温泉全体がひとつの旅館!?おもてなし力あふれる黒川温泉/熊本

温泉全体がひとつの旅館!?おもてなし力あふれる黒川温泉/熊本

2017/10/20

火の国・熊本は、九州でも有数の温泉地。特に人気の阿蘇エリアにはいくつもの温泉郷が点在していますが、おそらく最も知名度が高いのが、この「黒川温泉」。温泉ファンならずとも、一度は訪れたい名湯として知られています。今回は、黒川で随一の歴史を誇る名宿「御客屋(おきゃくや)」を訪ねました!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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温泉好きも憧れる名宿を贅沢(ぜいたく)な「日帰り」で!

筑後(ちくご)川の支流である田の原(たのはる)川沿いに、情緒あふれる温泉宿がずらりとならびます。阿蘇郡南小国(みなみおぐに)町までは、熊本市内中心部から車で約2時間。市内からでも「行きたいな」と思った時に気軽に行ける距離です。
黒川温泉は、温泉街全体が「大きなひとつの旅館」という考えから、宿と店が一体化。街全体が郷愁を感じる里山のイメージで統一されています。初めてなのになぜか懐かしい……心をほぐしてくれる癒やしの温泉郷です。

\今回、紹介するのは……/

黒川温泉「御客屋」前で提灯をもってパシャリ
ライター福永
ライター福永
「福永あずさです。地元タウン誌の編集者をへて、2013年にフリーのライター&編集者に。フリーペーパーやムック本、市町村のパンフレットなどの編集・執筆・撮影をマルチに手がけます。好きなモノはネコ、ひとり旅、バー。私が黒川温泉の魅力をお伝えします!」

享保7年創業。黒川随一の歴史を誇る湯宿へ

その昔、細川のお殿様も体を癒やしたという由緒正しい旅館

阿蘇郡南小国町といえば、電車は走らず、高速道路のICや駅からはほど遠い、ちょっと「へんぴ」な場所。お世辞にもアクセスが良いとは言えない田舎の温泉街がこれほど注目を浴びるようになったのは、昭和61年(1986)頃からだそうです。

……と、ここまではガイドブックなどにもよく載っている話。今回は大女将の北里多喜子さんに、さらに興味深い話を聞くことができました。江戸時代、肥後国を統治していた細川のお殿様が、旅の疲れを癒やすためにつくった宿「御客屋(おきゃくや)」。この界隈(かいわい)では宮原、杖立、田の原、黒川の4軒に宿が建ちましたが、今もこの名で旅館を営んでいるのはココだけ。約300年もの間、旅人をもてなす癒やしの場所として存在しているんです。

純和風の造り。館内に飾られるお花は毎朝大女将が生けています
ライター福永
ライター福永
「黒川の旅の宿のあかりを守り続けて今年で295年目。はるか昔からこんこんと湧き出るお湯は、かつてはお殿様もつかったお湯というわけです」
看板娘のフロント・松村香奈子さん(左)と大女将の北里多喜子さん(右)
ライター福永
ライター福永
「今や全国的な知名度を誇る黒川温泉ですが、昔は静かな温泉地だったとお聞きしました」
大女将 北里さん
大女将 北里さん
「半農半宿の状態で、お客さんがいるほうが珍しい温泉地でしたね。注目を浴びるようになったのは、温泉ブームが起こった1980年代頃からでしょうか。当時はどの宿もお金がなく……皆でアイデアを出し合って、黒川温泉全体を『ひとつの旅館』に見立てるというコンセプトに行き着きました」
ライター福永
ライター福永
「なるほど。30軒ほどお宿がありますが、看板の雰囲気や玄関前に植えられた樹木など、トータルで統一感がありますよね!」
大女将 北里さん
大女将 北里さん
「そうですね。そして黒川の魅力といえば何といっても露天風呂! 絶景、川沿い、森林、にごり湯など、それぞれの宿で趣向を凝らした露天が楽しめます」
ライター福永
ライター福永
「たしかに! 気軽に各旅館の露天風呂めぐりができる『入湯手形』の導入も斬新でした。ところで、『御客屋』さんの温泉にはどんな特徴がありますか?」
大女将 北里さん
大女将 北里さん
「古書に記されている当時の風呂の様子を再現した歴史の湯や、川のせせらぎを聞きながらゆったりつかれる広い露天など、日帰りでご利用いただける浴場は3つあります。当館では、女将もスタッフも全員が『湯守り(ゆもり)』。温度計でこまめに温度を測る、湯量を調整するなど、昔ながらのやり方で源泉を守り続けているんですよ」

◆300年もの間湧き出る源泉に思いをはせる

到着してすぐ、黒川温泉限定のサイダー「むかしサイダー」でおもてなし
約300年前の「元湯」と言われる半露天の「古の湯」
「姫肌の湯」。大きく開いた窓から鳥のさえずりが聞こえることも
細川のお殿様もつかったという歴史から「代官の湯」と名付けられました
東京から移住した看板娘の松村さん。「温泉郷全体が大きな家族のようで心強い」と話します
ライター福永
ライター福永
「熊本地震の影響で、温泉の泉質が変わったと聞いてビックリ! “天然の化粧水”と言われる『メタケイ酸』の量が増えたんだそう。毎日温泉に入るスタッフの松村さん(色白美肌!)も、『以前より肌が突っ張らないんです。全身化粧水につかっている感覚』と、その違いを実感。改めて、温泉は大自然の恩恵を受けていると感じさせるエピソードです。
ここ数年はアジアだけでなくアメリカやヨーロッパなどからの観光客も増えているとか。田舎らしい素朴なおもてなしに満足されるそうです」

▼温泉DATA 歴史の宿 御客屋▼
・泉質:ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉
・効能:神経痛・筋肉痛・関節痛・疲労回復・冷え性
・風呂の種類:3種
・源泉風呂:有り
・露天風呂:有り
・入浴料(税込):大人600円、子供300円
・駐車場情報:なし

歴史の宿 御客屋

住所:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6546
電話:0967-44-0454
営業時間:【日帰り温泉】8:30~21:00(最終受付20:30まで)
定休日:不定休

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

ゴールデンな味わいの“湯あがりジャージー”をごくり!

◆ヨーグルト、カフェオレ……加工品もいろいろ

「御客屋」を後にし、車を走らせること約10分。こぢんまりとかわいらしい加工場にたどり着きました。「遠いところお疲れさまです」と優しい笑顔で出迎えてくれたのは、「髙村武志牧場」の髙村さん。この加工場では、髙村さんが愛情たっぷりに育てたジャージー牛の牛乳と、そのおいしいミルクを作った加工品を販売しています。

笑顔がすてきな髙村さん。自家生産の牧草にこだわってジャージー牛を育てています
山吹色のジャージー牛乳210円(200ml)、黒川温泉湯あがりカフェオレ220円(200ml)、山吹色のプレーンヨーグルトざらめ260円(100g)、山吹色のジャージーヨーグルト210円(150ml)

「しぼりたてのジャージー乳は薄淡い金色をしているので、“ゴールデンミルク”と呼ばれています」。おいしさの秘密は、低温殺菌とノンホモゲナイズド製法という徹底したこだわりによるもの。自然に近い状態で発酵させたヨーグルトは、日がたつにつれて味が変化するそうで、まさに“生きた”味わいを実感できます!

「牛乳成分が濃い~! 湯あがりに最高っ!」
工場見学もできる直売所
ライター福永
ライター福永
「商品のおいしさはもちろん、髙村さんの人柄にもホッコリ……。加工場はガラス張りになっていて、製造過程を見ることができるんです。『人の手と、愛情をたっぷりかけていることを伝えたい』という髙村さんならではの思いがあらわれています」

取材メモ/九州を旅するならぜひ訪れたい、憧れの温泉地。そんな黒川温泉の楽しみ方といえば、温泉宿の風情ある露天を、贅沢(ぜいたく)に3軒も“ハシゴ”できる「入湯手形」(1300円)! 宿の周辺には雰囲気の良い甘味処やお土産屋さんもいっぱいあります。思い切って浴衣をレンタルして、温泉街をそぞろ歩きするのも楽しいですよ。

取材・文=福永あずさ 撮影=今村ゆきこ

月刊タウン情報クマモト

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毎月27日発行

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