高級食材「エスカルゴ」の生態を学ぶ 松阪市のエスカルゴ牧場

2017/08/12

高級食材「エスカルゴ」の生態を学ぶ 松阪市のエスカルゴ牧場

住宅地を進むと突如「エスカルゴ牧場」と書かれた大きなゲートが現れました。ここはエスカルゴについて知ることができる日本で唯一の場所。「いつも外出して遊びを楽しんでいます」という元気いっぱいの積木ファミリーと一緒に三重県松阪市にあるエスカルゴ牧場を見学しました。

中広

中広

エスカルゴって、どんな生き物?

「松阪に来るきっかけに」
見て、触れて、食べて知る

子どもたちがゲート横にある顔はめパネルに夢中になっていると牧場経営者の高瀬俊英さんが登場。「日本ではエスカルゴについて知っているようで知らない人が多い。ここから帰るころには思っていたものとの違いにびっくりすることでしょう」と建物の中に進みます。

エスカルゴ牧場は1997年、「話さなければ魅力は伝わらない」と考えた高瀬さんが、「1億人に語る」と目標を掲げて開園した施設です。

テーブルについてエスカルゴの話を聞いていると、ガーリックのいい香りが漂ってきました。代表的なエスカルゴ料理「ブルギニョン」です。高瀬さんは慣れた手つきで貝殻から身を取り出し、パンの上に乗せます。積木家の長男・海人くんは恐る恐る、長女の夕亞ちゃんは笑顔で口に運びました。「おいしい!」。最初は戸惑っていた海人くんもソースまできっちり完食です。

フランス料理に使用されるエスカルゴは実は巻貝の仲間。臭みは少なく、「森に生きるアワビ」と言われるように食感はアワビに似ています

エスカルゴと濃厚なソースの味に感動する一行のもとに遂に生きているエスカルゴが登場。成体の上には生後1カ月のエスカルゴがくっついています。子どもたちは手に乗せたり、触覚にふれたりとエスカルゴの不思議な生態に興味津々です。

話を聞き終え、外に出て案内されたのは産卵所。足を踏み入れると中は涼しくて、まるで滝の近くにいるよう。「ヨーロッパの湿地を再現しています」と高瀬さん。エスカルゴは日本の環境では生きられないため、腐葉土は3年がかりでつくったもの、地下水をくみ上げた冷房装置などを設置し、森の環境を完璧につくりあげています。

こうした唯一無二の設備が揃うのは、高瀬さんが鉄工所の代表という一面を持っているからこそ。外部からの侵入も一切許さず、クリーンな環境が保たれています。

養殖所に進む途中、エサを見せてもらいました。エスカルゴはカタツムリと違い、葉物は食べず、プランクトンを食べます。高瀬さんの養殖所では、きな粉をベースにブドウ糖やビタミンなど20種類を配合したエサを使用。

株式会社三重エスカルゴ開発研究所代表取締役 高瀬俊英さん
株式会社三重エスカルゴ開発研究所代表取締役 高瀬俊英さん
「甘みを付けるのは、人間と一緒でおいしくなければ食べてくれないからです」
産卵所にいる小さいエスカルゴを見せてくれました

養殖所に進むと2000以上のケースがきれいにライン化されています。「1ケースには45匹が限界。50匹は上手くいかなかった」と細かい数字まで追求して今の形があります。

こうした試行錯誤や工夫が功を奏し、エスカルゴ牧場では成体まで通常3年かかる成長を、たった4カ月に短縮することに成功しています。

「基本の形は出来たけれど、まだ完成ではない」と高瀬さん。更なる成長期間短縮のために毎日記録している研究データを見せてくれました。


年の歳月をかけて
世界初の完全養殖に成功

「39年前、記事を読んだ瞬間、『これだ!』と思ってね」

高瀬さんは幼い頃から自然と触れ合ってきました。いつかナマズやザリガニの養殖などをしたいと思っていた頃に見つけたのが、エスカルゴの記事でした。

エスカルゴはフランス料理の高級食材。フランスでは年に40億個、ヨーロッパ全体では200億個が消費されているほどメジャーな食材です。主な種類は「ブルゴーニュ種」「トルコ種」「プティ・グリ種」「グロ・グリ種」の4つ。なかでもブルゴーニュ種はもっとも大型で最高級ランクに位置付けられています。しかし、本場フランスでは1979年に乱獲により絶滅寸前になったブルゴーニュ種を保護育成種に指定。多くの養殖家がブルゴーニュ種の養殖に挑戦したものの、成果を得られず苦戦していました。

ブルギニョンはニンニクやアンチョビ、白ワイン、バター、レモンなどを混ぜ合わせたソース。このソースも高瀬さんが研究して極めた品

「誰もできなかったことを自分が成し遂げよう」。そう決意した高瀬さんは本を読み、何度もフランスに出かけ、研究を重ねました。

しかし、当時の日本では沖縄でマイマイガ(カタツムリ)の異常発生が起き、農作物を食い荒らした経緯からエスカルゴ4種も含めて、有害動物に指定されていました。ブルゴーニュ種だけでも許可をもらおうと農林水産省に何十回も通い続けます。苦労の末、許可が下りたのは7年後のことでした。

本格的に養殖に取り組みだした高瀬さんですが、鉄工所のほかにも精密機械、住宅、不動産などの会社を経営しながらの研究。寝室にも養殖箱を持ち込んでデータを取るなど、寝る間も惜しみ、励みました。こうして1995年、ついに世界で初めてブルゴーニュ種の完全養殖に成功したのでした。

敷地内にある畑。「安心・安全のため、本当に美味しいものを食べてほしい」との思いから野菜の栽培にも着手。コースの料理に使用されています
株式会社三重エスカルゴ開発研究所代表取締役 高瀬俊英さん
株式会社三重エスカルゴ開発研究所代表取締役 高瀬俊英さん
「ここまで続けてきたのだから辞めるわけにはいかない。これが自分の使命だと思っています。松阪は伊勢志摩への通過点に過ぎない。『エスカルゴ牧場があるから松阪にも寄ってみよう』となることが私の希望ですね」

高瀬さんの研究はまだまだ続きます。伊勢志摩サミットが終わり、世界から注目される三重県。三重におでかけの際は松阪市のエスカルゴ牧場に立ち寄ってみては。

Yahoo!ロコエスカルゴ牧場
住所
松阪市曲町78

地図を見る

アクセス
上ノ庄駅[出口]から徒歩約35分
松ケ崎(三重県)駅[出口]から徒歩約38分
松阪駅[出口]から徒歩約49分
電話
0598-21-6417
営業時間
9:00~17:00※完全予約制(3日前までに要予約)
定休日
不定休
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

地域みっちゃく生活情報誌『ふぁみんぐ』

地域みっちゃく生活情報誌『ふぁみんぐ』

毎月28日

中広が発行する、各戸配布型のフリーマガジン 発行エリア:三重県松阪市・多気郡多気町・明和町 発行部数:72,405部

ハッピーメディア『地域みっちゃく生活情報誌』とは

ハッピーメディア『地域みっちゃく生活情報誌』とは

中広が発行する、各戸配布型のフリーマガジンのブランド名 仕様:A4 中綴じ冊子タイプ フルカラー 100頁以内 全国30都道府県で132誌8,209,430部発行中!(2017年7月末現在)

この記事を書いたライター情報

中広

中広

中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

中広 が最近書いた記事

RECOMMEND

SPECIAL

SERIES