宮城県亘理町で温泉とはらこめしを愉しむ

2017/07/16

宮城県亘理町で温泉とはらこめしを愉しむ

亘理町荒浜地区にある町営の宿泊施設「わたり温泉鳥の海」。東日本大震災の被災地域にあり、地元住民や同町を訪れる多くの人に癒やしの湯を提供。一時営業休止の困難もありながら「地域のために」と再スタートを切った。変わり続ける地域と共に、施設もまた手を携えて力強く前へ歩みを進めている。

中広

中広

わたり温泉鳥の海
地域に愛されるシンボルに

「わたり温泉鳥の海」が町設町営としてオープンしたのは、平成20年2月。海水浴場としても人気の荒浜の海岸から100メートルにあり、最上階に設けられた浴場からは、東に太平洋を望む。絶好のロケーションが話題となり、当時は1日平均およそ600人、年間にして約20万人の利用がある亘理町のランドマークとも言える施設となっていた。

●利用料金:大人(中学生以上)500円 小人(幼児)250円 幼児(未就学児)無料 ●営業時間:10:00~20:00(受付は19:30まで)

人が人を呼ぶように次第に利用者も増加してきたと思った矢先、平成23年3月11日に東日本大震災が発生。その立地から施設には1階の天井まで浸水し、一部は2階も浸る8メートルの津波が押し寄せた。犠牲者こそいなかったものの、開業からわずか3年のこの出来事。関係者に落胆が広がったことは想像するに難くない。

亘理町では沿岸から最大3.6キロ地点まで津波が襲い、「わたり温泉鳥の海」の周辺の景色も一変した。運動施設や住宅地、港など人々の営みは姿を消し、その中にあって施設も営業を休止。抗いようのない現実だった。

温泉はもちろん、太平洋を見渡せる展望に癒やし効果は抜群!

復興への希望に

「被災した地域の方々を癒したい。なんとか早く温泉に入れるようにしてほしいんだ」。営業再開を誰より望んだのは、当時の齋藤邦男町長だった。人々が仮設住宅など不自由な暮らしを強いられる中、早期の復旧へ声を上げたのだ。

幸いにも施設本体は、浸水したものの地震による損傷はなく、深さ1400メートルにある源泉も生きていた。その後、平成24年4月から平成26年3月までの2年間は、町内のガレキ処理を担った企業の宿泊先として貸し出した。同時に復旧工事を急ピッチで進め、総額5億8千万円ほどの復旧工事が完了したのはその3月末。そして、その年の10月4日、日帰り入浴のみでの営業再開に漕ぎ付けた。

ワンコインで大満足のひととき!

震災で惨状が広がった地域にあって、「わたり温泉鳥の海」の再開は仮とは言え、町民たちにとっては実感しにくい〝復興〟への希望の兆しとなった。昨年の施設利用者は1日平均で436人、年間では15万人を超える人々が町内外から足を運んでおり、確かな地域振興の核となっている。

完全復活を目指して

「わたり温泉鳥の海」で現在、所長を務めているのは、亘理町に生まれ育ち、町の議会事務局長を務めていた丸子司所長(61)。「良いお湯でとろっとしているのが特長。体の芯まで温まるので湯冷めがしにくいところも一押し」と唯一にして看板商品とも言える温泉の魅力を語る。
 
「地域を活性化させたいという願いで建てられたのが鳥の海」。開業当初の地域への想いは、震災を経てさらに強くなっている。

わたり温泉鳥の海 丸子司所長
わたり温泉鳥の海 丸子司所長
「この荒浜という場所は海があり、釣りができ、夏には祭りで花火も上がる。地域外から人を呼び込む観光拠点としてはもちろん、地元に定着した地域に愛される施設になっていきたい」

しかし、2015年度から4階部分は食堂として期間限定でオープンしたものの、2、3階の宿泊部分は未復旧。そこで町では2016年8月末の議会で施設の運営を、秋保の老舗ホテル「佐勘」に委託する方針を明らかにした。計画では改修を経て、2017年中に宿泊事業を再開する見通しという。「そうなれば、お客さんとしても湯に浸かってみたいですね」。丸子所長はそう、施設の将来を描いていた。

Yahoo!ロコわたり温泉鳥の海
住所
宮城県亘理郡亘理町荒浜築港通り41-2

地図を見る

電話
0223-35-2744
営業時間
通常 10:00~20:00
定休日
第3水曜/年末年始
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。


「わたり温泉鳥の海」では、町を訪れた人々にもっと町の魅力を伝えようと、〝亘理の味〟とも言える『はらこめし』の定食を提供している。鮭の旬である9月から12月中旬までの期間限定ではあるが、温泉で体を癒した後に多くの来館者が伝統の味を楽しみ、その美味しさに思わず〝胃をつかまれ〟、もう一度亘理町に足を運ぶきっかけにもなっている。

郷土の味を伝えるために
はらこめし定食「おしか商店」

老舗の意地で

食堂がある4階でエレベーターを降りてロビーに出ると、まず目の前に広がるのは荒浜海岸と仙台湾。そして、食堂の入り口には『おしか商店』と書かれた青いのれんが揺れる。

亘理といえば「はらこめし」

『おしか商店』と言えば、亘理町台田に店を構えるはらこめしの名店。荒浜の行商から始まり、70余年もの長きにわたり〝伝統の味〟を引き継いできた老舗中の老舗だ。一品一品を昔ながらの手作業で作り上げたその味は、2013年に開かれた「元祖はらこめし味くらべ総選挙」で見事グランプリに輝くなど、地域からもお墨付きをもらっている。

食堂は日帰り入浴再開から1年遅れた昨年から再び営業を始めた。ただし、2015年は施設職員やパートタイマーが調理を行うといった言わば応急の営業で、2016年度から事業者を正式に募集し、「郷土の味を伝える」役目をおしか商店が引き受けることになった。

贅沢な定食を1620円から楽しめます!

亘理町のはらこめしは、①イクラはメス②身はオス③身とアラのタレで炊き込む④イクラも温めたタレで絶妙に火を通すなど惜しみない手間暇をかけて完成される。さらに、おしか商店では脂の乗った大き目の鮭を使い、イクラのタレは秘伝の配合にこだわる。米もモチモチ感とコシが両立するように、県内産のササニシキとひとめぼれをブレンドして使用するなどこだわり抜いた逸品を届ける。

慣れ親しんだ地元の味を丁寧に手間暇かけて提供してくれる

受け継ぎ、伝える

「はらこめしは家族の輪の中心にある故郷の味」。3年前におしか商店の経営を引き継いだモリプレゼンス(株)の森義洋専務(36)はそう親しみを込める。

モリプレゼンス(株) 森義洋専務
モリプレゼンス(株) 森義洋専務
「亘理では、お店に行って食べるよりも、自分たちの家で作って近所に配るのが風物詩。それぞれの家で微妙に味が違っていて、『うちが1番』と張り合うこともあったりしてね」

亘理町で生まれ育った森専務は思い出を振り返る。その言葉からははらこめしが地域に愛された料理だということが伝わってくる。店内には海を望む90席ものスペースがあるが、週末の忙しい時には満席になることもしばしば。そのような時は森専務も手を動かすと言う。

モリプレゼンス(株) 森義洋専務
モリプレゼンス(株) 森義洋専務
「味見もしないといけないから、家で食べるということは減ったけれど、『今日ははらこめしだよ』というと、子どもたちは大喜びですよ!」

郷土料理は確かに受け継がれている。今はまだ仮の状態で営業する「わたり温泉鳥の海」で、温泉とはらこめしは荒浜の魅力の両輪。

モリプレゼンス(株) 森義洋専務
モリプレゼンス(株) 森義洋専務
「ここは亘理町のランドマークですから、初めて亘理に足を運ぶと言う人も多い。だからこそ、郷土の味を伝える場所としての責任は重大ですよ」

慣れ親しんできた味を受け継ぎ、そして、伝える大切な役割を噛みしめている。

Yahoo!ロコおしか商店
住所
亘理郡亘理町台田44-3

地図を見る

アクセス
亘理駅[出口]から徒歩約24分
逢隈駅[出口]から徒歩約57分
電話
0223-34-2226
営業時間
11:00~18:00土・日曜は14:30まで
定休日
不定休
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

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