ベジ系女子が教える最旬野菜をおいしく楽しむ3つのお作法

特集

8/31は「野菜の日」。おいしく楽しくベジチャージ!

2017/08/31

ベジ系女子が教える最旬野菜をおいしく楽しむ3つのお作法

8月31日は“野菜の日”!ということで、野菜ジャーナリストの篠原久仁子さんと、精進料理研究家の麻生怜菜さんをお招き。おいしくて体の健康維持に欠かせない野菜の魅力について、買い方、食べ方など、もっと野菜を満喫するためのトレンドを語っていただいた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

篠原久仁子

篠原久仁子

野菜ジャーナリスト/野菜ソムリエプロ

麻生怜菜

麻生怜菜

精進料理研究家/フードアナリスト

野菜を知れば自然と食生活の質が上がる

ニンジン、トマト、ホウレンソウなどなど、色とりどりで栄養たっぷりの野菜は、毎日の食生活になくてはならない大切な食材。そんな日常生活を彩る野菜たちを、もっともっと好きになるためのお作法が知りたい! という人も多いはず。そこで、全国の畑で野菜の情報を追いかける篠原さんと、精進料理を通じ食文化の主役として野菜のおいしさを探求する麻生さんという、それぞれのフィールドで真摯に野菜に向き合うお2人に、野菜話で盛り上がっていただいた。

【ベジ女子が注目する野菜のお作法】
1.四季の変化と彩りを楽しむ
2.マルシェや道の駅で新しい野菜に出会う
3.無理せず野菜を好きになる


\対談場所はこちら/
「Mr.FARMER 駒沢オリンピック公園」

駒沢公園の西側の入り口にある「Mr.FARMER」

駒沢公園の木々に囲まれた「Mr.FARMER」(ミスターファーマー)は、野菜への探究心から“畑の伝道師”と呼ばれる、渡邉明氏が手がけたレストラン・カフェ。氏が厳選した野菜の魅力を引き出したサラダやサンドイッチ、スムージーやコールドプレスジュースなどが人気となっている。

お作法その1
四季の変化と彩りを楽しむ

篠原久仁子さん
篠原久仁子さん
「ここ『Mr.FARMER』は、農家の方に教えてもらったお店。地元世田谷のブランド地場野菜“せたがやそだち”を積極的に取り入れるなど、地域の野菜を買い支えるという、しっかりとした哲学を持っている野菜のレストラン・カフェなんです。せっかくなので、食べながらお話しましょう」
麻生怜菜さん
麻生怜菜さん
「賛成です!」

\篠原さんのチョイス/
「KOMAZAWAガーデンパワーサラダ」(税別1890円)

ロメインレタスや季節の野菜のほか、フルーツやチキンがウッドプレートにたっぷり盛り込まれた一品
篠原さん
篠原さん
「南北に長く、四季がある日本列島は、1年を通じて多彩な野菜に恵まれた土地柄です」
麻生さん
麻生さん
「野菜の甘みが増すと、『もう秋なんだなぁ』とか、野菜の旬を通じて季節の移り変わりを感じられるのは贅沢なことですよね」
料理を前に野菜マニアたちの目が輝く
篠原さん
篠原さん
「さまざまな色彩の野菜・果物は健康的なだけでなく、ビジュアルも最高。ここ数年、野菜ブームと言われ続けていますが、その理由は、『美しいものをみんなに見せたい』という、SNSの力も大きいはず」
麻生さん
麻生さん
「新鮮な野菜はカラフルで写真に撮りたくなるし、SNSでも映えますしね」
彩り、栄養価、そして味わいも抜群のMr.FARMERの野菜メニュー。スムージー(左:ドクタービューティー/右:グリーンクレンズ、各税別750円)ももちろん美味
篠原さん
篠原さん
「私は野菜の生産現場が好きなので、月の半分は畑に出かけています。ここで使われているレンコンは、私の生まれ故郷で、レンコン生産量日本一の茨城県で『れんこん三兄弟』と呼ばれる、宮本さんが育てたもの。実際に蓮田で収穫のお手伝いをさせてもらったことがあるのですが、つま先立ちでムーンウォークのように歩かないと深い土に足が埋まって動けなくなっちゃうんです」
土の中で大きく育ったレンコンを収穫する篠原さん。右は「れんこん三兄弟」の長男こと宮本貴夫さん
麻生さん
麻生さん
「レンコンは柔らかな土の中で育つんですね。そういう経験は、現場に行かないと気がつかない貴重なものです」
篠原さんのペンダントはレンコンの輪切りがモチーフ
篠原さん
篠原さん
「麻生さんのご専門の精進料理は、野菜を大切に扱う日本の食文化の柱。どういうきっかけで興味を持たれたんですか?」
爽やかな和装で登場した麻生さん
麻生さん
麻生さん
「旦那さんの実家がお寺だったんです。行事で食べる『ご供養(ごくよう)』づくりのお手伝いした時、野菜の煮物や和え物のおいしさに感動! しかもヘルシーなのでダイエットフードになると気づいた。つくってくださる婦人会の方々はご高齢の方も多く、調理法や味を引き継がなければと思いました。それに、私のように、精進料理を知らずに育った人も多いはずなので、現代的な栄養バランスやトレンドと融合させ、家庭で簡単においしくつくれる『ゆる精進料理』の教室を開いたんです」
旦那さんのご実家では「寺嫁」として伝統文化を支える麻生さん
篠原さん
篠原さん
「日常の食生活に無理なく精進料理を取り入れるコツは?」
麻生さん
麻生さん
「野菜はビタミンや食物繊維は多い食材。脂質もごま油など植物性の油脂を使えば大丈夫です。でも意識しないとタンパク質だけが不足しがちになります。特に『メインディッシュ=肉や魚』と考える方には、肉魚だけをカットした食事にするとタンパク質不足に。ですから、肉や魚を大豆食品(豆腐など)に置き換えて、献立を組み立てるといいです。大豆製品を使いこなすことが、家庭で精進料理を成功させる鍵になります」
篠原さん
篠原さん
「水切りした豆腐はチーズのような味わいでトマトにも合うし、ステーキのように焼いて、塩とブラックペッパーをかけるだけでも充分おいしい。大豆食品は一手間かけるだけで楽しみが何倍にも広がりますよね」

\麻生さんのチョイスはこれ/
「ごぼうと大豆ミートのヴィーガンチーズバーガー」(税別1390円)

大豆で肉の食感を再現した、大豆ミート製のパティを挟んだバーガー。リボン状のトッピングはゴボウの薄切りをフライにしたもの
麻生さん
麻生さん
「そうなんです。ですから、こういったオシャレなお店で大豆ミートのバーガーが気軽に食べられるのはすごくうれしいこと。これはチーズも豆乳でつくった植物性のソイチーズなんですね。スパイスがしっかり効いているので気に入りました!」
日常的に菜食で過ごす麻生さんも大満足のヴィーガンバーガー

おいしい野菜はどこで買う?

篠原さん
篠原さん
「野菜はどこで買うことが多いですか?」
麻生さん
麻生さん
「精進料理教室では『旬の野菜を見かけたらとりあえず買ってみて』とアドバイスしています。旬の野菜は栄養価も高く、値段も手ごろで家計にもやさしく、何より四季を食材で感じることができます。最近ではSNSで情報発信している生産者さんをフォローして、『今日はこれが採れたよ!』というポストを見て、気に入ったらすかさずお取り寄せしたり。スーパーには出回らないような珍しい野菜を扱う農家さんも増えたなと感じています」
精進料理に特化した「あそれい精進料理教室」。家庭で役に立つ現代的な精進料理を少人数で学ぶことができる
篠原さん
篠原さん
「私は取材先で入手することが多いです。東京では三軒茶屋にある『三茶ファーム』のような、生産者さんから直接野菜を買いつけて、我々生活者が買いやすい分量で販売する直販型の八百屋さんも利用します。『進化系八百屋』と呼ばれることが多いのですが、市場で野菜を見定めて仕入れるというスタイルに加え、つくり手を目利きするという役割も担う八百屋さんが増えました」
三軒茶屋にある「三茶ファーム」は進化系直販型八百屋の人気店(撮影=篠原久仁子)
麻生さん
麻生さん
「日々新鮮な野菜を手に入れることは、教室の材料としても、自宅での料理用にも大切なこと。野菜は毎日必要なので、地元のスーパーも利用しつつ、高品質の野菜を日常的に買えそうな実店舗はいつも意識して探すようにしています」
「八百屋さんの役割も変化しています」(篠原さん)
篠原さん
篠原さん
「農家に取材に出かけるたびに、すてきな生産者さんや、知らなかった品種の野菜たちに出会えます。『その感動をたくさんの方に伝えたい!』という気持ちが私の原動力になっています」

お作法その2
マルシェや道の駅で新しい野菜に出会う

篠原さん
篠原さん
「最近、印象に残った野菜はありますか?」
麻生さん
麻生さん
「果物ですが、先日は西東京市の保谷まで『高尾』という珍しい品種のブドウ狩りに行きました。これから旬を迎えるので本当においしかったです。よい素材に出会うには産地に行くに限ります。旅行先での『道の駅』チェックも欠かせません!」
日本中の産地で生産者さんの思いを取材する篠原さん。その活動の場は野菜はもちろん、果物もカバーする(撮影=次屋妙子)
篠原さん
篠原さん
「道の駅は根強い人気です。採れたての地場野菜が手ごろな価格で手に入るだけでなく、農園を併設して収穫体験ができる施設も登場しています。旅行の目的地の1つとして立ち寄って地物野菜を購入すれば、帰ってから食べることで旅の余韻にひたれるのでオススメです」
麻生さん
麻生さん
「地元の方が普段口にしている食材を見るのが楽しいんです。先日訪ねた沖縄の道の駅では、青パパイヤやシマニンジンなど本州ではあまり見かけない野菜ばかりでワクワクしました。生産者さんの名前を拝見しながら買うのが楽し過ぎて、何時間でもいられます(笑)」
「旅先での道の駅巡りは欠かせません」(麻生さん)
篠原さん
篠原さん
「観光スポット化している市場といえば、京都の錦市場。地元の生活者の方は日々の食卓を整えるための買い物をし、旅行者は観光がてら地物野菜や漬物などのお土産探しを楽しむわけです」
麻生さん
麻生さん
「地域の暮らしと食がつながる様子を肌で感じられます。テーマパークのように、そこでの体験が旅の目的になるほどの魅力を持っていますよね」
「地域の方と旅行者の両方の役に立つ市場の訪問は旅のテーマになる」(麻生さん)
篠原さん
篠原さん
「直売所や道の駅の地場野菜を食卓に並べたら、子供が進んで野菜を食べるようになったという話しもよく聞きます。子供の味覚は敏感なので、本当においしいと思えれば、野菜嫌いが治ってしまうこともあるんですね」
麻生さん
麻生さん
「教室に通う方は、小さなお子さんに野菜をおいしく食べさせたいという願いを持っている方が多いです」
篠原さん
篠原さん
「情報発信するたびに大反響なのが、『プチぷよ』という品種のミニトマト。皮が薄くてプニュプニュしていて、見た目も味もサクランボのようなんです。トマトが苦手な子もお代わりを欲しがるのだそうです。でも、皮が薄いがゆえ、つぶれないように運ぶのが難しいため、主に生産地周辺でしか買えない貴重品なんです」
味も食感も異次元のミニトマト「プチぷよ」。写真は宮城県遠田郡の障害者支援施設「のぎく」で収穫されたもの
麻生さん
麻生さん
「ズッキーニなんかも私の小さいころは見かけませんでしたが、今は安定して買えるようになりました。その一方で、旬の時期が短い東京名産のウドのような野菜は育成に手間がかかるため、みんなが食べて応援しないと売り場から消えてしまいます」
ズッキーニはすっかり日本の食文化に溶け込んだ
篠原さん
篠原さん
「ズッキーニやグリーンアスパラは、まだ日本で食べられるようになって40年ほど。私は『アラフォー野菜』と呼んでいますが、新しい品目の登場は本当に楽しみです。同時に、伝統的な旬の野菜もしっかり買い支えたいもの。都内でも採れたて野菜が並ぶマルシェが開催されるので、お気に入りの野菜を見つけに出かけ、夜は家で調理して楽しめば休日のエンタメにもなります」

お作法その3
無理せず野菜を好きになる

社会人になるまでほとんど野菜は食べなかったという篠原さん
篠原さん
篠原さん
「実は私、大人になるまで野菜が苦手だったんです」
麻生さん
麻生さん
「カミングアウトしちゃいましたね(笑)」
篠原さん
篠原さん
「今はもちろん、全ての野菜果物が大好きですけど、昔はハンバーガーですらみじん切りのタマネギが気になって食べられないほど」
麻生さん
麻生さん
「筋金入りの野菜嫌いだ」
もちろん今では全ての野菜が大好物に
篠原さん
篠原さん
「ただ、幸いなことに、親が無理強いしなかったので、トラウマにならずにすみました。長野で暮らしていた祖母は生前、家族で食べる野菜をほとんど自分で育てていました。その環境の価値に気がついて自分も畑仕事を手伝うようになったら、野菜が子供のように愛おしく感じられて少しずつ好きになっていったんです」
麻生さん
麻生さん
「自分で手をかけて育てると、愛着がわきます」
篠原さん
篠原さん
「そうなんです。野菜を育てれば誰もが苦手を克服できるわけでありませんが、親しむきっかけにはなる。トラウマを乗り越えるのは簡単ではないので、無理はせずに興味を持つことが大切だと思います」
日本大学の非常勤講師としても活躍する麻生さん
麻生さん
麻生さん
「いま日本大学で『日本食文化史』や『おいしさの科学』の授業を担当しています。生物的な観点では『新規恐怖』と言って、人間は見たことのない食べものを拒絶する本能があるんです」
篠原さん
篠原さん
「小さい子供が野菜を食べないのは、ある意味自然なことなんですね」
麻生さん
麻生さん
「未知の食べものを、両親や家族がおいしそうに食べる姿を観察することで『これは食べていいのかも』と徐々に受け入れるのだそうです」
篠原さん
篠原さん
「なるほど! 野菜の苦手意識を克服するヒントはそこにありそう。きっと私たちが楽しそうに食べる姿も役に立ってる!(笑)」
「海外からの旅行者に日本の食文化の魅力を気づかされることもあります」(篠原さん)
麻生さん
麻生さん
「健康志向の高まりから、『野菜をたくさん食べたい』というブームはますます広がっていくと思います。ホテルのコンシェルジュから、海外のゲストが精進料理を体験したいというリクエストをいただくことも増えました。その流れの中で、家庭向けの気軽な精進料理への関心も広がればいいと思っているんです」
篠原さん
篠原さん
「海外の方が日本の伝統的な食文化の魅力を再発見してくれることも多いです。2020年の東京オリンピックに向けて、日本の野菜料理への注目度は世界中で高まるはず。日本に訪れる方々にその魅力を存分に伝えるためにも、私たち日本人がしっかり楽しまないともったいないです!」

初顔合わせとは思えないほど盛り上がった2人の野菜話には、野菜をもっともっとおいしく楽しむための知恵が凝縮されている。日に日に野菜の味が増し、気軽に高品質の野菜を「おいしく・楽しく・バランスよく」満喫できる秋は、野菜好きにとって幸せな季節と言えるのだ。

Mr.FARMER 駒沢オリンピック公園

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


取材メモ/健康美に満ちあふれていた野菜好きのお2人。週末は道の駅にでも地場野菜を買出しに行こうと思います。

取材・文=杉山元洋
写真=伊原正浩

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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