俳優・宇梶剛士が40年通うスタ丼の聖地とは?

特集

夏バテをスタミナ丼でふっ飛ばせ!

2017/08/17

俳優・宇梶剛士が40年通うスタ丼の聖地とは?

すべてのことには始まりがある。今では当たり前にある“スタミナ丼”の始まりは、国立の片隅にある小さなお店。その変わらぬ味を“やんちゃ時代”から40年愛し続ける俳優・宇梶剛士さんが、お腹を満たすだけじゃない“元祖”スタ丼の魅力を熱く語ります!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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オヤジのスタ丼は「心を食わしてもらっている」

“スタミナ丼”の発祥と言われるお店が東京・国立にあります。その名も「名物スタ丼 サッポロラーメン 国立本店」

創業は1971(昭和46)年。やんちゃな若者たちに“オヤジ”と慕われていた創業者・橋本省三さんが「若いやつらに安くて旨い物を腹いっぱい食べさせたい」という思いから誕生したのが「スタ丼」です。

国立出身、暴走族の元総長というやんちゃな過去を持つ俳優・宇梶剛士さんも、オヤジとスタ丼に魅了され、この店に通い続けてなんと40年! 年季の入った常連・宇梶さんと共に、「名物スタ丼」を訪れます。


\宇梶アニキ、ご来店!/

 

宇梶剛士(うかじたかし)さん。1962年8月15日生まれ。俳優として映画やドラマ、舞台などで活躍。CMなどで見せるコミカルな姿も話題。現在はミュージカル「にんじん」(~8/27@新橋演舞場、9/1~10@大阪松竹座)に出演中。


オヤジこと初代店主・橋本さんは25年ほど前に他界され、現在店を切り盛りするのは、宇梶さんの地元の後輩でもある舩津正則さん。久しぶりの再会、と思いきや1週間ぶりというから、さすが常連な宇梶さん。オヤジさんの伝説的エピソードから若者論まで、宇梶アニキの熱いトークが始まります!

現店主の舩津さん(左)と宇梶さん(右)。舩津さん的には宇梶さんは「地元のスーパースター」

宇梶剛士が
思い出の聖地を再訪
1.宇梶剛士と聖地の関係
2.発祥と言われるスタ丼の魅力
3.まだあるオヤジ伝説

1.宇梶剛士と聖地の関係

店がある国立駅南口。家が遠くても、いまだに国立に集まって飲むこともあるくらい、国立出身者は地元愛が強いそう

――きょ、きょ、今日はよろしくお願いします…!(汗)。小学生の頃から国立に住み、この店に通い始めたのは15歳の頃からとのことですが、行き始めたきっかけを教えてください。

宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
『うまくて腹いっぱい食える』ということで、仲間内で『お前知ってるかここ』と話題にあがって。『へー知らねえんだ?』とか言って、先に知ったやつが優位に立つ的な(笑)。それで店に行って調子に乗っていたら、オヤジが怖くて(笑)」

――当時の宇梶さんですら怖かったんですか…?

宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「いやいや、もう国立だけじゃなく、近隣の市の不良どもがみんな背筋伸ばしてましたから。店の前をバイクのエンジンかけて通っちゃいけないんだもん(笑)。店の手前の信号まである程度スピード出してきて、信号を通過したところでエンジン切って、カラカラカラカラってチェーンだけで通り過ぎる。それで次の信号の手前でエンジンかけてまたバーッて走って行く。エンジンかけたままなんか通ったら『てめー、この前うるさかったな、このやろー! 食わせないぞ』みたいな(笑)。だからこの店の前をエンジンかけて通るやつはもぐり(笑)」
「あの信号から~」と、当時のことを身振り手振りで話す宇梶さん

――舩津さんから見て、宇梶さんはどんな存在なんですか?(怖いですよね…?)

店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「僕からしてみれば、自分が最も尊敬する師匠(橋本さん)がかわいがっていたお客さんなので、すごい人だなと思います。だから宇梶さんが来て、料理を提供して帰ってもらうまでに、自分の普段の仕事を確認するというか。指針にしているというか。裏切らないようにしっかりと仕事ができているか、確認作業をさせてもらっているところはありますね。ちなみに、僕は宇梶さんの6、7個下なんですが、中学生の頃に宇梶伝説っていうのがありました(笑)」

――ドキー!! それってどんな伝説だったんですか…?(言える話ですか…?)

店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「いやー…もう従えてる数が違いましたからね」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「俺がスタ丼を1000杯頼んだっていう噂があるけど、どこから来たんだろう(笑)。ここで1000杯も作れないよな。おもしろすぎて黙ってるけど(笑)」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「師匠が集会に付いて回ったって話もありましたけど、師匠はそんなことしない(笑)」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「追っかけてきたことはあったかもしれないけどね。『てめーらこのやろー!うるせー!』って(笑)」

――(宇梶さんが怖がるなんて)オヤジさん、強烈な方だったんですね…。もっとオヤジさんの話が聞きたいです!

宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「オヤジさんは怖かったけど、別に意地悪な人じゃないし、若いやつが好きだったんだろうね。めちゃめちゃ怖いんだけど、みんなオヤジが好きっていう、そんな人だったな。それがね、(舩津さんに)すごい似てるの(笑)!」

――あれ? 血は繋がってないですよね?

店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「ないですないです。まああの、人間ね、思い続けると似て来るんだなって(笑)。……今の発言でも、天国行ったらゲンコツもらいそうですけど」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「ふっふっふっ」
今でも師匠を感じている様子の舩津さん
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「宇梶さんに限らず、地元の名だたる先輩たちが何十年もの間、一目置いている。で、亡くなって25年。いまだに師匠の話をしにくるって、やっぱすごい人だなーと思います」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「まだ生きているみたいにね」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「そうですね。僕なんかもたまーに、『あ、これ怒られたなー』ってことをまたやった時に、ゾッとする時ありますよ(笑)」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「(笑)」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「それと、今のフードビジネスの走りでしたね。深夜までやっている店が全然ない時代に深夜営業やって。コンビニやファミレスの店員が最後のお客さんでしたからね。そういうところが一斉に閉まると、うちの店にエネルギッシュな若者たちが集まって来て、みんなわーっとメシ食って帰って行く。最初入った時は怖かったです。みんなのエネルギーがすごすぎて」
オヤジさんの逸話が出てくる出てくる
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
『店の前でけんかしたら出入り禁止』といううちの師匠の一言で、店の中では、対立するグループ同士も一切もめごとを起こさなかったですね」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「みんなおとなしく食べて帰る。不良だけじゃなく、エリートになっていくような一橋大学の学生も来るし、東京女子体育大学の子たちもわんさか」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「一日中そんな感じです」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「入り乱れ。やんちゃな人もここへ来て不良の空気感出すわけじゃないから。礼儀正しく『あれください』なんつって(笑)。オヤジに『なんだおめー』とか言われると『はい』とか言って(笑)」

2.発祥と言われるスタ丼の魅力

\これが名物「スタ丼」だ!/

550円。ニンニクが利いた秘伝の醤油ダレが食欲をそそる。豚肉と長ネギの下には海苔が敷かれ、口直しにうれしいたくあんがのる。生卵と味噌汁付き

――では、ここからはスタ丼を食べていただきながらお話を伺います。

宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「いただきます!(食べて)うまいなぁ、ほんとうまい
豪快な食べっぷり!
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
40年来ているからね。今でも最低月1回は来ているから、ここ10年で120回。若い頃、15歳から25歳の間には少なめに数えても月8杯。年間で約100杯だよね。10年で1000杯。20年で2000杯。そこから少なめにカウントして、年間12杯だから10年で120杯か。だから2300杯くらいは食ってきてるって…あほだな(笑)。おいしいんだもん」

――そこまで宇梶さんを引き付ける、スタ丼の魅力とは何なのでしょうか?

宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「やっぱりおいしくなきゃ、いくら思い出があったって、そこまでになってしまうと思うんだけど…。やっぱりバカでもガキでも分かるわけ。オヤジが『若いやつらを安く腹いっぱいにしてやろう』って思ってくれていることを。だってあの大盛り加減はおかしい! 今日食べているのは並だけど、大盛りはラーメンの丼だから(笑)。動けないくらい腹いっぱいになれる。おかしい。これなんで?みたいな。仲間内で、バカな頭なりに考えるし、話すんだよ。オヤジが腹いっぱい食わしてくれてんだなって」
熱い話になってきました。悩み相談とかしたい感じ。アニキィ…
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「いい言葉で言えば、食い物も食わしてもらっているんだけど、心を食わしてもらっている。そういうことが、人を信じられない不良にも、勉強ばっかりしてきたエリート大学生の心にも、スポーツばっかりしてきたような子たちの心にも、俺は届いていたと思うけどね。ここへ来てメシ食って、人生の悩みがすべて解決してルンルンで帰れるわけじゃないけど、お腹も満たされて、1人でくじけそうなものが少しずつ和らぐような、そういう目に見えない蓄積をもらっていたと思うけどな。俺はそう」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「僕なんかも師匠を見ていてまったく同じことを思っていました。だから店もなるべく当時のままにしたいなと思ったんですよね。メシだけじゃなくて、師匠を頼りにしている人たちが来ていて、飲食店でもこんなことできるのかって思ったし、飲食店ってかっこいいなとも思ったから、そういうお店をやりたいなって。俺も食べてくれる若い子と話して、ほんのちょっぴりでもいいから元気になってくれたり、逆に勇気をもらったり笑ったり怒ったりっていう、師匠がやったみたいな喜怒哀楽が詰まった店があってもいいのかなって。その頃を思い出して、宇梶さん世代より上の人たちは定期的に顔を見に来てくれているんで、亡くなって25年近く経つけど、いまだに師匠にメシ食わしてもらっていますね」
店のレイアウトも当時のまま。壁に貼られているのは、大盛り2倍(総重量2㎏超!)を完食した猛者たちの名前
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「そんなオヤジが考えて考えて作ったタレだからこそ、こんなにうまいわけだよね」

――そんなオヤジさんに、宇梶さんはかわいがられていたんですよね?

店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「かわいがられてましたね」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「いや、みんなかわいがられていたし、みんな好きだったから。でもまあ、いろいろと『がんばれよ』じゃないけど、喝入れられたよね。ニコニコと。励ましてもらっているんだけど、こっちはビビってる、みたいな(笑)」

――どういうところが気に入られたと思いますか?

宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「うまそうに食うからじゃないの?(笑)、うれしそうに。俺55(歳)だよ(笑)。取材とかで、北海道から九州まで日本中の産地の食材とか、世界のなんとかシェフのおいしいものを食べていても、やっぱりうまいっすよ、ここのは」

と、話しながら一瞬にしてスタ丼をたいらげてしまった宇梶さん。ここで宇梶さん流の食べ方をおさらいします。

\宇梶流「スタ丼はこう食べる」/
その1. 卵を入れる穴を掘る

丼を受け取るところを撮影するため、「授賞式みたいだな」と笑いながらも静止してくれた宇梶さん。アニキィ…

スタ丼を受け取ると、「ちょっと待ってね、これやらないと食べらんないから」と言って、丼の真ん中を掘り、スペースを作る宇梶さん。そこへ溶いた卵を流し込んでいました。

宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「みんなこうやるでしょ? これやんないやつはもぐり」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「そのままのっけちゃう人もいますね」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「のっけてからかき回すんだ。白身だけで食べるのが好きなやつね」

その2. あとは何もかけない!

卵も絡め、あとは口へ運ぶだけ!

卓上には、醤油やラー油といった調味料のほか、おろしニンニクなども用意されているが、何もかけないのがアニキ流。

宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「これでもう完璧だから!」
舩津さん曰く、「正しい食べ方は、脇を開いてかっ込む!」

その3. 残さず食べる!

ごちそうさまでした!
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「メシは残すな、みたいなことはオヤジに教わりましたね。スタ丼は大盛りもすごく安いんだけど(+50円)、残すと250円プラスになるの。250円なんて、当時の俺にしたらもう気絶するくらい高い!(笑)。俺なんかは物がない時代、米粒一つ茶碗についてたら『農家の方が一生懸命作ったんだ!』って親にひっぱたかれた世代だけど、米を残さないって習慣なんだよね。物を大切にする、最後の一粒まで米なんだ、食事なんだっていうことを、習慣づけることだから」
再び熱い話になってきました。アニキ!
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「大人がしてきたことを大人が教えなかったということだよね。若者は教わんないことは一切何もできない。『あいさつできねー』『あいつろくでもねー』ってバイト先で言われて、のけ者になってるやつは、あいさつしただけでどれだけ状況がパッて開けたり、前に進めるかっていうことを、感覚として習わないまま育っちゃった。そういうやつを悪く言うのは簡単だけど、かわいそうなんだよ、習えなかったんだから。だけど、なぜかみんなそこまで考える余地ないから。できる人はできない人のことを理解しようとあんまりしないから。そういう中で、のけ者にされるから余計硬直して、余計ひねくれていって、みたいなことがあっちでもこっちでも起こってるよね。昔からあったけど、昔は大人が『こら! 残すなお前、安く出してんだ。全部食え』って怒ってくれるからさ」

ちなみに、スタ丼以外にも思い出のメニューがあるようで…。

宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「正直、15歳から18歳くらいまではたまにスタ丼で、ほとんどがチャーシュー丼。金がないから。もっと安くて恐ろしいほど大盛り(笑)。最近あんまり出ない?」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「そうですね、やっぱり、チャーシュー丼は宇梶さん世代、もしくはそれより上の人たちですね。だから、チャーシューって頼む人は『あ、やばい人来た』と思って(笑)」

\これがウワサのチャーシュー丼/

「チャーシュー丼」600円。柔らか~いチャーシューがご飯を覆っています。当時は300円位だったそうです。安い!
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「あの頃でも、お腹いっぱいチャーシュー食えるってすっごいパラダイスだったもんね(笑)」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「うちの師匠は戦中戦後の人なので、白飯を腹いっぱい食いたいという思いがあって、そこが出発点なんです。肉を食いたいけど、小っちゃい頃食えなかったらしいから。肉で腹いっぱい白飯を食べるっていうコンセプトでできあがった店なんですよ」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「もやしがバーッと敷いてあって、零れ落ちるくらいのチャーシューがのってるんだよね」

3.まだあるオヤジ伝説

残念ながら写真は残っていませんが、現店主の舩津さんはオヤジさんによく似ているそう

不良たちがマネするスタ丼屋のオヤジ

――オヤジさんのことが気になって仕方ありません。ほかにもオヤジ伝説くださーい!

宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「みんながオヤジのこと好きだったからね。おかしいのがさ、あるメーカーの半そで丸首のTシャツをオヤジが着てる、とか言って、不良たちがみんなそれを着るっていう(笑)。白い無地のTシャツを。スタ丼屋のオヤジの格好をマネするって何よみたいな(笑)」
当時を思い出して爆笑。はっはっはーと豪快な笑い声が店に響きます。アニキー!
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「師匠のヘアスタイルまで真似している人いましたからね。昔の人だから、べらべらしゃべんないで寡黙な部分もある人だったけど、強そうだし、迫力があるし、芯が通ってるし、みんな何かしゃべったとかじゃなくて、勝手に憧れてる部分はありましたね。差別をしない人でしたし」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「そうそう、まさにそうなの。グレてるやつなんかは、オヤジみたいな大人を心の拠り所にしてるようなところがあってさ。小さな子供でもそうだけど、グレてるやつらは理屈がない分、すごく嗅覚が発達してるんだ。自分がどう見られてるかを、トボけてるふりして、いつも気にしてたり。そんなやつらも、それこそ一橋の子たちだって、一生懸命勉強して大学入ったって、まだ就職だってあるし、その先の人生だって全然見えない。若者って不安定だし不安だし、そういう時にオヤジは差別しない。不良も東京女子体育大学の子も一橋のエリートになりそうなやつも、みんな同じように接するところを、若者特有の敏感さ、繊細さっていうものはかぎ取ってたんじゃない? だからいろんな人が来たんじゃないかな」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「師匠のことで一番びっくりしたのは、師匠から『タバコない』って言われて、『早く買ってこなきゃ』と思ってチャリンコに乗って行ったんですよ。戻ってきたら、師匠が機嫌悪くなってるからどうしたのかなって思ったらいきなり殴られて、『お前、急いで買ってこいって言ってるのに、チャリンコ乗ってのんびり行くってどういうことだ』と」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「どういうこと? 走れってこと?(笑)」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「チャリンコのほうが速いだろって思ったんだけど、走っている一生懸命さがない分、チャリンコで楽をしたってとられて、血を見るっていう(笑)」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「はっはっは! 俺以上に理不尽な男だ(笑)」
舩津さん、いい笑顔! 宇梶さんと師匠の話をするのがうれしそう
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「内弟子やってるとほんとに困りますよ…。アルバイトから社員になろうと思って『弟子にしてくれ』って言った時、給料上がんのかなーって思ったら4万下がってて。あれ、俺どうやって暮らしていったらいいんだろうって言ったら師匠が、『お前、内弟子になるってそういうこったろ。お前、俺の弟子だって認めてやったんだよ。どっちがいいんだよ』って言うから『弟子です』って。何にもやること変わんないのに、給料だけが4万減らされるっていう」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「昔のやり方だよね(笑)。弟子料だ。看板料だ」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「でも、そのおかげでかわいがってもらったので…。まあ俺は粋に感じてやりましたけどね。理不尽だなーと思いつつ(笑)」

「変わらないままあるっていうのは宝だと思うな」

宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
「でも彼(舩津さん)がいるおかげで、あの頃とおんなじ味のスタ丼が食えるわけですよ。今年2月に俺の弟分が死んだんだけど、(病気で)固形物が食えないから、ミキサーで流動食にして、死ぬ寸前まで食わしてた。そいつはもう、目が見えなくなってもここに『スタ丼食いてえ』って来てたから」
「こんなにメニューがあるのに、スタ丼以外、ほとんど食べたことないな」(宇梶さん)
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
変わっていくことをいろいろ言うとむなしいだけの話になるけど、変わらないままあるっていうのは宝だと思うな。変わることはしょうがないこともあるじゃん。人が違うしさ。だから、変わらないで、オヤジの『若くて金のないやつに食わしたろ』みたいなものが、今もここにあると思うから、それはもう精神文化だね。そういうものがなくならないで欲しいなって。俺も55だけど、スタ丼食えなくなったらヤキ回ったなって思うね、自分で(笑)。そういうなんか、張り合いみたいなものだね」
店主の舩津正則さん
店主の舩津正則さん
「だからほんとに、一橋を出て大企業の部長や役員になった人も、年に一回とか国立に来て、スタ丼を何にも言わないで食って、550円払って帰って行く。そういうのを見ると、値段やなんかではない、すごくいい商売だなーって思いますよね」
宇梶剛士さん
宇梶剛士さん
月に1回は来ないと心が叫び出すから。心がガサガサしてくるからね(笑)。まあ、この記事を見て、初めて来てくれた時に俺が食っていたら、勇気を持って話しかけてもらって、一緒に写メでも撮りましょうよ(笑)」
お腹いっぱい、の表情をしてくれた宇梶さん。優しい方です、アニキ

今でもそこにオヤジさんがいるかのように話をする宇梶さんと舩津さん。それも舩津さんがオヤジさんの味を守り続け、宇梶さんが通い続けているからこそ。安くておいしくてお腹いっぱいになれる。さらにその奥にある気持ちを受け取って、スタ丼に通う人は元気をもらっているようです。

名物スタ丼 サッポロラーメン 国立本店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


取材メモ/白状しますと、会う前はとってもビビっていました、宇梶さんに。だって元総長ですよ! 宇梶伝説(都市伝説的な)ですよ! でも会って話をしてみたら、頭の中で勝手に呼んでいましたよね、「アニキ」って(口には出せませんでしたが)。熱くて優しいアニキに、取材陣みんな惚れちゃいました。そしてスタ丼、うまっ!

取材・文=小林未亜(エンターバンク)、撮影=菊池さとる

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

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