研究家に学ぶ、夏の風物詩「そうめん」の楽しみ方

特集

「そうめん」が大好き!

2017/08/15

研究家に学ぶ、夏の風物詩「そうめん」の楽しみ方

「夏の麺類といえば?」と聞かれたらまず浮かぶ「そうめん」ですが、お中元などでの貰い物色が強く、日持ちするがために優先順位も下がりがち…結果として持て余される気の毒な風物詩ともいえます。今回は、近すぎて見落としてきたかもしれない本来の「そうめん」の魅力を、専門家から学んできました。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

お話いただいたのはこの人

ソーメン二郎(そーめんじろう)

今や“ソーメンの人”として各メディアに引っ張りだこ

1971年生まれ。本名・植田鉄也。通称・テリー植田。そうめん発祥の地・奈良県桜井市生まれ(実家の本家は製麺所!)のイベントプロデューサーで、プロの“そうめん研究家”。「ソーメン道」ブログ主宰。(ほぼ)夏シーズン限定でそうめん関連のメディア出演やイベント、売り場のプロデュースを担う。

活動のきっかけは現状を知った上京後

二郎
二郎
いきなり正体を明かすと、僕、本業はイベントプロデューサー(『東京カルチャーカルチャー』所属)なんですよ。単発で(メディアの)特集関係に出るときは終始「そうめんの人」に徹してますけど(笑)。
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
つまり、「テリー植田」として、自らプロデュースしたキャラクターが「ソーメン二郎」だと。
二郎
二郎
僕の出身地は(奈良県)桜井市で、実家の本家は製麺所。そうめんを作って食べるのが当たり前の地域で育っていて、その当時はそこまでの思い入れもなかったんですが、20年前に上京して驚いたんですよ。“なんだ?この(「そうめん」の)地位の低さは”って(笑)。温度差を確認しようと興味本位で向き合うようになってわかったんです。そうめん業界はピンチなんだと(汗)。なので、キャラを打ち出すならポップにしようと。僕の方が先ですけど、ピコ太郎と古坂プロデューサーの関係みたいな(笑)。
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
楽しそうな活動にはしっかりと背景があったんですね!
1200年の歴史を数える伝統食そうめんですが、お中元市場の縮小で、生産量・消費量ともに落ち込み、発祥の地・三輪のそうめん産業さえも衰退の一途を辿っているのだとか
二郎
二郎
ホントにそうめん業界は斜陽です。このままだと20年後には絶滅するかもしれない。本家(実家)にも関わることなので、今生業にしているプロデューサーとしていつかお手伝いできたら…と思っていました。
メーカーや企業とのコラボイベントは『東京カルチャーカルチャー』でも多数開催

そうめんは、その“ふり幅”を楽しもう!

ポップなキャラづけと反して、丁寧で知的な語りぶり
二郎
二郎
「そうめん」のなにがすごいって、1200年も歴史があって、毎年夏には食べるのに、一度もブームが来てないところなんですよ(笑)。
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
いい得て妙な感じはしますが…同意しにくいです(笑)。
二郎
二郎
毎年、皇室に献上されるほどの伝統食でありながら、一般家庭では「えー、またそうめん?」扱い。「また」って言ってもほぼ夏だけなのに…これって “当たり前すぎる”って証明で、そんな麺類は他にないと思ってます。
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
日本生まれの一番古い麺類…あって当たり前ですものね。失ってから大切さに気づくパターン、考えただけで放っておけなくなりますね!
二郎
二郎
で、これも不思議なんですが、「そうめん」を嫌いな人ってまずいないでしょ? 知らない人もいない、だけど一番好きって人も見たことない(笑)。つまりこれは、楽しみ方が少ない…いや、あるのに知らないだけなんだなって。なので、レシピを明確にして、“飽きられない”ポテンシャルをもっと引き出していけばいいなって思ってるんです。
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
ポテンシャルを引き出す…。「冷水で〆てつけ汁に」、もしくはあったかい「にゅうめん」以外にもいろいろ楽しめるってことですね。
二郎
二郎
ええ。「そうめん」は小麦、水、塩、油だけでできています。本来の「手延べ」のものならひたすら2本の棒状を束ねてひたすら伸ばすのでグルテンがたっぷり含まれ、コシと旨みが凝縮されています。理屈で言うと、天然の旨みを際立てるだけでもいいんです。小麦と水は足せませんから、塩と油を足すだけ。これだけで激変しますよ! まずはオリーブオイルと塩で食べてみてください。
中毒性があるのでかけすぎ注意。塩は天然塩、オリーブオイルは軽く垂らしながら3回回しぐらいがベスト
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
お、美味しい! こんな簡単なことで!
二郎
二郎
ベースが確立しているので、誰でも簡単にアレンジの幅を広げられるんですよ。もちろん、今のは序の口なので、あとは出版されたレシピ本をご参照くださいね(笑)。
ソーメン二郎著「簡単! 極旨! そうめんレシピ 」(扶桑社ムック)
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
全国13~4カ所にご当地素麺が存在するそうですが、地域の違いってそんなにあるものなんですか?
二郎
二郎
もともとお伊勢参りの道中で旅人が出会った「三輪のそうめん」が各地に広まったとされていますが、伝言ゲームみたいなもので着地点は絶妙に違ったりします。麺は太さも各地でバラバラですし、食文化の違いで基本的な食べ方も特色が出てますね。あ、麺といえば徳島県の半田そうめんは特に太いですよ。JAS規格なら冷や麦に当たる直径1.7ミリ(笑)。
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
そうめんと冷や麦は太さだけの違いなんですね。というか、半田そうめんは冷や麦に訂正しないんですね!
二郎
二郎
昔からそれで通ってしまっているので事実が勝る感じ…そんなアバウトなところも文化のふり幅の凄さですよね! ちなみに全国で最も細いそうめんは直径0.3ミリで、別物なので、食べ比べでも楽しめます。まあ、そのへんのご当地分布図も出版されたレシピ本にありますので参考にしていただけたら(笑)。
ソーメン二郎著「簡単! 極旨! そうめんレシピ 」(扶桑社ムック)※2回目

未来を繋ぐ「再発明」に期待大!

優しい表情にはそうめんへの愛しか感じません
二郎
二郎
実はまだまだ「ブーム」の手ごたえは感じていません。そうめんが「儲かる」と意識され、若い人が職人を目指すようになったり、大手企業が続々参入する具体的なビジネスが生まれたりしているわけじゃないですからね。60代、70代の職人さんが踏ん張ってくれてる現状は変わってないですからね。僕もこれからが正念場です!
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
でも、もしそこまでのブームになれば価格競争とか市場が荒れる…そんな心配も出てきません?
二郎
二郎
それ以上に切羽詰まってますから(笑)。加えて言うと僕はルーツの「三輪そうめん」だけに肩入れしているわけではないんです。業界全体の継続のピンチだと思っていて、そうめんそのもののポテンシャルを引き出す新しい楽しみ方をどんどん打ち出していかないといけない。歴史はあり、モノも確実にいい…楽しみ方、知られ方の「再発明」ですね。

今年は「はなまるうどん」さんと、うどん屋なのに期間限定メニューとしてそうめんを提供してもらいました。また、イベントを通じて交流を深めたラーメン店「凪」さんとの商品開発を進めるなど、麺類の垣根も超えながら水面下で色々仕掛けてますので、「そうめん」はますます楽しめるものになると思います。ご期待ください!
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
「楽しみ方」を聞くつもりが、実業家的なインタビュー色が強く出てきました(笑)。
二郎
二郎
“利害関係のない”存在として動けるのがプロデューサー、そして企画を楽しめるのが「ソーメン二郎」なんです。
Yahoo!ロコ東京カルチャーカルチャー
住所
東京都渋谷区渋谷1丁目23-16

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アクセス
渋谷駅[13]から徒歩約0分
渋谷駅[13a]から徒歩約2分
渋谷駅[11]から徒歩約3分
電話
03-6427-4288
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

そうめん二郎が推すそうめん専門店『阿波や壱兆』

場所は東中野駅そばという好立地!

そうめん二郎さんがオススメするのは、東京・東中野の『阿波や壱兆』。こちらは、徳島出身の店主が年中無休、24時間営業で徳島名物・半田そうめんを提供してくれるそうめん好きにはたまらないお店です。

カウンター越しに眺めるプロのそうめん作りって希少

店内は入口からまっすぐ伸びるカウンター数席と、奥にちょっとした座敷席を構えたシンプルなスタイル。スタッフとの距離感もほどよく、家庭で味わうのとはまた一味違う親近感を覚えます。

二郎
二郎
専門店は都内に数多くあるわけではありません。しかしその分、専門店と言われるお店はそれぞれがしっかりこだわりがある。まさに“精鋭”ばかりなです。
定番の「すだちそうめん・冷」(880円/税込。つややかでコシのある太麺(※そうめんにしては)に優しく絡むあっさり出汁、すだちの酸味は「日本の夏」そのものを感じさせてくれます
二郎
二郎
このお店のもうひとつのウリはなんといってもレシピの多彩さで、日替わりでの創作メニューも含めるとその種類はなんと350種類以上です。
こちらのお店のレシピ100種を公開した本も出ています
Yahoo!ロコ阿波や壱兆
住所
東京都中野区東中野1-58-11 セリタビル103

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アクセス
東中野駅[西口(南側)]から徒歩約1分
東中野駅[東口(南側)]から徒歩約4分
落合(東京都)駅[2]から徒歩約7分
電話
03-3363-7234
営業時間
月~日、祝日、祝前日: 00:00~翌0:00
定休日
なし
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

そうめんは麺類最強の未完の大器!

そうめんは、ルーツそのものを楽しめ、1200年の歴史に裏付けされた“純粋”な旨さを楽しめる最強の麺類であることがよく理解できました。だからこそ“手つかず”でいたかもしれないその圧倒的ポテンシャル。ぜひ皆さんもソーメン二郎さんに倣って自由に楽しみ、まずは「マイブーム」を起こしてみてくださいね!

取材・文・写真/橋詰晋也(鼻毛の森)

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

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