食通俳優・中尾彬が語る! 行きつけの冷し中華“発祥”店の魅力

食通俳優・中尾彬が語る! 行きつけの冷し中華“発祥”店の魅力

2017/07/10

芸能界随一の食通・中尾彬さんが足繁く通う老舗中華料理店をご存じだろうか?東京・神保町にある明治39年創業の「揚子江菜館(ようすこうさいかん)」だ。同店で誕生した冷し中華は、当時の味を守り続け、今も大勢の客に愛されている。そんな元祖の味を中尾さんが実食、その魅力を語っていただいた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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中尾彬さんが発祥店で富士山型冷し中華を実食!

「揚子江菜館」に到着した中尾さん。「このしっかりとした店構えがいいよね。老舗の歴史を感じさせてくれます」と中尾さん
中尾彬

中尾彬

俳優

毎年夏になると、「揚子江菜館」「五色涼拌麺(ごもく冷しそば)」を食べに来るという中尾さん。芸能界きっての食通である中尾さんを魅了する冷し中華とは、一体どんなものだろうか? 早速その魅力を語ってくれた。

\中尾流 冷し中華の魅力/
1.「夏はやっぱり酢の物」
2.「冷し中華のルーツを知る」
3.「味も見た目も楽しむ」

1.「旬の料理を食べる」

「今日も暑い。冷し中華がおいしい季節だね」と笑う中尾さん

――冷し中華はよく食べますか?

中尾彬さん
中尾彬さん
「毎年夏になると食べたくなりますね。夏は鍋料理より冷し中華が食べたくなる。私の持論ですが、春夏秋冬、旬の料理が一番うまいんです。夏は体が酢の物を欲しますからね。冷し中華やお寿司など、暑い時期には酢の物が食べたくなります」

――冷し中華の具材へのこだわりはありますか?

中尾彬さん
中尾彬さん
たまごキュウリ、それにチャーシュー…。この店の冷し中華の具材はどれも好きですよ。ときどき、自宅で妻の志乃が作る冷し中華を食べることはありますが、外で冷し中華を食べるのはこの店でだけ。それだけ特別な冷し中華なんです」
「元祖冷し中華が食べられる店があるんだ」と友人を誘い、一緒に食べに来ることもあるという中尾さん

――日本で食べられる冷し中華は、本場とは異なりますか?

中尾彬さん
中尾彬さん
「もともと中国では冷し麺は一般的ではなかったようです。中国では麺の上にエビやチャーシュー、キュウリなどの具材を乗せて、ゴマダレをつけて食べる。これはいわゆるつけ麺ですよね。日本の冷し中華のように、冷えた麺に甘酢ダレをかけて食べる料理はなかったようです。つまり、冷し中華は日本料理なんです」

2.「冷し中華のルーツを知る」

奥行きのある広々とした店内。1階から5階まで5部屋もあるので、フロアを貸し切りたいという要望にも応えてくれる

明治39年創業の中華料理店「揚子江菜館」昭和8年に2代目のオーナーが考案した甘酢ダレの冷し中華は、今や日本中で愛される定番の味となっている。冷し中華の提供を開始した当時から現在に到るまで、味は一切変更していない。2代目が200回以上にわたり、試行錯誤をして作り出したという冷し中華の味を守り続けているのも、この店のすごいところだ。

――中尾さんと『揚子江菜館』の出合いのエピソードを教えてください。

中尾彬さん
中尾彬さん
「私が初めてこの店に来たのは、今から30年以上前になるかな。当時、テレビの仕事で冷し中華のルーツを訪ねて全国を回ったんです。たくさんの店を訪ねて、冷し中華を食べたのですが、その中で『ここがルーツだ』と思える店に出合いました。それが『揚子江菜館』です。今は、2ヵ月に1回ほどのペースで来店して、その季節ごとに食べたい料理をいただいています」
麺は絶妙な加減で茹で、最後に冷水でしめる
具材は全部で10種類
2代目が最もこだわったという秘伝のタレをかけて召し上がれ
オーダーごとに一つひとつていねいに盛り付ける

冷し中華に使用するたまご麺は特注でレシピを蕎麦屋に提供し作ってもらっている。麺はたまごをふんだんに使うことで、時間が経っても伸びることがなく、おいしく食べられるよう工夫されている。

一方、秘伝のレシピで作られるタレは、酢や砂糖がバランスよく配合されており、あっさりしていながら、しっかりと麺に絡む。そして一口食べると、口の中に優しい甘みと酸味がしみわたっていく。

具材はタケノコ寒天チャーシューキュウリシイタケエビサヤエンドウウズラ肉団子の全10種類。この10という数字にはこだわりがあり、中国語で「完全」を意味する言葉「十全十美(じゅうぜんじゅうび)」に由来するという。

3.「味も見た目も楽しむ」

これが元祖冷し中華「五色涼拌麺」(1510円)。真夏には1日150食以上の注文が入るという超人気メニュー
「五色涼拌麺」が運ばれてくると、「これだよ」と笑顔になる中尾さん

――見た目が美しいですね。崩すのがもったいないくらい(笑)。

中尾彬さん
中尾彬さん
「そうだろう(笑)? これは富士山の形をしています。昔、この店の2階から富士山が見えたそうで、2代目はそこからインスピレーションを受けたんだ。山盛りの麺に沿うようにタケノコ、寒天、チャーシュー、キュウリが盛られ、麺の上には雲を模した錦糸卵が乗っています。とても美しいフォルムをしていますよね。さらにサプライズもある。ウズラと肉団子が錦糸卵の中に潜んでいるんです。麺を崩すと、山からウズラと肉団子がポロポロっと落ちて来て、思わず笑顔になっちゃう。2代目の遊び心もすてきですね」
いざ実食。「うん、結構な味です」と中尾さん

――お味はどうでしょう?

中尾彬さん
中尾彬さん
うまいですね。いつ来ても同じ味で出してくれます。味付けも最高ですよね。しっかりと味付けしたシイタケ、パリパリとした食感のキュウリ、そして歯ごたえがあるチャーシュー。タレは、醤油と酢のバランスが最高です。麺は程よく冷たくて、喉越しがいいから、食べていてツルツルいけちゃう。全体的にバランスがとてもいい。それがこの冷し中華のおいしさの秘密だと思います」
同店の常務取締役を務める沈松偉さんと談笑する中尾さん。実はお2人、以前テレビ番組で共演したこともあるのだとか

――中尾さんにとって神田とはどんな街ですか?

中尾彬さん
中尾彬さん
「私の自宅は神田からほど近くて、学生時代もよくこの街に来ていたから、愛着があるんです。今でも、ときどき画材屋や古書店に行くんですよ。それに神田にはおいしいコーヒーが飲める喫茶店もあるし、ジョン・レノンが眼鏡を買った店なんかもある。男心をくすぐる街なんです」

――私は学生時代、神田でアルバイトをしていたので、「男心をくすぐる街」というのがよくわかる気がします。神田はカレーの街でもありますよね。

中尾彬さん
中尾彬さん
「うん。神田には数多くのカレー専門店がありますが、私が食べに行く店は決まっています。スマトラカレーライスの老舗『共栄堂』。この店の『タンカレー』は絶品だよ」

――ありがとうございました。それでは最後の質問です。中尾さんにとって『揚子江菜館』とはどんなお店ですか?

中尾彬さん
中尾彬さん
「面白い神田の街を散歩しているときに、『中華が食べたい』とふらっと立ち寄りたくなるのが、この店だと思うな。冷し中華を注文したら、料理が運ばれてくるまで買ったばかりの本を広げてもいい。この店の料理は、冷し中華以外も絶品なので、伝統の味を楽しんでほしいですね」
「毎年夏になるとこの味が食べたくなるんだ」と中尾さん

\中尾さんイチオシの別メニュー/

「上海式肉焼きそば」(1300円)。これまで数々の焼そばコンテストで優勝した絶品だ
中尾彬さん
中尾彬さん
「この焼きそばは、もやし、白菜、玉ねぎ、きくらげ、肉と、5種類の具材しか使っていないのに、とにかくうまい(笑)。玉ねぎの香ばしい匂いと甘みが存分に引き出されていて、素材そのものの味を楽しめます。素材のうまみを追求して、調味料でごまかさないところはさすがですね。実にシンプルでおいしい。この見た目も食欲をそそりますよね。かつて作家の池波正太郎さんが好んで食べたそうです」

取材メモ/食通の中尾彬さんをうならせる創業111年の中華料理店「揚子江菜館」。伝統の味を守り続ける冷し中華は、まさにこの店の歴史そのものです。「先代の味を守り続けるのが老舗」と語る中尾さん。「また来ます」と笑いながら去って行ったその後ろ姿に、30年以上通い続ける行きつけのお店への並々ならぬ愛情を感じました。

取材・文=樋口和也(シーアール) 撮影=内田龍

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