牛肉と洋食の本場・神戸の“ビフカツ”が旨い老舗洋食店3選

特集

老舗の洋食が食べたい!

2017/08/07

牛肉と洋食の本場・神戸の“ビフカツ”が旨い老舗洋食店3選

数ある洋食メニューの中でも、神戸で特に人気が高いのが「ビフカツ」。肉と言えば“牛肉”の事を指す関西食文化と、欧州洋食文化のコラボにより生まれた神戸洋食の代表格を、長い歴史に裏打ちされた秘伝のソースが味わえる老舗で食べ比べ!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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牛肉と洋食の本場・神戸でいただく絶品の「ビフカツ」

1970年代の神戸の街並み ※写真提供:MeijiShowa.com/アフロ

文明開花の明治初期、外国航路を持つ港町神戸には数多くの欧米人が訪れた。そのまま神戸で生活を始める者も多く、当然彼らが普段食べる洋食も、急速に街へと広がっていった。

そんな中、来日した欧米人の舌を唸らせたのが、現在では全国の高級ブランド牛の種牛としてその名を知られる兵庫県・但馬地方で育てられた但馬牛だった。

馬が中心だった関東方面と違い、当時の関西では農耕家畜として牛が一般的で、牛を食べる機会にも恵まれていたと言われている。食肉文化の洋食において、上質の牛肉は格好の食材となり、ビフカツをはじめ、さまざまな洋食に登場することとなる。

オススメの老舗はココ!

1. 【創業65年】グリル一平 新開地本店(新開地駅)
2. 【創業81年】欧風料理 もん(三宮駅)
3. 【創業52年】グリルミヤコ(みなと元町駅)

1. グリル一平 新開地本店(創業65年)

伝統を継承しつつ時代と共に進化する老舗の味

2000年に移転オープンした新開地本店。ほか三宮、元町にそれぞれ支店あり

昭和27年の創業以来、地元で愛され続けている老舗洋食店。現在この店を切り盛りしているのは3代目当主となる山本隆久さん。だが山本さんが本格的に料理を始めたのは1995年の阪神淡路大震災で被災したあとからだと言う。

震災により店は半壊。当時厨房に入っていた山本さんは料理歴5年とまだ駆け出しで、料理に対する情熱よりも、先代の味を守れるかの不安の方が大きく、ここですっぱり店を畳もうと考えていたそうだ。

さまざまな店を食べ歩き、料理の研究を重ねた山本さん。取材には明るい笑顔で応えてくれた
山本さん
山本さん
「さっさと店を畳んで、何か違う仕事でも探そうと考えてたんですが、私の知らない間に2代目と常連客のみなさんが結託し、店の更地にコンテナを持ち込んで簡易店舗を作ったんです。そして店作ったから、早く営業再開せぇ!と…(笑)」

結果、否応無しに店に戻ることとなり、震災後わずか6か月で店を再開。その後は洋食の世界から抜けられない運命を感じた山本さんは、老舗の伝統と味を守りつつ、神戸一の店にするため研鑽の日々を送ることとなる。

\このビフカツが旨い!/

OGビーフのヘレ肉を、肉の味を引き立てるこだわりのパン粉で包み、先代より受け継がれたドミグラスソースをたっぷりとかけていただく「ヘレビーフカツレツ130g」(2100円)

料理の決め手となるドミグラスソースはニンニク、タマネギ、牛バラ肉に少量生産の神戸産ウスターソースを加えて仕上げた伝統の味。濃い目のコクがあり、少し苦味が残った大人の味だ。

山本さん
山本さん
「基本的には初代の手法を踏襲していますが、時代に合わせ、少しづつアレンジを加えています。3年ほど前に牛バラ肉を和牛に変えたことにより、ふんわりとした甘味が加わりさらにおいしくなったと自画自賛しています(笑)」
「グリル一平」のメニューを支えるドミグラスソース。それぞれの店主のこだわりで、各支店で微妙に違う味を食べくらべするのも楽しい
カツレツは赤身の残るジューシーな仕上がり。柔らかくてサクリと噛み切れる

創業時からのレシピをベースにした味わい深いドミグラソースは伝統の味を守りつつ、常に進化を続けている。これからも「グリル一平」は、一般のお客さんはもちろん、味にうるさい常連客をもうならせる料理で神戸っ子の胃袋を満たし続けてくれるだろう。

ゆったりとしたレイアウトでゆっくりと食事を楽しむことができる。オープンキッチンを眺められるカウンター席もあり
Yahoo!ロコグリル一平 新開地本店
住所
神戸市兵庫区新開地2-5-5 リオ神戸 2F

地図を見る

アクセス
新開地駅[3B]から徒歩約1分
高速神戸駅[2B]から徒歩約2分
湊川駅[東口5]から徒歩約3分
電話
078-575-2073
営業時間
11:30~15:30(L.O.)17:00~20:30(L.O.)
定休日
木曜(※祝日時は水曜振替)、第3水曜
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

2. 欧風料理 もん(創業81年)

80年以上の歴史を誇る、神戸を代表する老舗洋食店

三宮のど真ん中。生田神社の南側にある4階建ての店舗。2代目店主の日笠尚子さんが取材に応えてくれた

1936年の創業以来約80年。神戸洋食文化のさきがけとして、味もメニューもほぼ変わらず伝統を守り続けている老舗。

ハイカラ好きな初代店主が、神戸の港に出入りする船乗りから教えてもらったレシピを元にしたデミグラソースは、野菜、牛スジ、チキンなどさまざまな素材を、なんと4週間もじっくりと煮込んで仕上げた濃厚なもの。食べ進めるほどにじっくりと舌に残ってくる深い旨みは、まさに長い歴史と伝統のなせる技!

日笠さん
日笠さん
「私はもちろん、ベテランの料理職人がしっかりと初代の味を守り続けています。震災で失った物も多いですが、店の調度品もそのほとんどが初代店主が集めたものばかりなんですよ」

\このビフカツが旨い!/

神戸牛ヒレ肉を使った「ビーフカツレツ」(サラダ・ライス付き2400円)

ステーキとしても食べられるほど上質の神戸牛を贅沢に使ったビフカツは、柔らかさの中にもカツらしいしっかりとした歯ごたえもあり、旨味もたっぷり。衣はサクサクの食感で、少し厚手。肉、ソース、衣それぞれのバランスが絶妙で、お互いを引き立て合っているようだ。

とろみ感の強い濃厚なデミグラソースには4週間分の旨味が凝縮!
ジューシーな赤身が残る抜群の揚がり加減。神戸牛ならではの旨味をたっぷり味わえる

この店の魅力を料理のほかにもう一つ。それは老舗洋食店のイメージを大きく超えた、個性豊かな店内空間だ。1階から4階まで4つのフロアがあり、それぞれが、先に述べたように初代が集めてきた個性的な調度品により違ったイメージにまとめられている。

基本的に4フロアとも民芸調でまとめられているのだが、1階の欧州民芸調は洋食店としてわかる気がするが、2階、3階、4階と上にいくにつれ、茅葺き屋根が似合いそうなレトロな日本の民芸調へとその姿を変えていく。

厨房やカウンター席がある1階はヨーロッパの民芸品や壺などが飾られた、洋食店らしい造り。2階もテーブル席のみだが雰囲気は大きく変わらない
3階はフロア中に日本全国から集められた古い木製の店看板がズラリ。希少価値の高いものも多く、このフロアを指名で食べにくるお客も多いと
4階には日本の民芸品が所狭しと置かれ、もはやこの空間で洋食が食べられること自体がシュール!
日笠さん
日笠さん
「初代は『レストランは物を食べるだけではなく、会話を楽しむ場所でもある』という信念を持っていて、話題のネタになるようにと店内の調度品などにも、かなりのこだわりを持っていました。でももしかしたら単に本人の趣味だったのかもしれませんけど…(笑)」
Yahoo!ロコ欧風料理もん
住所
兵庫県神戸市中央区北長狭通2丁目12-12

地図を見る

アクセス
三宮(神戸市営)駅[西出口3(地下鉄三宮)]から徒歩約1分
旧居留地・大丸前駅[B8]から徒歩約1分
神戸三宮(阪急・神戸高速)駅[西出口(阪急神戸高速)]から徒歩約2分
電話
078-331-0372
営業時間
11:00~21:00
定休日
第3月曜
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

3. グリルミヤコ

100年近くも追い足しが続く絶品ソースを堪能!

カフェのようにかわいい店舗の前に立つ2代目の宮前昌尚さん。姉の香里さんと2人で店を切り盛りしている

昔から神戸で店を構える洋食店は、外国船のレストランで働いていたコックが店主を務めていることが多い。ここ「グリルミヤコ」もそんな洋食店の中のひとつ。

創業者であり、昌尚さんの父親でもある宮前敬治さんは14歳の時にコック見習いとして船に乗り、アメリカ航路を中心に、世界を渡り歩きながら洋食の基本やマナーを学んでいったという。そして時代は流れ、海外への移動手段が船から飛行機へと移りはじめた60年代、子供が生まれることなどを期に船を降り、1965年にこの店を創業。その際、船から持ち出しだものが、今もこの店の味を支えるドゥミグラスソースだ。

宮前さん
宮前さん
「外国航路の船舶で働くコックたちの社会には、船を降りたりする際にはソースやカレーなどをパスしていく伝統があったんです。コック同士のソースのやり取りもかなり頻繁に行われていたようですよ」
これが約50年前、船から陸に上がったドゥミグラスソース

敬治さんも最後に乗っていた船から持ち出したドミグラソースは、その時点ですでに100年近くも追い足し追い足しで作り続けられていたものらしく、今ではほぼ150年近く追い足しが続けられていることになる。

これを1番ソースとし、2番、3番、4番と料理に合わせて味を加え、煮込み、味を熟成させていく。この手間ひまこそが、この店のソースの旨さの秘訣。

これが最終形となる4番ソース。1番のときに赤かった色も濃厚な褐色となりとろみも強い。ここまで仕上げるのに最低1週間はかかるそう。このソースはタンシチューなどに使われている

\このビフカツが旨い!/

ライスが付いた「ビーフカツセット」。ランチタイム(〜14:30)は味噌汁付きで1350円、ディナータイム(17;00〜)は味噌汁なしで1500円

150gとボリューム満点のカツにはアメリカ産の肩ロースを使用。揚げる前に丸2日間塩麹に浸けているから、簡単に噛み切れるほど柔らかく、肉の旨味も豊潤に。

ビフカツに使われるソースは3番にケチャップとタバスコ、ブラックペーパーを加えてたもの。味にパンチが加わり、カツとの相性も抜群!
宮前さん
宮前さん
「ビフカツは仕込みに2日間ほどかかるので、数に限りがあります。事前にご確認の上、ご来店いただければ大変助かります。阪神大震災で被災した時も、倒壊した家から先代が何よりも先に店から運び出し、生き残った貴重なソースをぜひ1度味わいに来てください」
シンプルな木目調のインテリアでまとめられた心地いい空間。夜はビーフシチューやタンシチューのコースメニューも用意(3980円〜)
Yahoo!ロコグリル ミヤコ
住所
神戸市中央区元町通5-3-5 ヴィラ元町

地図を見る

アクセス
みなと元町駅[1]から徒歩約1分
花隈駅[東口2]から徒歩約2分
西元町駅[東口]から徒歩約3分
電話
078-362-0168
営業時間
ランチタイム 11:30~14:30ディナータイム 17:00~20:00
定休日
月曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

今年の1月に某有名ご当地自慢TV番組で取り上げられた神戸のビフカツ。店に話を聞いてみると、番組の放送以来、店を紹介された、されないに関わらず洋食店全体でビフカツのオーダーがイッキに増えたとのこと。牛肉文化の関西、その中でも早くから西洋文化との交流を持った神戸で育まれたビフカツは必食!


取材メモ/洋食はソースが命。先人が守りつつけた味を大切に守る店、独自のアレンジを加えて進化を続ける店などそのこだわりはさまざまだけど、店主の客のニーズに応えたい、おいしい笑顔が見たいという気持ちは3軒共に同じでした。職人たる料理人たちが奏でる、香りと味のハーモニーを皿上でたっぷり堪能してください。

取材・文=岡村茂樹(ブロックタック)、撮影=佐々木宏明・相沢尚人

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