犬養裕美子のお墨付き! ワイン食堂「スウィートウォーター」

2017/09/12

犬養裕美子のお墨付き! ワイン食堂「スウィートウォーター」

“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくても居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第34回は小石川<スウィートウォーター>。

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

料理とワイン、それぞれが魅力的な「中島さん家」

春日駅から歩くこと10分。大通りから一本裏道に入ると、とたんに通行人も途絶えて、初めて訪れる時は心もとない気持ちになる。やがて「スウィートウォーター」のあかりが見えて少しホッとする。

“甘い水”に吸い寄せられるのは、近所に住むおいしいもの好きのご夫婦。年代は30代から70代までと幅広い
周囲は小さな印刷所が多く、真向いには小学校がある。その中にイタリア的食堂が自然に溶け込んでいる

店の前にたどり着くとなんだか懐かしい空気。民家の1階部分をキッチン、カウンター8席、テーブル8席が、仕切りなしで一つの空間に収まっている。これがなかなかよくできているのだ。

キッチンは中島啓介シェフ、カウンター席・テーブル席はソムリエールである明子さんの持ち場。

カウンター席は明子さんとおしゃべりしながら、奥のシェフの料理を待つ特等席

たった二人で16人のお客をもてなすのだが、二人は完全分業制。中島シェフは黙々と料理を作り、できあがれば明子さんに皿を渡す。明子さんは料理を運んで説明すると同時に、それに合うワインを提案して、お客が同意をすればグラスに注ぐ。「ワインのサービスで忙しい時は、僕が持って行っちゃいますね」と中島シェフ。つまりキッチンとダイニングが一体化した「中島さん家」なのだ。

自然なサービスで飲んべえの心をつかむ明子さん。「年齢に関係なくお酒好き、ワイン好きな方が長年の常連さんには多いんです」。そのため幅広いワイン情報にアンテナを張り常に新しいワインを仕入れるようにしている

日本の素材をたくみに組み合わせたパスタを目当てに!

オープンしたのは2010年10月。今年で7年目だ。この店がワイン好き、食いしん坊をじっくり呼び寄せてきたのは、やはり中島シェフの料理の腕と、明子さんのワインセレクトのセンスだろう。

中島シェフは「アクアパッツァ」を始めイタリア料理店とワインバーで修業。ワインと合わせる料理を得意とする

イタリア料理店でキャリアを積み、ワインバーも経験したシェフは一人前ずつきっちりと丁寧に仕上げる。前菜はカルパッチョ、サラダ、リエット、タルタルなどの、定番料理が用意されている。

黒板メニューにはワインのリストだけでなく、季節の素材を使った本日のおすすめも書いてある
サクラ肉のタルタル1200円。蕎麦(そば)の実、ケーパー、玉葱(たまねぎ)、パセリと桜肉をいっしょに細かく刻んだタルタル。酸味がさわやか

パスタは10種類ほど。その中に必ず2種類の手打ちパスタを入れるという。岐阜のカルチョフィとイカラグーのスパゲッティ、鮎(アユ)と加賀太キュウリのリゾットなど、和の素材を組み合わせることでセンスを発揮する。

マイワシとナス、ミョウガのオレキエッテ1450円
ミョウガはスライスとピューレの2種類を使うことで、より味わいもなめらかに仕上げる。オレキエッテはパプリカを練り込んだ自家製。どこにもない組み合わせが魅力

不動の人気を誇るのは、アリオオーリオペペロンチーノ(980円)、ペンネアラビアータ(980円)。「海苔(のり)とユズコショウのクリームソースのスパゲッティーニ(1400円)も人気がありますね。お好みでお作りもできるのですが、私の母親が岐阜で作っている西洋野菜を使った野菜のパスタが人気です」。

北海道産子牛のサルティンボッカ2300円。薄くたたいた十勝産の仔牛(こうし)にセージと生ハムをのせて焼いた料理。表面に一緒にのせたのは、山菜のミズの実とジャガイモ(付け合せなので変更になる場合あり)

そして明子さんが選ぶワインは、イタリア、フランス、日本のもの。「3800円からありますが、中心は5000円前後ですね。リストもありますが、お好みを聞いていくつか提案させていただきます」と明子さん。
最近は食後のデザート替わりに、甘いワインをおすすめすることも多いという。「やっぱり飲むことが好きなお客様が多いですから」。

今、明子さんがおすすめする3本。左から、甘口の食後ワイン。エッツィオのパッシート、グラス800円。白「ブルゴーニュ アリゴテ」ボトル6300円、赤「ランゲ・ネッビオーロ」はやわらかい味わい。5900円

ところで店名の「スウィートウォーター」とは? と尋ねると、「大人にとっての“甘い水”。つまりお酒のことです」。まさに“甘い水”で〆(シメ)る大人の食事。和みます!

じっくりと腰をすえて7年。これからもこの場所で、ご近所レストランとして頑張って欲しい
Yahoo!ロコSweet Water
住所
文京区小石川1-27-4

地図を見る

アクセス
春日(東京都)駅[A5]から徒歩約7分
後楽園駅[8]から徒歩約8分
白山(東京都)駅[A1]から徒歩約10分
電話
03-3811-2200
営業時間
17:30~24:00(L.O.) [土・日・祝] 17:30~21:30(L.O.)
定休日
第2火曜・第4火曜・水曜
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

この記事を書いたライター情報

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

東京を中心に地方や海外の食文化、レストラン事情を最前線で取材。ファッション誌から専門誌まで数多くの雑誌で連載を持ち、その店の良さ、時代性をわかりやすく解説。特に新しい店の評価に対する読者の信頼は厚い。食に関わる講演・審査員など多数。農林水産省顕彰制度・料理マスターズ認定委員。

犬養 裕美子 が最近書いた記事

RECOMMEND

SPECIAL

SERIES