この穴は一体!? 丸山ゴンザレスと行く、北関東最後の秘境

この穴は一体!? 丸山ゴンザレスと行く、北関東最後の秘境

2017/08/30

埼玉県のとある地域に変わった遺跡があるという。テレビ番組『クレイジージャーニー』でおなじみの危険地帯ジャーナリスト・丸山ゴンザレス氏と一緒に、北関東の不思議スポットへ日帰り冒険の旅に出かけよう。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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北関東にこんなクレイジースポットがあった!

命の危険を顧みず、世界各地の危険地帯を歩き回る男がいる。彼の名は「丸山ゴンザレス」。裏社会の事情に詳しいことから「犯罪ジャーナリスト」とも呼ばれており、テレビ番組をきっかけにお茶の間の人気者となった。最近では書籍『世界の混沌を歩く ダークツーリスト』を上梓するなど、多方面に活躍の幅を広げている。

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

ジャーナリスト

丸山氏にリサーチしたところ、「埼玉県比企郡吉見町がアツい」という情報を得た。吉見町は埼玉県の中部にある人口2万人ほどの小さな町だ。あまり聞き馴染みのないこの場所に、一体どんなクレイジースポットがあるというのか。

聞き込みは取材の基本だ

関越道東松山インターを降り、埼玉県道27号東松山鴻巣線の旧道を東へ。向かう先は地元では有名なスポットだという。

1.山肌に無数に掘られた古代人の墓

右手に小高い丘が見えてきた

着いたのは国指定史跡「吉見百穴(よしみひゃくあな)」。そこには想像を絶する光景が広がっていた。下の写真をご覧いただきたい。

山肌に無数の穴が掘られている、なんだこれは

無数に掘られた黒い穴。これらは古代人の墓だ。吉見百穴は古墳時代の末期(6世紀末~7世紀末)に造られた横穴墓なのだ。

付設の資料館にあった模型によると横穴墓はなんと219基を数える

この周辺は凝灰質砂岩と呼ばれる比較的柔らかい地盤であり、掘削するのに適したこの場所に多くの墓穴が掘られたと考えられている。

墓を指差して説明を始める丸山氏
丸山ゴンザレス
丸山ゴンザレス
「死者が埋葬された主体部の構造は古墳時代後期の横穴式石室を模しています。初期と後期はエントランスの形が違いますね。作った人たちは実際に横穴式石室を見たことがなかったのでしょう。だから、どうしても本物とは異なってしまうんです」
再現模型を見ると石を積んで入り口を塞いでいるのがわかる。時代とともに入り口部分は簡略化されてきたという

古代人の墓について雄弁に語り出した丸山氏。実は大学時代は考古学を専攻し、発掘作業に明け暮れ、まだ見ぬ古代遺跡を発見することを本気で夢見ていたとか。母校である国学院大学にも研究員として籍を置く立派な考古学者なのだ。

丸山ゴンザレス
丸山ゴンザレス
「危険地帯を歩いてるばかりじゃないんです。『インディー・ジョーンズ』や『マスターキートン』を見ればわかるように、考古学にはロマンがあるんです。さあ、上には実際に入れる玄室があるので行ってみましょう」
急な階段を登る

かつて丸山氏は大学院で横穴墓を研究していた。そして、この吉見百穴も研究対象であった。この墓には一体どんな人が葬られていたのだろうか。

丸山ゴンザレス
丸山ゴンザレス
「墓に葬られるくらいだから比較的身分が高い、つまり豪族でしょうね。ただし、横穴墓の最大の特徴は再利用が可能で何度も追葬ができること。コスパ面からいうと巨大古墳の埋葬者なんかに比べたら地位は高くないでしょうね。あとは、玄室に遺体を入れて、時間が経った後に収骨していたとも考えることができます」
穴に入ってみよう

入口は狭いが中は広い。6畳くらいの広さで天井も意外に高く広々としている。遺体はこの玄室に安置され、自然と白骨化するのを待つ。この儀礼は「殯(もがり)」と呼ばれる。

無数の鑿(のみ)の跡が見られる
丸山ゴンザレス
丸山ゴンザレス
「エントランスの長さがだいたい一緒なのは、同じ職人集団が作ったか、モデルにした墓があったからでしょう。入口のデザインが違うのは、もしかしたら葬られている人の家系の違いなんかを示していたのかもしれません」

突如現れた山肌の黒穴。それは現代に残る古代人の墓であった。

吉見百穴の横穴墓内には国指定天然記念物のヒカリゴケも自生している
確かに光って見える。ヒカリゴケは一般的に中部以北の山地に見られ、関東平野に生育していることは植物学上極めて貴重なんだとか

2.地下軍需工場跡

飲み込まれそうな大きな穴が口を開けている

吉見百穴にはもう一つ見所がある。山のふもとに入口がある、軍需工場跡だ。中に入ると奥にまで続く道が見える。この吉見百穴の下には、直径3メートルほどのトンネルが碁盤の目状に掘られているのだ。

丸山ゴンザレス
丸山ゴンザレス
「戦時中、飛行機の軍需工場を建設するために作られました。3000人以上の朝鮮人労働者が動員されたと言われています」

都内にあった飛行機会社が昭和19年末の空襲によって生産能力が落ちたため、この場所に白羽の矢が立った。敗戦までのわずかな期間でこの地下工場は作られたのだ。

夏場でも常にひんやりとしている
丸山ゴンザレス
丸山ゴンザレス
「この場所が選ばれたのは、やはり彫りやすかったことが大きかったのでしょう。空襲を避け航空機の部品を製造する目的で造られたこの遺跡は、戦争の生々しい記憶を現代に残す貴重なものと言えます」

本格的な生産に入る前に終戦を迎えたというが、トンネルの内壁はほぼ素掘りで当時のまま残されている。当時の人々の暗い息遣いが聞こえてくるようだ。

まるで異世界だ

3.茶屋でひと休み

見学が終わったら近くの茶屋でひと休みしよう。涼しい地下軍需工場跡から外に出ると、一気に汗が噴き出してきた。

ベンチに座って小休憩。コーラは瓶が一番

小さい頃はコーラをあまり飲ませてもらえなかったという家庭も多いことだろう。大人になるのも悪くないものだ。

ガチャガチャだって好きなだけでできる
ハイセンスなキーホルダーも買った

茶屋で一休みして英気を養ったら次のスポットへ出かけよう。夏の冒険はまだまだ終わらない。

どうしたって顔ハメはやってしまう

4.不思議な音がする「ポンポン山」

この看板が目印だ

吉見百穴から車で10分。高負彦根(たかおひこね)神社の境内裏には、見晴らしのよい岩山がある。通称・ポンポン山と呼ばれるこの山には一体どんな秘密が眠っているのか。

あそこだ

駐車場に車を停めて、草深い道を5分ほど歩くと神社が見えてくる。

狭い道をひたする登る。カエルを10回くらい踏みそうになった
神社に到着。この裏手にポンポン山がある

ポンポン山の由来。それは、かつてこの山に財宝が埋められ、それを盗人が盗みにくると、山がポンポンと音を立てて追い払ったという伝説による。

丸山ゴンザレス
丸山ゴンザレス
「実際に山の中腹に登って足を踏み鳴らすと、ポンポンという音がします」

実際に飛んでもらおう。

巨体を揺らして飛ぶ丸山氏
「ポン!」

見事な音だ。他の場所でも試したが、ある一帯だけ明らかに音が違う。地面の下に空洞があるような「ポン」という乾いた音がするのだ。

丸山ゴンザレス
丸山ゴンザレス
「昔はもっと大きな音がしたそうですが、踏み固められたせいか、年々音は小さくなっているそうです。それでも、この音の感じからすると、下に空洞がありそうな気がしますね」

もしかすると、この下には隠し部屋があって、本当に財宝が詰まっているのかもしれない。なんともロマンのある話ではないか。「ポン」「ポン」。その後もしばらく飛び跳ね続ける丸山氏。もしかすると、古代の財宝に想いを寄せていたのかもしれない。


北関東を巡る小さな冒険もこれでおしまい。わずか半日でこんなに充実した冒険ができるとは思ってもいなかった。東京からわずか1時間半、半日で行ける不思議なスポット巡りに、足を運んではいかがだろう。

旅先で直売所を見ると寄ってしまう

取材/丸山ゴンザレス
構成/キンマサタカ(パンダ舎)
取材協力/吉見町・吉見百穴

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