考えてのこと
おかかせ7本 1800円コースより。左からふりそで(手羽のつけ根)、きんちゃく(雄鶏の生殖器)、げんこつ(ひざの軟骨)。アラカルトは、230円か320円

ひと串、ひと串を頬張るごとに、香り、食感、うまみのジューシー感が違う。基本的には塩ベースの味付けが多いが、合間にインパクトのあるひと串が登場する。例えば、きんちゃく(雄の生殖器)はニンニク醤油(しょうゆ)で。背肝(せぎも)にはバルサミコ酢を。コースで味わってこそ、その変化が楽しめるのだ。

焼鳥に加えて、ぜひ食べて欲しいのが、白レバーのたたき。フォワグラに負けないネットリさと上品さは格別だ。さらに酉(とり)モツ煮込みも人気の定番。そして、私はいつも〆(シメ)の親子丼と東京鶏飯の選択に悩まされる。

〆に欠かせない東京鶏飯780円。オープン頃から変わらない人気メニューのひとつ

サラサラっとおなかに入るのは鶏のうまみが凝縮している白湯だからこそ。「『東京』名物になるように」と、オープン時に「東京鶏飯」と名付けられたが、間違いなく「東京名物」になったと思う。

大阪の秋鹿酒造「純米無濾過(むろか)原酒 山廃(やまはい) 秋鹿」1合840円、美山錦「蒼空(そうくう)」1合800円。日本酒は純米を中心にしっかりした旨味のある酒をそろえている
シャンーパーニュがよく飲まれる焼鳥屋でもある。エグリ・ラーリュ12500円、赤ワインはスペインがおすすめ。イサディ・クリアンサ テンプラニーリュ5600円

「最近は、海外からのお客さんも増えてきましたが、『内臓は食べられません』って言われちゃうと困っちゃいます」と出浦さんは苦笑いするが、そういう人こそ、ここで内臓好きになってほしいと思う。

Yahoo!ロコ丈参
住所
東京都中央区日本橋人形町2-25-11 三幸ビル1F

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アクセス
人形町駅[A4]から徒歩約3分
人形町駅[A1]から徒歩約4分
浜町駅[A1]から徒歩約4分
電話
03-3639-1129
営業時間
月~土 17:30~24:00
定休日
毎週日曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

この記事を書いたライター情報

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

東京を中心に地方や海外の食文化、レストラン事情を最前線で取材。ファッション誌から専門誌まで数多くの雑誌で連載を持ち、その店の良さ、時代性をわかりやすく解説。特に新しい店の評価に対する読者の信頼は厚い。食に関わる講演・審査員など多数。農林水産省顕彰制度・料理マスターズ認定委員。

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