予約の取れない店の料理人たちが1つのコース料理を作る夢の一夜

2017/08/05

予約の取れない店の料理人たちが1つのコース料理を作る夢の一夜

予約の取れない人気店のシェフが集い、1つのコース料理として提供してくれる前代未聞のグルメイベント「Dream Dusk(ドリームダスク)」が5月に福岡にて開催。この夢のような空間を編集部が体験レポート。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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5人の人気シェフが1つのコース料理を完成させる?

みなさんこんにちは、ライフマガジン編集部の秋吉です。

いきなりですが、例えば旅をする際、日程も予算も限りがあり「1日で全ては回りきれない」という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。特にグルメではなおさら。あれもこれも食べたいけれど、移動時間や予算を考えると1日で複数店舗を回るのはなかなか難しい。

では、予約の取れない人気店のシェフたちが一同に集い、それぞれのシェフが一皿ずつ料理を作ってくれるというコース料理が味わえるとしたら。

そんな夢のようなコース料理があれば「一度食べてみたい!」と思う人は多いのではないでしょうか。

今回、福岡市でそんなスペシャルコースを味わうことができるグルメイベントが開催されるという情報をいただき、福岡に行ってきました。

会場となったザ・ルイガンズ。「実は以前ここから5kmほどの場所にある三苫というエリアに住んでいたことがあるので、久しぶりに懐かしい場所を訪れることもできて感激もひとしお」(秋吉)

この会の仕掛け人は本田直之さん

会場となったのは福岡市の東側、地元の人たちには定番のドライブコースとしても人気のエリア・海の中道にあるホテル「ザ・ルイガンズ」。宴の開始前、今回の夢のイベントを企画された実業家の本田直之さんに話を聞くことができた。

ーー1つのコース料理を5人のシェフの料理が味わえる、夢のような企画ですね。

本田直之さん
本田直之さん
普段食べることができない料理、なかなか訪れることができないレストラン。僕が一生に一度何か面白い組み合わせで食べることができるとしたらどんな組み合わせかなと考えて。こんな組み合わせがあっていいんじゃないかな、そんな想いから、かれこれ長い付き合いのシェフたちに声をかけました。

ーー開催が日曜日の夕方からというのもグルメイベントしては珍しい気がします。

本田直之さん
本田直之さん
お客さんには申し訳ないんですけれど、個人店のシェフたちは日曜日お休みの方が多いんですね。営業日はこのようなイベントに参加してもらうことが出来ない、でもそういう才能ある人たちをみなさんにご紹介したくて、あえて日曜日にさせていただきました。

この「Dream Dusk(ドリームダスク)」の開催は昨年に続き2回目だが、前回の内容が評判を呼び、参加者の受付をスタートした途端に予定していた席数が埋まり、急遽枠を増やし合計150名が参加できるようになったのだそう。

「今日食べてもらうとわかるけど、驚きの流れだと思います」と本田さん。

「これは特別な体験ができるのでは…」と言う予感が確信に変わるのを感じながら、席に着いた。


\夢のメンバーが福岡に登場/

左から本田直之氏、「TIRPSE」田村浩二氏、「傳」長谷川在佑氏、ソムリエの大越基裕氏、「THE WAGYUMAFIA」永山俊志氏、「寿司 㐂邑」木村康司氏、「Dersou 」関根拓氏
宴のスタート告げる本田直之さん。「なぜ、日本人シェフは世界で勝負できたのか」、「The Hawaii s Best Restaurants」など著書多数
会場となった「ザ・ルイガンズ」。これから始まる宴に期待する参加者の熱気がすごかった

「Dream Dusk」のスペシャルコースを紹介

1、2皿目を担当したのは....
「寿司 㐂邑」の木村康司さん

1皿目/「寿司 㐂邑」の「蟹の塩辛」 直接手で持って吸い付くようにして食べるのには理由が…

まず一皿目は東京都・二子玉川にある予約の取れない寿司屋としても知られる「寿司 㐂邑(きむら)」の木村康司さんによる料理からスタート。

この会場にいる参加者は150名。木村さん1人で全員分を仕込むために3日間寝ないで準備したという。

この料理はカニを直接手で持って吸い付くようにして身を食べる料理。会場には「チュー」とカニを食べる音が至る所から聞こえた。

会場に設置された壇上に木村さんが登場。本田さんと2人で料理についての説明が行われた。

「ワタリガニを使った料理で韓国は『ケジャン』、中国は『酔っ払いカニ』という名前で親しまれています。日本でも名前で食べられるカニ料理を作ってみようと思いました。20年後、30年後、カニといえばこれだというものが作りたかったんです」(木村さん)

本田直之さん
本田直之さん
すごく美味しかった。このカニ料理、吸い付いて食べる。ちなみに「寿司 㐂邑」は「江戸前」じゃなくて「エロ前」と呼ばれています。
寿司 㐂邑」木村康司さん
寿司 㐂邑」木村康司さん
はい。この料理で会場をチュパチュパ言わせたかったので。(会場爆笑)
2皿目/同じく「寿司 㐂邑」の「鰯の小丼」
トップバッターの「寿司 㐂邑」木村康司さんのトークに会場も和んだ

2皿目も同じく「寿司 㐂邑」の木村さんの料理が登場。しっとりした身に脂がたっぷりのっていて、口に含むと思わずほころんでしまう。「おいしいものを食べると自然と笑顔になるな」そういうことを考えながらあっという間にたいらげてしまった。

「イワシは漢字では魚に弱いと書きますが、『鮮度が落ちやすいので今日買って今日使わなきゃいけない』というのは昔の話で。これはきっちり血を抜いて4日間寝かしたものなんです。それでこんなに脂がのるんですね」(木村さん)

昔からのやり方にとらわれることなく「今の時代だからできる新しいこと」がこの丼で表現されていた。

「魚」に「旨い」と書いて「鮨」と書くように、魚をおいしく味わうためにどのような仕事をしているのか、木村さんの声にじっと耳を傾ける参加者たちの姿が印象的だった。

会場に設置されたモニターには厨房の様子が中継されていた

いきなりシャッターチャンス
スマホ片手に壇上へ集まる人々

「寿司 㐂邑」の木村さんの料理を味わい感動冷めやらぬ中、再びマイクを手に本田さんが壇上へ。

「今回はまさかのこの会に神戸牛のシャトーブリアンを投入します。という訳で今から牛肉の磨きのパフォーマンスを行います」と本田さん。

と同時に壇上には「THE WAGYUMAFIA」永山俊志シェフが大きな肉の塊を手に登場。

「今回ご用意したお肉はフィレです。神戸牛というのは、肉の状態で470kg以下じゃないと神戸牛になれないんですね。その中からフィレが取れるのは左右で8kgくらいです。今から脂の表面の筋をカットしていきます」(永山さん)

「THE WAGYUMAFIA」の永山俊志シェフによる実演
本田直之さん
本田直之さん
原価無視の神戸牛を用意しましたね(笑)。すごくいいフィレですね。
「THE WAGYUMAFIA」の永山俊志シェフ
「THE WAGYUMAFIA」の永山俊志シェフ
今日のは普段会員制の「THE WAGYUMAFIA」でもなかなか出ないやつですね。フィレは1本4〜5kgくらいなんですけれども。これが6つのパーツに分かれていきます。

永山さんの説明を聴きながら、スマホで磨きの作業する様子を撮影する参加者たち。包丁が入るごとにくっきりと輪郭を表す見事な神戸牛の色艶を見て「これが一体どんな料理になってくるんだろう」と胸を躍らせた。


3皿目を担当したのは…
「TIRPSE」の田村浩二シェフ

3皿目/「TIRPSE」田村浩二シェフによる「イカの詰め物」

参加者が150人もの宴なので、料理が出てくる順番に若干のタイムラグがある。次の料理を待っている間に、会場から「素晴らしい!」という声が聞こえてきたのがこちらの料理。

フランス語の「ESPRIT(エスプリ)」の文字を反対から書いた「TIRPSE(ティルプス)」という店名のこちらは、2016年の「世界のベスト50レストラン」のDiscovery series に東京から選出されている。

「TIRPSE」田村浩二シェフ
「TIRPSE」田村浩二シェフ
飛鳥時代から作られていた“蘇(そ)”という日本古来のチーズがあるんです。それを再現してこの料理に使っています。イカスミと、『いしり』というイカの魚醤と合わせることで発酵感を加え、黒いイカのチーズを作って料理に合せています。(会場拍手)
本田直之さん
本田直之さん
会場のみなさん、白金台にある「TIRPSE」に行ったことがある人どれくらいいますか? あ、結構いますね。こちらは世界最速で星をとりまして、世界最速で星を失いまして、また取り直しまして(会場爆笑)。紆余曲折ある波の激しいレストランです(笑)。
「初めてこの人数で同時に料理を出しているので納得いかない部分も多いんですが…」と田村シェフ。料理を食べた人たちの「これすごい!」という感想が聞こえていた

4皿目を担当したのは…
「傳」の長谷川在佑さん

4皿目/「傳(でん)」長谷川在佑さんの「傳タッキー」。箱を開けると巣の中に手羽先が! 

メニューが出て来た途端、最も会場を和ませていたのがこちら日本料理「傳(でん)」の長谷川さんによる名物「傳タッキー」だ。

なんとなくどこかで見たことあるような(?)パッケージも楽しげで、早く中身を食べたいとお客さんたちは笑顔で蓋を開けていた。

本田直之さん
本田直之さん
2017年の「世界の50レストラン」の45位に選ばれ、日本のレストランで2店だけランクイン。いまや世界でも注目されている長谷川シェフです。忙しすぎて今日来ないんじゃないかと思ったんですけれども。
「傳」長谷川在佑さん
「傳」長谷川在佑さん
(会場入りが)に本当にギリギリだったんですけれど。今日は場所が福岡なので、博多名物の明太子と高菜が入っています。鶏肉も試食をして選ばせてもらっていまして、博多の鶏肉を使わせていただいています。
手で掴んでガブッといただいた
「ちなみに、この数のデンタッキーを作ったのは初めてです(笑)」と長谷川さん

5、6皿目を担当したのは…
「Dersou 」の関根拓シェフ

5皿目/「Dersou 」関根拓シェフの「鴨のロースト」

今回の「Dream Dusk」に参加している店舗の中から、唯一海外から招聘されたのが、パリにある関根拓シェフの「Dersou (デルス)」だ。

「今回、僕はせっかくフランスから来たので、あくまでオーソドックスなフランス料理を提供しようと伝統的な肉、野菜でやってみました」(関根シェフ)

目の前にサーブされた鴨ローストは鴨肉の皮の部分はパリッとしていて、「150人分の火入れをどうやったのだろう?」と不思議になるほど絶妙な火入れ具合で、噛むほどに鴨のうま味が口の中に広がっていった。飲み込むのをためらうほどおいしかった。

鴨肉の火入れも素晴らしく、ピンク色の断面にしばし見とれてしまった

ソムリエによるペアリングも魅了

ソムリエの大越基裕さん
ソムリエの大越基裕さん
いまみなさんに提供しているのは人気のオレンジワインと言います。ワイン発祥の地と言われるグルジアの製法で作られているもので、白ワインと同じカテゴリーです。白ワインなのですが渋いと言うのが一つの特徴になります。みなさんのテーブルには鴨のお肉がきていますが、必ずしもお肉=赤ワインではないです。ソースや風味の付け方ではオレンジワインという世界もすごく面白いです。

ここで、この日の料理にペアリングされたドリンクについても触れておきたい。担当したのは「銀座レカン」出身で、現在はJAL国際線のアドバイザーも務めるソムリエの大越基裕さん。

1皿目の「寿司 㐂邑」の「蟹の塩辛」には常温の日本酒「冨田酒造七本槍」に始まり、「TIRPSE」の「イカの詰め物」にはギリシャ・サントーニ島の白ワイン、「傳」の「傳タッキー」にはビール、といった具合に、シェフたちの料理をさらに引き立てるためのペアリングが実に印象的だった。

ここでは「Dersou 」の鴨料理に合わせた大越さんのペアリングについて紹介したい。

大越さんによるオレンジワインの説明を聞きながら鴨肉と合わせることで、料理を何倍もおいしく感じることができた。

6皿目/「Dersou 」関根拓シェフのアジアンな麺料理
本田直之さん
本田直之さん
関根拓さんはアランデュカスのお店で働いていたこともある、自由でオリジナリティに溢れた人。さっきの鴨も大好評でしたね。次に出て来たこれは僕も大好きなメニューなんですけれども。
「Dersou 」関根拓シェフ
「Dersou 」関根拓シェフ
台北スタイルです。上にかかっているのは台北でルーローハンにかかっているソースでして、生姜、ニンニク、ごま油、少し中国山椒、韓国唐辛子、コリアンダー、それをシンプルに麺の上のかけてそれを食べていただくというものです。
「Dersou 」は、フランスのレストランガイド『Fooding』で、2016年のベストレストランにも選ばれている

7皿目を担当したのは…
「THE WAGYUMAFIA」の永山俊志シェフ

「THE WAGYUMAFIA」永山俊志シェフの「神戸牛フィレ肉のカツサンド」

「最後のお料理です」と本田さん。

イベントの前半、壇上で磨きのパフォーマンスが行われた「THE WAGYUMAFIA」の神戸牛・シャトーブリアンがいよいよ登場かと胸が踊る。そしてテーブルに運ばれて来たのは、、、もしかしてサンドイッチ? 

よく見ると分厚いフィレ肉が挟まれたカツサンド!

本田直之さん
本田直之さん
神戸牛のシャトーブリアンを使ってカツサンドでくるかと。会場のみなさん驚いてますね。
「THE WAGYUMAFIA」の永山俊志さん
「THE WAGYUMAFIA」の永山俊志さん
カツサンドは私の店では頼まれた時だけお出ししている、知る人ぞ知る「THE WAGYUMAFIA」の裏メニューです。神戸牛のシャトーブリアンっていろんな調理法で食べることがあると思うんですが、カツサンドで出すのは「THE WAGYUMAFIA」だけでないかと思います。
神戸牛のシャトーブリアンを使った分厚いツサンドに驚愕
「神戸牛はサシが入っているけれどもたれないんです」(永山さん)

実はこの時すでに満腹気味だったので、この分厚いカツサンドが出てきた当初は「食べられるかな…」と少々戸惑ったのだが、ひと口食べてみると神戸牛のシャトーブリアンのとろけるようなの柔らかさと、ジューシーな肉の旨味に感動してペロリと平らげてしまった。

壇上の永山さんの「お腹いっぱいの女性でもこれを出されるとペロッと食べてしまうメニューです」と言う言葉に、ウンウンと会場で頷いていたのは私だけではなかったはず。


デザートは
「TIRPSE」の富士山カヌレ

食後のデザートとして出てきたのは「TIRPSE」の名物「富士山カヌレ」。フランスの洋菓子であるカヌレを酒粕と焼酎を使って日本ならではのカヌレとして作られた一品だ。

しっとりとした食感と焼酎の香りが心地よく、この日の宴を締めくくってくれた。

「TIRPSE」の「富士山カヌレ」
香りづけの焼酎として使用された黒木本店の黒木さんほか、この日の富士山カヌレに携わったみなさんが「カヌレブラザーズ」として壇上に登場

夢のような宴は来年も開催

イベント前に本田さんから聞いた「参加者の6、7割が東京から来ている。食べることへの思いが強い人たち」という言葉を思い出しながら、ふと今日が日曜の夜だったことを思い出す。この時間からはもう東京へは帰れないはず。「みなさん明日月曜からの仕事はどうするんだろう」ということをふと考えたが、でもこのプラチナチケットのためならそれくらいなんとかするかな、と理解できた。

最後に「来年もやります」と本田さん。

今回のスペシャルなコースの料金は3万円(税・サービス料金別)。その日のために、今からまた福岡行きの資金を貯金をしておこうと思う夜でした。

取材・文=Yahoo!ライフマガジン編集部

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