夏本番を前に訪れたのは、周りを海に囲まれリゾート地としても人気の和歌山県。マリンリゾートもさることながら、やっぱり外せないのがご当地グルメ。そこで地元のグルメからイベントまで、県内の情報をくまなく網羅するフリーマガジン『月刊アガサス』の編集長に、おすすめグルメを教えてもらった。
Yahoo!ライフマガジン編集部
知られざる新ネタを求めて、県内全域を走り回る編集長のおすすめとは⁉
海あり、山あり、川ありと、アウトドアの聖地ともいえる和歌山。そんな和歌山の夏を遊びつくす前に、まずは腹ごしらえと、編集部イチの食いしん坊・編集Mが現地に赴き、地元で愛され続けるフリーマガジン『月刊アガサス』の編集長にイチオシのお店を伺ってきました。
和歌山の名物グルメとはいかに……体当たりの突撃レポート開始です!
\やってきたのはココ!/
『月刊アガサス』編集部
『月刊アガサス』は1986年に創刊。もともとは有料誌として書店やコンビニなどで販売されていたが、幅広い年代、多くの人に情報を届けるため、2010年3月にフリーマガジンとして再スタート。和歌山県内全域を対象に、雑誌で培った実績と情報収集力を遺憾(いかん)なく発揮して、暮らしに役立つ情報を発信している。
グルメからファッション、イベントまで、ポップカルチャーを牽引(けんいん)し続ける『月刊アガサス』。中でも力を入れているのがグルメ。新店舗はもちろん、誰もが知る老舗からローカルしか知らない隠れた名店まで、一つ一つ足で稼ぎ、食べ歩いた情報は本物。そこからさらに選び抜いたセレクト情報を聞き込み調査します!
- 編集M
- 編集M
- 「こんにちは! 和歌山のとっておきグルメ情報をゲットしにやってきました。編集長はいらっしゃいますか?」
『月刊アガサス』編集長 松本雅樹さん
松本雅樹さん
フリーマガジン『月刊アガサス』編集長
- 編集M
- 編集M
- 「さっそくですが、和歌山を知りつくす松本編集長のおすすめグルメって何ですか?」
- 松本さん
- 松本さん
- 「和歌山はまさに食材の宝庫。海はもちろん、山も川もあるわけですから、旬のグルメネタには事欠きません。その中で“和歌山初心者”におすすめするなら、やっぱり“中華そば”と“海の幸”でしょうね」
- 編集M
- 編集M
- 「そういえば少し前にご当地ラーメンのブームがありましたね。その中で確か、和歌山といえば“中華そば”でした。和歌山ではラーメンではなく、中華そばって言うんですね」
- 松本さん
- 松本さん
- 「そうなんですよ。一般的には豚骨醤油(しょうゆ)ベースのスープが特徴で、屋台ラーメンが発祥だといわれています。『月刊アガサス』でも中華そばを掘り下げて本を出版したことがありますが、一言で豚骨醤油といっても奥が深くて……。お店によってはメニューにアレンジを加えたり、広がりを見せていますよ」
- 編集M
- 編集M
- 「麺マニアとしては楽しみですが、いろいろ迷いそうですね(笑)。その中で松本編集長のご推薦として、ランチで行くならどこですか?」
- 松本さん
- 松本さん
- 「ランチなら『中華そば 丸田屋』はいかがでしょう。ここならうってつけに、地場の『しらすめし』も食べられますしね。和歌山では中華そばのお供に『はや寿司(すし)』が有名なのですが、ランチではちょっと量的に物足りないんですよね。もちろん丸田屋にもはや寿司はありますが、ランチではガツンとしらすめしを丼でがっついて、午後からの仕事を頑張るわけです(笑)」
- 編集M
- 編集M
- 「中華そばと一緒に、和歌山の海の幸も堪能できるなんて、和歌山初心者にはもってこいですね! では、私もこれからの取材に向けて、ガツンと『中華そば 丸田屋』へ行ってきます!」
◆編集長の推薦グルメ ランチ編
元祖中華そばの味わいを受け継ぎ進化する「中華そば 丸田屋」
中華そばの火付け役ともなった豚骨ベースの“井出系”の味わいを継承しつつ、地元の人が毎日でも食べたくなる後味のあっさり感を追求する「中華そば 丸田屋」。2002年の創業から15年余り、現在「岩出本店」、「次郎丸店」、「ぶらくり丁店」と、和歌山県内に3店舗。着実に店舗を拡大し、その味わいを広めている。
休日や大型連休になると丸田屋の店舗はどこも行列ができる。行列は観光客よりも地元の人が中心。特に「岩出本店」と「次郎丸店」は、市街地から少し離れた郊外にあり、広々とした店内は子ども連れの家族でにぎわっている。
- 松本さん
- 松本さん
- 「一口に中華そばといっても、お店によって全く味わいが異なり、豚骨のギトギト感や醤油味が際立っているものなどさまざま。丸田屋はこのバランス感が素晴らしく、豚骨醤油の満足感もありながら、あっさりといただけるんです。女性ひとりでも入りやすい店構えで、仕事の合間にサッと利用もできるし、家族でゆっくりもOK。そんな雰囲気づくりも、幅広い層に支持される理由の一つでしょうね」
- 編集M
- 編集M
- 「こんにちは! 松本編集長にご紹介を受けて『中華そば』と『しらすめし』をいただきに来ました‼」
- 岡さん
- 岡さん
- 「いらっしゃいませ! 伺っていますよ、和歌山で中華そばを食べるのは初めてとか。それじゃあまず味わってもらわないと‼ さっそく作りますね」
- 岡さん
- 岡さん
- 「どうぞ、はや寿司とゆで卵はお好きに召し上がってくださいね。和歌山では昔からこのスタイルで、お会計は精算時に自己申告。これが和歌山カルチャーなんですよ」
- 編集M
- 編集M
- 「すごい! お客さんとの深いつながりを感じる素晴らしい文化ですね。それになんだか初めてでもなじみになった気分で、ちょっとうれしいかも」
\これが待ちに待った和歌山名物!/
「中華そば」と「しらすめし」
「中華そば 丸田屋」のこだわりは、中華そばを愛するオーナーの熱意から始まっているという。小学生の頃から中華そばに心酔し、お店を持つことを決意。高校卒業と同時に和歌山の老舗で修行を積み、元祖の味を大切にしつつオリジナルを追求してきた。
味わいを決めるスープは、豚骨と鶏ガラを丁寧に炊き込み、雑味が出ないようにじっくりと8時間。うまみと風味とコクを最大限に引き出し、秘伝の醤油ダレとブレンド。豚骨醤油スープのこってり感を味わいながらも、のどごしがよく後味はあっさり。老若男女、万人に愛される理由がわかる。
- 編集M
- 編集M
- 「豚骨醤油スープのいい香り……ほんとに香りもごちそうですね。そして、スープによく絡まる中細のストレート麺がうれしいんですよ。ツルツルとのどごしがよくて、女性でもペロリといけちゃいます!」
- 岡さん
- 岡さん
- 「麺も自社の工房で打っている自家製麺です。スープの味わいとともに、麺そのものの味や食感を楽しめるように、季節によって配合を調整しながら工夫しています」
- 編集M
- 編集M
- 「松本編集長がスープのバランスのよさを絶賛していました。ほんとに、おっしゃるとおりで見た目はこってりとしているのに、味わうほどにあっさり、スープまで完食できますね」
- 岡さん
- 岡さん
- 「ありがとうございます。それが一番うれしい褒め言葉です。地域に根ざした中華そばとして、子どもからお年寄りまで誰にでも喜んでもらえる味わいがモットーです。一度食べて、また次の日も行きたくなるパンチと後味のバランス。中華そばの入門編として、世代を超えて愛されるお店を目指しています!」
メニューは「中華そば」、「特製中華そば」、「大盛中華そば」、「特製大盛中華そば」の4本柱で勝負。スープや麺だけでなく、三元豚バラ肉をじっくり炊き込んだ自家製チャーシューも評判。
ちなみに“特製”はチャーシュー増量。あっさりとバランスよく食べてもらうため、チャーシューはあえて薄くスライスし、お年寄りにも「特製大盛中華そば」のファンは多いという。また1日限定30食の売り切れご免で、中華そばのお取り寄せも可能!
▼Lunch Data▼
時間:11:00〜翌3:00(ぶらくり丁店)
予約:不可(休日は11:30〜13:30、18:00〜21:00のピーク時を外すと比較的並ばずに入店できる)
- 編集M
- 編集M
- 「続いて和歌山のディナータイムですが、松本編集長がおすすめするお店はどちらですか?」
- 松本さん
- 松本さん
- 「県外からのお客さんをおもてなしする時に、よくお連れするお店です。その日に水揚げされた魚のおいしさを堪能できるのはもちろんですが、器を生かした盛り付けの彩りが最高にゴージャスなんですよね。和歌山を代表する名店の一つです」
◆編集長の推薦グルメ ディナー編
その日に水揚げされた新鮮魚介! 本物を知る大人の味わい「銀平」
こだわりは和歌山の漁港でその日に水揚げされたばかりの魚。現在、国内に11店舗を構える「銀平」だか、当然そのこだわりは全国共通。新鮮な魚介類をシンプルに、素材の持ち味を最大限に生かして最高のごちそうに仕上げてくれる。
メニューは「造り」、「焼き」、「煮物」といたってシンプル。だからこそ、素材の味わいがダイレクトに料理へと響く。仕上げる料理人たちも、もちろん和食のスペシャリストたち。全国の「銀平」で活躍する60人以上の料理人が、素材の味わいを重視し、磨いた技とセンスで、これぞ王道の日本料理を楽しませてくれる。
- 松本さん
- 松本さん
- 「和歌山グルメといえば、やっぱりイメージするのは魚でしょう。『銀平』はただ新鮮なだけでなく、その日に獲られたばかりの一級品を仕入れています。そのため、鮮度と味わいは確かですよ。種類にもよりますが、夜8時以降は造りや煮物などを半額にするといいます。それだけ素材に対してこだわっているということでしょうね」
- 角谷さん
- 角谷さん
- 「お待たせしました。『和歌山本店』の店長、角谷(かくたに)翔平です。今回は和歌山の旬の魚を存分に楽しんでいってくださいね」
予想を超える鮮度と彩りに思わずため息
さっそく真打ちの「造り」が登場!
- 角谷さん
- 角谷さん
- 「魚はいずれも和歌山の漁港から仕入れています。中心は有田の辰ケ浜(たつがはま)漁港ですね。日本一の水揚げ量を誇るタチウオからイカ、タイなど種類も豊富で、なにより紀伊水道の荒波でもまれた魚たちは身がしまって脂が乗っています」
- 編集M
- 編集M
- 「タチウオってこんなに肉厚で脂の乗った魚なんですね、びっくりです! 焼き魚の時はホクホクと柔らかい身のイメージでしたが、造りにするとコリッコリッ。しかも白身の魚だから、脂は乗っているけど味わいは上品。これは地元でしか味わえないですね」
- 角谷さん
- 角谷さん
- 「今回は自慢のタチウオを中心に、コロダイ、ハマチ、赤イカ、メバチマグロを用意しました。季節によって魚はもちろん、器も盛り付けも変わります。いつ来ても違う味わいが楽しめるはずです」
- 編集M
- 編集M
- 「煮物にしても身がプリップリで、鮮度のよさがうかがえます。付け合わせの梅干しのおかげかもしれませんが、味わいはあっさり。なんだかお酒が欲しくなりますね(笑)」
- 角谷さん
- 角谷さん
- 「漁師町ならではで、煮物は醤油と水だけで炊き上げるんですよ。シンプルですが、素材を生かす漁師たちの昔からの知恵。身の食感も楽しんでいただきたいので、サッと炊き込む程度で仕上げています」
- 編集M
- 編集M
- 「そろそろシメのお料理を……と思うのですが、店長のおすすめはありますか?」
- 角谷さん
- 角谷さん
- 「せっかくですから、名物の“鯛(タイ)めし”を食べてみてください。遠方からのお客様に喜ばれるひと品です」
- 編集M
- 編集M
- 「料理の味わいもさることながら、見た目、彩りにも感動させていただきました。中でも大皿の重厚感と迫力は、なかなか普段では味わえないスケール感。思わず声をあげてしまいました(笑)」
- 角谷さん
- 角谷さん
- 「ありがとうございます。水と米と一番だし、そして素材をなによりも大切にするのが和食の基本。そこに器や彩りで華をもたせ、おもてなしの心を表現しています。その気持ちを少しでもお伝えすることができればうれしいです」
季節、その日に水揚げされる種類にもより、メニューは日替わりで提供される。価格も毎日変わり、ディナーの平均は5000〜7000円と、若い人にとっては少々お高め。しかし“本物を知る”という機会は、早々あるものではない。せっかく足を伸ばして和歌山まで来ているのだから、少し贅沢をして経験値を上げるのもオツ。
それでも……と言われる方は、松本編集長から耳寄りな情報をゲット。「ランチタイムはお造り御膳が1500円〜(税別)ととってもお得。実は僕も普段はランチ利用が定番でした」と。昼も夜も変わらず、新鮮な地場の魚と器で和歌山グルメを楽しませてくれる。
和歌山グルメ、ごちそうさまでした!
▼Dinner Data▼
時間:11:30〜14:00(LO)、17:00〜22:00(LO)
予約:予約可能(平日も休日も予約で埋まるため事前連絡がおすすめ)
最後に、松本編集長に和歌山の魅力を語っていただきました
- 松本さん
- 松本さん
- 「和歌山の夏はやっぱり海が輝く季節です。和歌山市内にも、サーフィンの聖地・磯の浦海水浴場や風光明媚(ふうこうめいび)な片男波海水浴場、夏休みには花火も打ち上がる和歌山マリーナシティ近くの浜の宮ビーチと、泳げる海がいっぱい。また少し遠くまで足を伸ばすなら、リゾートとして有名な白浜もおすすめです。こちらは、海に突き出る岩風呂・崎の湯や白良浜海水浴場に隣接した水着のまま楽しめる温泉など、観光名所も点在。グルメと一緒に、和歌山の海も堪能してほしいですね」
- 編集M
- 編集M
- 「和歌山は海の魅力でいっぱいですね。海がきれいだからこそ魚もおいしいし、暖かい気候だからかお店の方々も温かい人ばかり。たっぷりと和歌山を満喫させてもらいました。次は白浜でおすすめの温泉につかって、アドベンチャーワールドのパンダファミリーにも会いたいな〜」
\松本編集長が作るマガジンはこちら/
和歌山県フリーマガジン『月刊アガサス』
毎月25日発行、無料配布
和歌山のタウン情報発信マガジン。グルメからファッション、地域イベント、人ネタ&街ネタまで、県内全域の旬な情報をポップカルチャーとして発信。斬新な切り口の企画で和歌山を遊びつくす!
取材メモ/「中華そば 丸田屋」で初めて豚骨醤油スープにであい、「銀平」では初めてのタチウオのお造り。地方にはまだまだ知らない味わいがいっぱいですね。これでまた、探究心と食欲に火がついちゃいました!
取材・文=近藤麻衣子 撮影=Yahoo!ライフマガジン編集部
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