ミツバチとともに歩む養蜂業のパイオニア 松阪市の水谷養蜂園

2017/08/13

ミツバチとともに歩む養蜂業のパイオニア 松阪市の水谷養蜂園

たった3箱の巣箱を譲り受けて始まった水谷家の養蜂。現在では約300箱を有し、ハチミツだけでなく、のど飴やクリームなどの加工品まで販売しています。ミツバチをパートナーとし歩んできた養蜂場では現在、耕作放棄地を有効活用した養蜂を模索するなど、新たな試みに取り組んでいます。

中広

中広

初代から受け継ぐ思い
「ミツバチは必要不可欠な生物」

専門的な知識をベースに
養蜂業を確立した老舗

水谷養蜂園の本社から、車で5分ほどの距離にある蜂場。巣箱を開けながら説明してくれたのは、水谷俊介専務。

水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
「巣にかかった黒い蓋は、ハチミツを貯蔵しているところ。オレンジ色の蓋がついているところは、卵や幼虫が入っている『蜂児室』で、お腹の大きな蜂が女王バチです」

巣箱の構造は、中心にある枠板(巣枠)に蜂児室、その両隣にある食事場所から成ります。

水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
「今、彼らが集めているのはヒサカキ菜の花の蜜。採れたままのハチミツは最高の贅沢ですよ」
働きバチの寿命は1~3カ月。花粉やハチミツを食べて生きている。巣箱一つにつき、一年間に食べる花粉は約30kg。ハチミツの消費量はそれ以上というから驚き

水谷専務は、我が子を見守るような優しい眼差しを向けます。

大正元(1912)年、専務の曽祖父にあたる初代・水谷松治郎氏が、3箱の巣箱を飼育。松治郎氏は、巣箱を決めた場所に置く定置養蜂を、水谷養蜂園を設立した2代目の清一氏は、花の咲く場所に巣箱を移動させる転地養蜂をスタートさせました。

水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
「清一は巣箱を汽車に積み、桜前線とともに北上。夏は北海道にまで到達していたそうです」

画期的な手法を生み出した水谷養蜂園は、転地養蜂のパイオニア。以来、4代にわたって養蜂技術を高め、消費者にハチミツを届けてきました。

現在も、5月末に長野県の蜂場へミツバチたちを送り出しています。近年、困難を極めるのが天候の予測。

レンゲが咲き乱れる蜂場に置かれた巣箱。この時期、ミツバチは忙しく花の蜜を集める。ミツバチの受粉行動は、ビニールハウスでの果物栽培にも利用されている
水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
「開花のタイミングに合わせるよう見計らっていますが、いつも当たるとは限りません。せっかく移動したものの花が咲かず、ミツバチがエサ不足に陥り、採蜜できなかったこともあります」

それでも高品質なハチミツを世に送り出せるのは、100年を超える社歴に、確かなノウハウが詰まっているからです。


養蜂技術を磨き続け、
地域の自然活用にも貢献

自然環境の変化により、近年、ミツバチの減少や女王蜂の小型化、群れが忽然と姿を消すCCD(蜂群崩壊症候群)などの問題が顕在。さらに気候変動で国産ハチミツ不足の問題も抱えています。養蜂の風向きは決して、順風満帆とは言えません。それでも水谷養蜂園は、ミツバチと向き合い続け、養蜂技術を研鑽しています。

腕の見せどころは、冬の元群づくり。蜜はよく集めるけれど気性が荒い、蜜集めはほどほどでも大人しいなど、さまざまな性格のミツバチを均一にする工程です。約300箱のミツバチを選別し、働き者を30箱ほどに絞り込みます。

水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
「数を管理して、なるべく巣箱内を寒くしないようにしています。また、若いハチは花粉を、年とったハチはハチミツを主に食べるので、エサにも気を使います」
ミツバチの生態を知り尽くしている養蜂歴22年の水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん「国産ハチミツは自給率7%と希少なので高価になりがちですが、ぜひ一度味わってみてください」

越冬できれば、桜の咲くころには順調に増殖。ハチミツがたっぷりと蓄えられます。ミツバチの役割は、ハチミツの生成だけではありません。

水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
「全国的に交配用のハチが不足しています。県下で約2000を数えるビニールハウスの作物を受粉する作業の一部は、私たちのミツバチが担っています。トマトやスイカ、イチゴ、メロンなど、おなじみの果樹がミツバチの力を借りていることを、より多くの人に知ってもらいたいですね」

2015年からは、地元明和町の生産者と協働して、ミツバチ協議会を立ち上げました。

水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
「耕作放棄地に花を咲かせて巣箱を置き、定置養蜂でハチミツが作れないかと考えています。実現できれば、地産地消ハチミツができます。土地の活用と合わせて一石二鳥です!」
巣枠を遠心分離機にかけると、中からとろりとしたハチミツが。花蜜の糖度は40ほどだが、巣の中で熟成され、80になる

レンゲやナタネなど、蜜源になる植物が少ないとされる松阪市。今後は、里山の復活も視野に入れたいと意気込みます。

自然の花々から生まれるハチミツは、生産地域や生産年、ハチの種類によって、色や味が変わります。水谷養蜂園の系列店・松治郎の舗では、レンゲやアカシアなど、一種類の花からつくられた単花ハチミツ「れんげ蜜」や多種多様な花の蜜を集めた「花々」のほか、パートナーシップを築いた海外養蜂家が生産する輸入ハチミツなどを展開しています。

名物・はちみつ最中アイスもあり! 水谷養蜂園ハチミツ取扱店「松治郎の舗」
水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
水谷養蜂園 専務取締役 水谷俊介さん
「とろりと甘く、香り豊かなハチミツを食べ比べて、お気に入りを見つけてみてください。味の違いから、周辺環境の自然に目を向けてもらえれば」

水谷専務は期待を寄せます。

Yahoo!ロコ松治郎の舗
住所
松阪市中町1873

地図を見る

アクセス
松阪駅[出口]から徒歩約5分
松阪駅[出口(近畿日本鉄道)]から徒歩約8分
東松阪駅[出口]から徒歩約26分
電話
0598-26-8133
営業時間
9:30~18:30
定休日
無休(1月1日、1月2日のみ休み)
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

地域みっちゃく生活情報誌『ふぁみんぐ』

地域みっちゃく生活情報誌『ふぁみんぐ』

毎月28日

中広が発行する、各戸配布型のフリーマガジン 発行エリア:三重県松阪市・多気郡多気町・多気郡明和町 発行部数:72,405部

ハッピーメディア『地域みっちゃく生活情報誌』とは

ハッピーメディア『地域みっちゃく生活情報誌』とは

中広が発行する、各戸配布型のフリーマガジンのブランド名 仕様:A4 中綴じ冊子タイプ フルカラー 100頁以内 全国30都道府県で132誌8,209,430部発行中!(2017年7月末現在)

この記事を書いたライター情報

中広

中広

中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

中広 が最近書いた記事

RECOMMEND

SPECIAL

SERIES