東京とんかつ会議・マッキー牧元直伝、とんかつのおいしい食べ方

東京とんかつ会議・マッキー牧元直伝、とんかつのおいしい食べ方

2017/07/31

普段、何気なく定食屋さんで食べているとんかつ。おいしい食べ方なんて意識したことないのでは? しかし、「東京とんかつ会議」のメンバーで、グルメ評論家のマッキー牧元さんによると、とんかつをより楽しむコツがあるのだとか。そんなとんかつの目からうろこのおいしい食べ方を伺ってきた!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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「東京とんかつ会議」でおなじみのタベアルキスト・マッキー牧元さんに聞く!

今回、とんかつのおいしい食べ方を伺ったのは、タベアルキストのマッキー牧元さん。現在、「東京とんかつ会議」のメンバーとしても活動するマッキーさん。果たして、どんな食べ方が飛び出すのか!?

マッキーさんお気に入りのとんかつ店『のもと屋』(大門)で直撃

店は大門にあるのだが、初めての人には分かりにくい場所にある。この看板を目印に
マッキー牧元さん

マッキー牧元さん

タベアルキスト

『のもと屋』のとんかつは、鹿児島直送の六白黒豚を使用している。その味わいは、赤身が繊細で脂身が甘いのが特長。余計な流通を省いているため、リーズナブルに楽しめる。

揚げるラードは2種類使用しており、1つは温度上昇が早いラード、1つはコクがあって香りが高いラード。両方を組み合わせることでそれぞれの良さを引き出している。衣は食感がサクサクしていて、肉にダイレクトに火がいかないような生パン粉を使っている。肉にダイレクトに火がいくと、肉が硬くなってしまうからだ。

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
肉汁に富み、甘い香りを放ちながら脂がさらりと溶けていく、上質の豚肉です。揚げ具合も見事で、お客さんの目の前に皿が届いた時に、ちょうど良い状態になるよう、精妙に火が通されており、最後の一切れまでぱさつかずに、おいしくいただける。

衣に染みたラードの香りとコクも、とんかつならではの魅力がある。また脇役のソースもくどくなく、後味がきれいです」
とんかつのおいしい食べ方についてスラスラ語ってくださったマッキー牧元さん

マッキー牧元直伝! とんかつのおいしい食べ方

 

箸の当て方から調味料を付ける順番まで一家言あり!

1.入店は開店直後を狙うべし

開店時の『のもと屋』の店内。比較的入りやすい時間帯で、カウンター席のゲットも可能

とんかつを食べるなら開店直後がいいというマッキーさん。その理由は?

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
油が新鮮な状態で揚げられるのと、職人が揚げている姿を見ることの出来る席に、真っ先に座ることが出来るからです」

なるほど! 納得。よりおいしく食べるためには、来店時間も選ばなくてはいけないんですね。

2.メニューは必ずロースを頼むべし

『のもと屋』の「上ロースかつ定食」(160g 2100円)。お得な1000円の定食もあり

注文するとんかつの種類も決まっているという。なぜヒレではダメなの?

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
豚肉というのは、脂に魅力がある。肉を噛むと、脂の甘い香りが立って、溶けていく食感を味わいたい。それを味わえるのがロースだからです。良い豚肉であるほど、脂身が旨い

今回マッキーさんは160gの「上ロースカツ」を頼んだが、一番安い「ロースカツ定食」や最も高い「特上ロースカツ」を頼むかは、問題ではないそう。各自のお財布と相談して注文すべし。

3.とんかつは左から3番目から食べるべし

選ぶ場所だけでなく、とんかつの持ち方にもおいしく食べるコツがある

えっ、左から3番目? 理由が分からないんですが?

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
「大抵のとんかつは、左の方が幅が長く、右に行くに従って短くなるよう置かれています。長い方から3番目辺りはロースの芯で、最も脂と肉のバランスがいい。この一番おいしい部分を最もおいしい時に先に食べましょう。

また箸は、衣の面ではなく、肉の横の面を持ってください。衣を傷つけないようにするためです」

一番おいしいのが、脂と赤身のバランスが良いという左から三番目。初めて知った。しかも、お箸のつかみ方にまでルールがあるとは! さすがマッキーさん、通過ぎる~。

4.まずは何もかけずに食べるべし

何もかけないとんかつの味見をするマッキーさん。『のもと屋』のとんかつは訪問する度、味が良くなっているそう

さて、いよいよとんかつを食べるわけだが、そこにもおいしく食べる秘密があった。

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
「最初は何もかけないで食べて、どうやって食べるか作戦をたてるためです」

『のもと屋』は、豚肉も衣も質が高く、なにもかけないで食べた方が豚肉がよりおいしく感じられる。しかし豚肉や衣の実力が落ちる店では、逆にソースをかけて食べた方がうまい。初めて訪れる店は、最初の一口で判断する。

5.次に塩を衣にかけるべし

とんかつにほんの少量の塩を振るマッキーさん。かけ過ぎは厳禁!

いきなりソースをかけるのはNGなんですね?

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
塩でより豚肉の甘みが引き立ちます。とんかつの味に深みが増すのです」

おいしいとんかつには塩というのは私もわかる!

6.レモンは豚肉にかけるべからず

レモンを豚肉にかけずにそのまま頬張るマッキーさん。健康第一!

レモンが添えてあるとんかつ屋さんって結構ありますよね?

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
「豚肉にレモンをかけると、レモンの香りが強すぎて豚肉の香りがマスキングされてしまいます。NGです」

これをやっている人は、結構いるのではないだろうか。マッキーさんいわく、レモンは健康のためにそのまま食べるか、キャベツにかけたら良いのではないかということだ。

7.ソース使いのバリエーションを楽しむべし

ソースのかかったキャベツととんかつを一緒に食べるなんて技、初めて聞いた! びっくり

とんかつに欠かせないソースだが、マッキー流の食べ方ではまずキャベツにかける。

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
ソースの味を確かめるためです。キャベツの甘みとソースの相性もいい」

次に、ソース付きのキャベツをとんかつの上に載せて食べるのがマッキーさんのおすすめ。

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
「間接的にとんかつとソースを合わせることで、ソースの味が強くなり過ぎず、豚肉本来の旨みと甘みが楽しめます
1切れごと、綺麗にソースを、一筋かけるマッキーさん。今まで一気がけしていた私は反省

さて、本番! 豚肉にかけるソースは1切れずつ、ソースを一筋かける。

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
「せっかくサクサクに揚がっているのに、全部のカツにソースをかけてしまうと、水分で衣がしなってしまいます。おいしいとんかつなら、一気にたくさんソースをかけるのは厳禁です。かけるなら、あくまで一筋」

ふむふむ。なるほどです~。

8.からしは端の部分につけるべし

一筋ソースのかかったとんかつの一切れにほんのちょっとからしをつけるマッキーさん。味の変化が楽しめる!

からしをつけるなら、脂身の多い部分につけよう。

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
からしの酸味は、脂っぽさを緩和させる役目があります。だから脂身が多い、端の部分につけて食べるのです」

でも、からしの付け過ぎは厳禁だ。

9.味噌汁、お新香、キャベツをバランス良く食べるべし

バランスよく食べることも大事と語るマッキーさん

ここまでとんかつの話ばかりしてきたが、お肉だけ先に食べるのはNGなの?

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
「カツだけが先になくなってしまうのではなく、御飯、味噌汁、お新香を、バランス良く食べ進み、すべてを同じゴールにするのが、おいしく食べるコツです」

わ〜、私、いつもお肉が先に無くなってた。反省……。

10.「カツバラ」を楽しむべし

衣をご飯の上に落とすマッキーさん。衣だけの味を楽しむなんて初耳!

えっ、はじめて聞いたワード。「カツバラ」とは?

マッキー牧元さん
マッキー牧元さん
「良い衣を使っている店の僕なりの技としては、ご飯にカツをバウンドさせ、衣をご飯に落とし、そこへ塩を少しだけかけて食べる。

かき揚げ天ぷらをバラバラにして御飯の上に乗せ、塩をかけて食べる『天バラ』という食べ方がありますね。コレはその『天バラ』ならぬ『カツバラ』です。優れた店は衣もおいしいので、無駄にしたくないのです。衣自体のおいしさも楽しむ感じです」

そんな楽しみ方、生まれて初めて聞いた。今度、やってみよう!

以上、マッキー牧元さんによる「とんかつのおいしい食べ方」のレポートだ。読者の皆さんも初耳で驚いた方も多かったのではないか。この食べ方のコツを見ながら、『のもと屋』でおいしい食べ方にチャレンジしていただければ幸いである。

なお、『のもと屋』のある大門にアクセスが悪い方もいると思うが、このコツの大半が“おいしいとんかつ”を対象にしているので、わざわざ足を運ぶ価値ありだ。お試しあれ!

東京とんかつ会議

東京とんかつ会議

(1512円/ぴあ)2017年7月27日発売

とんかつを愛する3人のグルマンが、東京中を食べ歩いて、採点した記録がここに。 殿堂入りした名店をはじめ、高得点を獲得した人気店を多数掲載。さらに、「とんかつお作法」「とんかつ経済学」などコラムも充実。

取材メモ/取材前は、「とんかつにおいしい食べ方のコツなんてそんなにあるのかしら?」と思っていた私です。マッキーさんに取材してそんな固定観念が吹っ飛びました! 調味料の使い方からお箸の挟み方、さらには「カツバラ」まで。皆さんがとんかつを楽しむための参考にしていただければ幸いです。

取材・文=稲垣有紀(リベルタ) 撮影=谷本恵

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