「OHYA UNDERGROUND」がリアルダンジョンだった

「OHYA UNDERGROUND」がリアルダンジョンだった

2017/08/30

大谷石(おおやいし)の採掘で栄えた宇都宮の大谷地区は、巨大な採掘場跡が話題となって近年観光客が増加しているホットスポット。普段は立ち入ることができない地底湖を探検できるツアー「OHYA UNDERGROUND」(オオヤ アンダーグラウンド)で、知られざる地下空間を直撃!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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\案内してくれるのはこの人!/

「OHYA UNDERGROUND」を企画するLLPチイキカチ計画の坂内剛至さん。地下空間を知り尽くすスペシャリストだ
坂内さん
坂内さん
「いきなりですが、私の右側が地底湖への入り口です。中が気になりますか? でも、まずはここへ車で来る間に、大谷石のことをちょっとだけお勉強しましょう。なんでこんな空間ができたのか、その理由もわかりますよ」
田園風景が広がる大谷の町並み。普通の田舎の風景と違うのは、岩肌が露出した山が散見されるところ
坂内さん
坂内さん
「大谷石は、今から約2200万年前、まだ日本列島が海の底に沈んでいた時代に海底火山の爆発によって噴出した火山灰が降り積もってできた凝灰岩(ぎょうかいがん)という種類の石です。柔らかいのが大きな特徴で、西洋の建造物が日本に入ってきたときに、加工しやすい大谷石が使われるようになって需要が高まったんです」
大谷石の建造物で一番有名なのが、近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトが設計した旧帝国ホテル。これは、その中央玄関前にあった壺を再現したもの
壁を切り出していく「垣根掘り」が行われていた場所。ラクダのような形をしていることから「ラクダ岩」の名前で親しまれている
坂内さん
坂内さん
「採石が盛んに行われたのは、明治から大正、昭和にかけて。昭和30年代ごろがピークでした。最盛期には250以上の採石場で3000人以上の人が採石や加工に携わっていたのですが、1980年代に安価な建材が使われるようなると、その数が激減してしまいます。現役で採石している業者さんは、今では6軒だけになってしまっています。どんな場所で採石しているのか、現役の採石場を見学してみましょう」
突如街中に現れた巨大な穴! 良質な石を求めて地下60mまで掘り下げられており、なんと先人たちが人力だけで掘ったというから驚き。底部からは横に穴が掘り進められており、これを「坑内掘り」という
坂内さん
坂内さん
「1本の大谷石を切り出すのに、ツルハシで2000回から3000回叩く必要があったそうです。昔の人は1本ずつ人力で切り出して、担いで運んでいたんですよ。ここは現役ですが、ほとんどが廃業してしまっているので、大谷には閉山して放置されている採石場跡がたくさんあるんです。次は、そんな採石場跡をご案内しましょう」
森の中を歩いて行くと、何やら奥に見えてきた
森の中に突如現れた巨大な採石場。まるで古代の遺跡のようだ。ここは本当に日本なのか……? という不思議な感覚になる
坂内さん
坂内さん
「ここは、明治の初め頃に開山したのではないかと言われている採石場です(定かでないのは、古すぎて記録が残っていないからなのだそう)。「虎目」と呼ばれる虎模様が入った最高級の大谷石が採れる珍しい場所だったそうです。さて、いよいよ地底湖へ行きましょうか!」

車に揺られること数分。施錠されたゲートが現れた! 取材班のワクワクが止まらない。

ライフジャケットとヘルメット、長靴を装備して奥へ進む。少し入っただけで、すでにひんやり。地底湖はこの先らしい
ふと足元を見ると、なにやら細かい点々が。これは天井から落ちた水滴が長い年月をかけて抉ったものだそう。均等に点が並んでいるのは、当時の職人さんたちの技術力が高かった証拠だ
坂内さん
坂内さん
「さぁ、ここが冒頭で私が立っていた採石場跡の中です! 開山は明治43年で、もちろん、すべて手掘り。現代の職人さんが見ても驚くくらい、高い技術で掘られている場所なんです。中はひんやりしていて5〜10℃くらいしかありません。湿度も高くて、夏場は99%(!)。天井や壁は常に水滴で濡れています」
現れたゲートを解錠して進む
真っ暗な地下に明かりが灯ると、この幻想的な景色! こんな異世界が日本に、しかも都内から2時間ほどの場所にあるなんて、ほとんどの人が想像したこともないはず
ラフティングボートに乗り込んで、いざ地底湖探検へ!
雫が落ちる音だけが響く、暗くて静かな世界。ボートはゆっくり奥へと進んでいく
坂内さん
坂内さん
「この地底湖は雨水が溜まってできたもので、広さは約2000㎡。深さは深いところで6mくらいあり、水温は年間通して6℃ほどと冷たく、生物も確認されていない不思議な湖です。最深部まで行ってみましょう。写真スポットですよ!」
水は大谷石の成分が溶け出していて乳白色している。もしここに生き物がいたとしても、目の見えない深海魚みたいな魚だろう

さらに奥へと進んでいくと……。

期待に胸を膨らませながら先へ進むと広い空間に出た。目の前には、幻想的で美しい絶景が!!
引いてみるとスケールの大きさが際立つ
坂内さん
坂内さん
「これは夏場だけに見られる現象なんですけど、外気との気温差で“地中なのに雲ができる”んです。でも、ここまで幻想的な絶景はなかなか見られないですよ! 昨日雨が降って、今日が快晴なので、ここまで濃い雲が出たんでしょうね。ぜひ多くの人に見ていただきたいですね」

\おまけ/

東京ドーム10個分という広大な敷地を持つ道の駅「うつのみや ろまんちっく村」

このツアーの発着場所になっている道の駅「うつのみや ろまんちっく村」も、ぜひ見ておきたいスポット。宿泊施設や温泉、野菜の直売所、ブルワリーなどを併設しており、見どころ満載。特に温泉は、ツアー後に入ってみるのも良さそうだ。

取材メモ/地下にこんな空間があるなんて、ただただびっくり。その美しさに息を呑むばかりでした。1回に最大14人までの小さなツアーですので、予約はすぐ埋まってしまうそう。WEBで2カ月先の予約を受け付けているので、ぜひ早めの計画を!

※ツアー内容は季節や天候によって変動。半日コース(午前or午後)7560円、1日コース(ランチ付き)1万2960円、自転車コース(MTB)1万1800円〜、バンケット(フルコースのディナーと地底湖クルージング)2万5000円〜

道の駅うつのみやろまんちっく村

LLPチイキカチ計画事務局
ファーマーズ・フォレスト「えにしトラベル」
電話:028-689-8782

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

取材・文/石井 良(Hi-bit)
撮影/江西伸之

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