ベジレストラン「なぎ食堂」店主が語る気軽で気楽なベジライフ

ベジレストラン「なぎ食堂」店主が語る気軽で気楽なベジライフ

2017/07/30

いや〜暑い!暑すぎる!スーパー猛暑な2017年夏、既にキツめの夏バテにヤラれちゃってるという方も多いのではないでしょうか。そんな皆さんにオススメしたいのが、体に負担の少ないベジタリアン・フード。この機会にユル〜く「なんちゃってベジライフ」を楽しんでみてはいかがでしょう?

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

ベジタブルライフに興味ある人は一読の価値あり(長いけど)

「ベジタリアンって敷居が高そう」

「さっぱり薄味で食いごたえがないんだよな~」

「野菜ばっかり食べてると体に良くないんじゃない?」

なんて思ってるアナタ! それって偏見かもしれませんよ。

今回は、ベジタリアン食堂を運営するかたわら、音楽レーベルのオーナーやライター/編集者としても活躍を続けるベジ界の賢人・小田晶房(おだあきのぶ)さんに、菜食について詳しくうかがいました!ちょっと長いけどかなり深〜いお話になってます。この記事を最後まで読めば、絶対に菜食のイメージが変わってくるはずです!

今回お話をうかがうのはこの方!

小田晶房(おだあきのぶ)さん

写真左が小田さん

セレブなノリと健康志向が当たり前だったベジ業界の常識を打ち破る「お手頃価格でジャンクなベジ屋」というコンセプトで人気を集める「なぎ食堂」店主。渋谷と武蔵小山でお店を開くかたわら、お弁当の出張販売やケータリング、さらには夏フェスへの出店など、インディー魂全開で活動中。著書に『渋谷の隅っこでベジ食堂』(駒草出版刊)、『なぎ食堂のベジタブル・レシピ』(ぴあ刊)、『野菜角打ち なぎ食堂のベジおつまみ』(ぴあ刊)などがある。

インディミュージックを扱う
音楽誌編集者が
ベジタリアンと出会った

ーなぎ食堂を始められる前は、編集者や音楽レーベルの経営をなさっていたそうですね?

小田さん
小田さん
大学を出た後に普通なら就職するわけですが、しばらくダラダラしてたんです。そうなってくると、同世代でちゃんとやってきた人たちに追いつけるわけもなく「スキマ」を追い掛けるしかない。で、ニッチなインディペンデント音楽を扱うことを選んだんです。もちろん、そういう音楽が好きだという気持ちも強かったんですけどね。
お店の一角に本のコーナーがあるのは、現在もライター、編集者として活動する小田さんならでは。なぎ食堂オープン以前に出版した音楽関係の書籍のほかオリジナルの手ぬぐいやジンなども販売中

ー菜食と出会ったきっかけというのは?

小田さん
小田さん
当時アメリカのアーティストの日本ツアーをブッキングしてたんです。で、アメリカのミュージシャンってベジタリアンが結構多い。彼らと一緒に日本全国を回る中で、地方にベジタリアン向けのお店が全然ないことに気付いたんですね。東京に関しても、12~3年前だとスノッブなお店ばかりで値段が高い。ミュージシャンたちも僕らに気を使って「ベジ屋じゃなくても、動物性のものを使ってないんだったらOK」って言ってくれてたんですけど、「やっぱり肉を揚げた油を使ってる料理は嫌だ」みたいな本音を聞いたりもして。それで「安いベジ屋があったらいいのに」って思って始めたのが「なぎ食堂」なんです。

やりたかったのは
「カフェ」ではなく
「街に溶け込む普通のお店」

テーブル2つ+カウンター席と決して大きな店ではない武蔵小山店。取材中には地元の方がお弁当を買いに来たりと、オープンして間もないにもかかわらず、早くも商店街に溶け込んでいました

ー当時、具体的にはどんなお店を作ろうと考えていたのでしょうか。

小田さん
小田さん
20歳くらいの時にニューヨークに行ったのですが、当時ブルックリンとかクイーンズには、ベジカフェやハラル(※)関係の方がやっている中近東のファラフェル屋さんなんかが、ごく自然な感じで存在してたんですよ。そういう街に溶け込んでいる普通のお店をイメージしていましたね。入った後に「あ、ベジ屋なんだ」と、なんとなく気付く様な。

※ハラル:簡単に言うとイスラム教において食べることが許されている食べ物

「ファラフェルサンド」(850円)。ハラルといえばこちらをイメージする方も多いのでは?

ー街に多様性が根付いているんですね。

小田さん
小田さん
当時、僕はすごく酒を飲んでいたのですが、その頃に好きだったのが昔ながらの食堂なんです。ショーケースから茄子のしぎ焼きとか煮付けとか焼き魚を自分でとって、おばちゃんに会計してもらうような。
武蔵小山店のショーケース内には、毎日変化するという自慢のデリが並ぶ。夕食時には家族連れでお買い物に来るお客さんも。「おかずを買いに来てるんでしょうね。そうやって使ってもらえるのは嬉しいです」と小田さん

ー古い食堂の、時間がゆっくり流れている感じって素敵ですよね。

小田さん
小田さん
昼の終わりくらいになると、お客さんがおかずをつまみに酒を飲み始めるような。あれが本当に好きで好きで(笑)。だから「ベジカフェ」ではなく「食堂」がやりたかった。

渋谷、武蔵小山、神保町
三つの「なぎ食堂」

2007年の年末にオープンした渋谷店。ちょっとおしゃれな音楽ファンや外国人観光客はもちろん、近所で働くフツーのおじさんたちの姿も。都会の喧騒から一時下車して、ホッと一息つける気楽な空間

ーなぎ食堂は、最初にオープンした渋谷店、今回お邪魔した武蔵小山店、その他にケータリングもやっているそうですね。それぞれどんな特徴があるのでしょうか。

小田さん
小田さん
渋谷は、月に一回、年に一回とかのペースで来られる方が中心です。あと海外からのお客さんも多い。それに対して武蔵小山のお店を作った理由というのはすごく簡単で、家が近所だったんからなんです。僕は少し前に妻を病気で亡くし、子供もまだ小さいので、夜働くことが難しいんですよ。だったら子供に目が届く、家から近い場所でお店をやれば良いんじゃないかと。ちなみに武蔵小山は、渋谷店で出す料理と神保町の「試聴室」(※ http://shicho.org/)という場所で売っているお弁当の段取りをする場所でもあるんです。

※千代田区西神田3-8-5にあるカフェ&ライブスペース。なぎ食堂と関係が深い。

人気の「ベジカレープレート」(850円)は、辛さひかえめ。あえて食べやすい味を目指しているという。「もっとスパイスにこだわったカレーも作れるんですけどね」と小田さん。そっちも食べてみたいです!

ーメニューは店舗によって違うのでしょうか?

小田さん
小田さん
全然違いますね。あと武蔵小山のお店は、地元の人に普通に立ち寄って欲しいので、かなり値段を下げてます。ですから渋谷よりも武蔵小山の方がお得です(笑)。

ー「試聴室」で売っているお弁当はどんな感じなんでしょうか?

小田さん
小田さん
9種類のお惣菜がチョコチョコと入っている割と豪華でお得なお弁当です。神保町界隈って、ワンコインのお弁当が多いんですよ。そういうところと価格で勝負しても勝てないので、ちょっと高くても本当に美味しいものをって思ってます。
神保町界隈で密かな人気を集める「玄米惣菜膳」(800円)は、ご飯と味噌汁付き。「高いといえば高いけど届かない額でもない。お酒のおつまみにもなりますよ」(小田さん)
最近、カレー弁当の販売も始めた小田さん。「ベジ欧風カレー」(600円)は「スパイシーで濃厚、静かに汗が噴き出すホテル系のカレー」とのこと

ー曜日は決まってるんですか?

小田さん
小田さん
月曜から金曜ですね。オフィス街なので、土日は人がいないというのもあるし、試聴室がイベントをやることもあるので。

ーなぎ食堂さんにケータリングをお願いしたい時って、どうすれば良いんでしょう?

小田さん
小田さん
連絡をいただいて「このくらいのものを、このぐらいの値段でケータリングして欲しい」と相談していただければ、相談にのります。今までは「100人程度が限界かな」と思ってたんですが、この間出店した音楽フェスではドリンク500杯、フード300食くらい出せたんで。フェスもいけると思います。

なぎ食堂を支える
「自立した」スタッフたち
(実は有名ミュージシャン?)

ー結構な数を売ることができたんですね

小田さん
小田さん
今、スタッフがすごく充実してるんですよ。自分でお店が出せる技術とパワーを持っている子たちが3~4人いるんです。うちは「俺がこういう料理を作ってるから同じものを作ってくれ」という感じではないんです。もちろん「味がしないものは作らないでくれ」とは言ってるんですが、あとはスタッフ個人の感覚で作ってもらっています。

ーそういう人が自然に集まってきたということでしょうか?

小田さん
小田さん
妻が病気になって店から離れざるを得なくなった時期があったので、色んなことを若い子たちに任せてみたんですよ。そうしたら、すごく自由に考えてくれた。デリのメニューにしても「そんな洒落たものを作るのか!」と感心させられる事が少なくないです。僕は、どちらかというと「酒場にいる土木のおっさんたちが食いたがるようなもの」を基準にしてきたので(笑)。でも皆がシャレたもんばっかり作ってると「俺がエゲツないもの作るぞ!」みたいになったりもするんですけど(笑)。

ー音楽をやっているスタッフが多いと聞きました。

小田さん
小田さん
そうですね。半分以上は。中には有名な子もいますよ。例えば海外でも評価されてるバンドの「にせんねんもんだい」でドラムを叩いてる姫野さん。もうやめたけど、テニスコーツの植野くんにはお店を始めた頃に世話になりましたね。あとほかにも名前は出せないけれど、いろんな子が働いていますよ。

せっかくの”外ご飯”
だからこそ
何かしらの工夫を

日替わりで用意されるデリの中から、お好みの3品が選べる渋谷店の「なぎ デリプレート」(1200円)。結構ボリューミーで、お腹いっぱいになります

ーメニューを決めるにあたって、どんなことを大事にしてるんでしょうか。

小田さん
小田さん
一般的にあるもの、ベジの本に載っている様な料理は出さなくても良いかなと思っています。例えば人参を細く切った「キャロット・ラペ」。マクロビオティック界隈では、人参を細かく切ることが一つの作法みたいになっているんです。味が云々というよりは、細かく切って沢山作るのが偉い、みたいな。でも、うちの場合は千切り器でガーッと切って。その代わり、酢と砂糖と塩だけの一般的なキャロット・ラペは出さない。夏みかんやココナッツファインを加えてみたり、別の人はエスニックな方向に転がしてみようとか、スタンダードなものに一捻り入れてもらっています。

ー確かになぎ食堂って、一風変わった感じの美味しさを持った料理が多いですよね。

小田さん
小田さん
「非日常」を言い表す「ハレ」って言葉があるじゃないですか?外にご飯を食べに行くのって「ハレ」の時だと思うんですよ。外でご飯を食べることは、特別であって欲しいという思いがあるんです。せっかく外でご飯を食べるなら、自分が思いつかなかったり、作ったことがないものを食べたい。

「肉って沢山食べなくても良いものなんじゃないかな」

ー唐突ですが、菜食に切り替えるとどんな良いことがあるんでしょうか。

小田さん
小田さん
ちなみに僕は、以前は完全ヴィーガンでしたけど、今は完全菜食じゃないんですよ。良いことですか…(ちょっと考えて)一番良いのはウンコが臭くないということでしょうか(笑)。3日でニオイがしなくなりますよ。みんなウンコって臭いもんだと思ってるけど、例えば赤ちゃんのウンコってクサくない。結局ニオイの元になってるのって動物性脂肪の腐敗臭なのかなって。まあ良い悪いは別にして、肉食で体に負担をかけている所はあるんじゃないかな。もちろん「美味しいから少しだけ食べる」とかは全然ありだと思うんです。でも、実は肉って沢山食べなくても良いものなんじゃないかなとも思うんですよね。で、まあ少なくとも菜食であれば体に負担はかからない。それは良い部分なんじゃないかなって気はしてます。

ー菜食を公言していた有名人が体調を崩したことを引き合いに出して「野菜ばっかり食べてると倒れる」みたいなことをおっしゃる方もいます。その辺りはいかがなんでしょうか?

小田さん
小田さん
あくまでイメージなんだと思いますよ。自分なんかは肉なんか食ってないのに中年太りで(笑)。外国のベジの友達も決してガリガリに痩せているヤツばかりじゃないですよ。彼らを見て「なんでベジなのに太ってんだよ」っていう方もいますが、そんなの関係ない。結局、摂取する栄養素と新陳代謝のバランスの問題でしかないので。例えば牛は草ばっか食ってても倒れないじゃないですか(笑)。野菜や穀物だけで手に入れられない栄養素って、ビタミンB12くらいのもんですよ。それくらいであればタブレットで摂ればいい。ただ、それ以上に食感や満足感の問題が大きいと思います。「食感」ってご飯を食べる上でめちゃくちゃ重要な要素なんで、そこは悩みどころです。

ベジライフの愉しみ
「“食”ってもっと自由なんだものなんだなって気付く

ーなるほど。素朴な疑問を抱える僕のような菜食ド初心者にベジ・ライフの楽しさを一つ伝えるとすれば?

小田さん
小田さん
例えば「ラーメンとは動物性の食べ物である」という考えを捨てると、野菜だけでラーメンを作る方法を考えることが出来るじゃないですか。で、実は野菜だけでラーメンを作ることって全然難しくないんです。昆布とモヤシでかなり濃厚な出汁が取れるから。それ以前に、出汁って概念自体、結構思い込みやまやかしだということに気づいた。これまでそんな固定概念に縛られてたんだな、「食」ってもっと自由なんだものなんだなって気付くと思いますよ。

ーなるほど。肉食をやめることで、新たな視点を得るわけですね。ところで僕も小田さんの著書『渋谷の隅っこでベジ食堂』に出てくる厚揚げとしめじのトマトココナッツ煮を作ってみたんですよ。


※厚揚げとしめじをトマトピューレとココナッツミルクで煮たもの。5分で出来て、しかも美味い。レシピは『なぎ食堂のベジタブル・レシピ』に掲載

小田さん
小田さん
あの死ぬほど簡単なやつね(笑)
2013年2月15日に発売された小田さん初のレシピ本『なぎ食堂のベジタブル・レシピ』(ぴあ)。価格は1400円+税

ー本当に美味くてビックリしました。他にオススメのレシピってありますか?

小田さん
小田さん
これは料理というより調味料なんですが、オリーブオイルとガーリックと塩で大量のキノコを炒めます。ちょっと唐辛子を入れて、レモンをさっとかける。これって、どんな料理にかけても美味いですよ。パスタに絡めてもいいし、渋谷のお店では細かく刻んでソースにして、えのき茸にかけています。ちょっと前に流行った「食べるラー油」みたいなものですね。ご飯にかけても、パンにのせても、パスタにもラーメンにも中華にもイケる。

ー小田さんは最近二冊目のレシピ本『野菜角打ち なぎ食堂のベジおつまみ』(ぴあ刊)を出されました。おつまみにこだわった理由というのは?

小田さん
小田さん
タイトルで誤解を招いてるところがあるんですが、おつまみのレシピというよりは、とにかく簡単に作れるものを集めました。例えば、今話した作り置きしておくと便利なソースとか。
『野菜角打ち なぎ食堂のベジおつまみ』画像(※手配中)2016年3月15日に発売されたレシピ本第2弾『野菜角打ち なぎ食堂のベジおつまみ』(ぴあ)。価格は1400円+税

ー最初に出した『なぎ食堂のベジタブル・レシピ』との違いは?

小田さん
小田さん
もう完全に初心者向けですね。レタスに胡椒とオイルかけたものとか、出汁で蕎麦みたいに食べるもずくとか、これ以上ないくらい簡単なものを。

著書『渋谷の隅っこでベジ食堂』について

『渋谷の隅っこでベジ食堂』画像>(※手配中)2016年12月10日(土)に発売された小田さん初のエッセイ集『渋谷の隅っこでベジ食堂』(駒草出版)。価格は1300円+税。

ー小田さんが、昨年末に出版されたエッセイ集『渋谷の隅っこでベジ食堂』(駒草出版)なんですが、大変面白く読みました。この本には、なぎ食堂ができるまでの歴史が書かれてるわけですが、オープン前に思い描いていた理想は実現できてると思いますか?

小田さん
小田さん
いや~全然ですよ。ここ(武蔵小山のお店)を理想の店にしたいっていうのはあったんですが、今はまた違って。元々は地元に密着したことをやろうと思っていたんですが、やっぱり中々難しい。一見さんの多い渋谷店と地元密着型の中間をやらなきゃいけないんだなと思っています。

今、渋谷の店は形として完成してます。この本にも書きましたが、自分やスタッフの技術を考えれば、本当はもっと美味しいものを作ることも出来るし、自分も心のどこかでは「めちゃくちゃ美味しいものを出した」という思いはあるんです。

ーなるほど。

小田さん
小田さん
でも、例えば1人前で3〜4000円の料理を出したとして、それで良いんだろうかっていう気はしてますね。「メニューは1000円以下」というこだわりを捨てずに、その範囲内で作ることのできる最高の味を目指した方が良いんじゃないかって。あと野菜ということでいうと、地産地消ではないですが、そこで作っているものとのリンクというのはもう少しできたら良いなと思っています。
武蔵小山店では「なぎ食堂 お惣菜お弁当」(700円)も販売中。取材中に地元の方が購入されていました

ー今後の展開は東京を離れることだと書かれていました。

小田さん
小田さん
将来の展望を問われれば、そうなりますかね。ただもう少し近いところの話だと、ケータリングはもう少し頑張っていきたい。先ほども話しましたが、最近「トノフォン(http://tonofon.com/fes17/)」というフェスに出店して、手応えを感じたんです。あと軽のワゴンを持っているのでキッチンカーにして、週末に色んな場所に出店するというのも考えてます。

ベジタリアンは特別なことではないし、10年間やっててもアイデンティティにはならない

ー小田さんは『渋谷の隅っこでベジ食堂』の中で「菜食は個人的なもの」とおっしゃってました。これはどういうことなのでしょうか?

小田さん
小田さん
例えばTwitterなどSNSのプロフィールに「ベジタリアン」って書いている人いるじゃないですか?でもそれってアイデンティティでもなんでもない。ベジなんてもんは特別なものではないし、10年間やっててもアイデンティティにはならないんです。「お茶好き」とか「お菓子好き」と変わらないんですね。

ところが、みんな肉や魚を食わないことが、
思想的なことだと思ってしまう。重く考えすぎる人が多いと、どんどん菜食が難しくなってしまいます。思想的なものではなくて、嗜好的なもの**くらいにしてた方が楽だと思うんですけどね。

ーなるほど~。やっぱり菜食は気楽にやる感じが良さそうですね。まさに企画にぴったりのお答えです!最後に告知などがありましたら!

小田さん
小田さん
この『渋谷の隅っこでベジ食堂』にこっそりと書いている思いみたいなのがあって。あんまり声高には言いたくないけれど、この本で一番言いたかったのは「何かをやめること」なんです。

ーと、いうのは?

小田さん
小田さん
ベジになるというのは、「菜食をはじめる」ことであると同時に「肉食をやめる」事でもあるんです。それって例えるなら荷物を降ろす事に似ている。人はみんな「欲しい」とか「手に入れたい」という思いを抱えています。でも生きていると必ず「降ろしたい」「降ろさざるを得ない」瞬間が来る。

自分の場合だと、肉を食うことをやめて、酒をやめて、タバコ吸うのもやめた。そして決して望んでなかったけど、嫁さんが亡くなって夫であることをやめることになった。それでもやっぱり「やめるという行為は、新しく動いたり考えたりするときの助けになることもあるんじゃないか」って言いたくて。「何かをやめることによって、新しい何かを始められる」っていうのは、ベジもそうだし、他のこともそうだと思います。

ー以前の小田さんって、ベジ屋として主張することを、ある種避けてきたように思います。この本で言いたいことは言えましたか?

小田さん
小田さん
いやあ、本当はもっと個人経営の良さの上澄みだけすくって商売してる資本の悪口を言いたかった(笑)。本当は興味がないのに「オシャレで訴求力があるから~」みたいな目的でやってる人たちが多くて。それは楽しみとしては良いんだけど、こっち側が必死でやってることに関わってくるのはやめてほしいですね。あとアレルギーだったりハラルに関して扱う時は本当に厳密にやってほしいです。安全とか信頼を商売にしようとしてるわけですからね。

ー本日はありがとうございました。また食べにきます!

 

取材・文・写真/吉田大

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