殿様や旅人も愛した熊本県最古の湯、日奈久温泉/熊本

特集

【第11回】全国のタウン誌が選んだ“日帰り温泉100選”

2017/12/29

殿様や旅人も愛した熊本県最古の湯、日奈久温泉/熊本

600余年と長い歴史を誇る日奈久(ひなぐ)温泉。古くは細川藩藩営の湯として栄え、殿様や武士が憩いの場として愛用し、旅人が癒やしを求め訪れた湯治の町。参勤交代の通り道でもあった町並みには、美しいなまこ壁や昔ながらの木造建築が建ち並び、温泉はもちろん、ふらりと散策するのにもおすすめ。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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107年の歴史を刻む、国登録有形文化財の老舗旅館「金波楼」

路地を歩いていると現れる、威風堂々とした佇(たたず)まいの木造3階建ての旅館「金波楼(きんぱろう)」。明治43年(1910)に建てられ、107年を迎えてもなお、当時のままの姿で旅人をあたたかく迎え入れています。
まるで明治時代にタイムスリップしたような気持ちで、「金波楼」の立ち寄り湯を温泉をこよなく愛するライター平野が楽しんできました!

旅館「金波楼」の前でパシャ!
ライター平野
ライター平野
「平野淑湖(よしこ)です。地元熊本のタウン誌編集者を経てライターに。2014年に温泉ソムリエ認定を受け、少しずつ勉強中。日々の入浴はカラスの行水ですが、温泉はしっかりじっくり楽しみたい派」

古き良き趣と木の心地よさに癒やされる

熊本県内でも最大級の木造3階建て建造物。明治から現代まで、時代の変遷を見守りつづけ、平成21年に国の有形文化財に登録

広い間口の玄関を抜け中へ入ると、正面には絵画のように美しく手入れされた庭園が目に留まります。季節の移ろいを感じるお庭、木造建築ならではの懐かしい雰囲気も相まって、温泉につかる前から心がほっこり和むのを実感。
「どうぞ、こちらの方が風が通って気持ちいいんですよ」と、優しい笑顔で手招いてくれたのは、女将の松本美佐緒さん。玄関からお庭へと抜ける風が心地よい特等席でお話を聞きます。

建物の木々の息づかいまで感じるような、心地よい空間。経年の風情が、心を落ち着かせます
廊下の床材に使われているのは桜の木。古いからこそきれいにしておきたいと、ピカピカに輝いていました。昔はぬかぞうきんで磨かれていたそうです
和モダンな雰囲気をただよわせる階段の手すり。建築当時の大工のアイデアや粋な演出を随所に感じます

「金波楼」を建築したのは、京都から呼んだ宮大工。西洋の文化が入り始めていた明治時代、モダンなデザインが施されるようになった技術が、館内のあちこちで見受けられます。
使われている木材は、初代が持っていた山から切ってきた桜や黒松などが使われ、まさに贅(ぜい)を尽くしたつくり。だからこそ、この日奈久の風土に合い、100年以上も丈夫なのだとか。

建物に囲まれた庭園には、ツツジやアジサイなど季節の花が咲き、人々の目を癒やしてくれます。旅館のシンボルである煙突は、熊本地震で損害を受けましたが、見事に復旧したというから嬉しいですね
ライター平野
ライター平野
「建築されて100年以上経っているとは思えない、しっかりとしたつくりと、手が行き届いたきれいな空間に驚きました。2016年の熊本地震では、床材など割れることなく無事だったことからも、その頑丈さがうかがえます。ノスタルジックで穏やかな雰囲気は、ただただ、ぼーっと1日過ごしていたい空間です」
「金波楼」を切り盛りする女将の松本美佐緒さん(左)と若女将の松本愛さん
女将 松本さん
女将 松本さん
「ここに嫁いで38年になりますが、旅館の中を毎日見ていても飽きることがないんです」
ライター平野
ライター平野
「階段の手すりの細工などの装飾、当時のままの床材やガラス窓など、建物の中を見ているだけでも十分楽しめますね」
女将 松本さん
女将 松本さん
「壊すのは簡単だけど、同じものは二度とつくれません。先代、先々代から丁寧に守られて来たものを、きちんと次の代へ引き継げるようにとがんばっています」

◆さっぱりとした美肌の湯が、老若男女に人気の湯

ヒノキと御影石を用いた大浴場。男湯からは、窓の外に広がる日本庭園が一望できます
男女とも、内湯とともに露天風呂を用意。青空を眺め、木々のざわめきを聴きながらのんびりとつかることができます。写真は女湯の露天風呂
昔から竹細工の技術が発展し、継承されてきた日奈久。脱衣籠には、日奈久の「桑原竹細工店」の先代・先々代が手がけた作品が使われています

館内の魅力を十分に満喫し、いざ、温泉へ! 泉質は「弱アルカリ性単純泉」。刺激が少ないため高齢者や子ども、デリケート肌の方にも向いていて、湯あたりもしにくい泉質です。肌の角質をとる美肌効果もあるというから、女性にうれしいポイントですね。

湯治の町として栄えた湯を目当てに、今でも1週間や1カ月と、湯治として利用している人も多いそう。また、田植えを終えた労を癒すため、「早苗饗(さなぶり・田植え終わりの休養日のこと)」として来る農家の人たちの姿も。湯上がりのさらりとした肌ざわりとさっぱり感は、何度でも足を運びたくなる名湯です。

ライター平野
ライター平野
源泉温度44.8℃、湯船の湯温も42℃と、日頃長湯しない私にはちょうど良い温度で、すっかり心も体もリフレッシュできました。気持ちのいい湯上がりの余韻を、美しい庭園を眺めながら、木造建築の心地よい雰囲気に身を置いて過ごすぜいたくなこと! たまっていた疲れもすーっと抜けていきました。また帰って来ます、日奈久へ!」

▼温泉DATA 金波楼▼
・泉質:弱アルカリ性単純泉
・効能:リウマチ性疾患、神経麻痺(まひ)、神経症、疲労回復
・風呂の種類:2種
・源泉風呂:有り
・露天風呂:有り 
・入浴料(税込):大人500円、子供200円 ※幼児は200円
・駐車場情報:有り、30台

金波楼

住所:熊本県八代市日奈久上西町336ー3
電話:0965ー38ー0611
営業時間:【日帰り温泉】15:30~21:00(土・日曜、祝日は12:00~)
定休日:不定休

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

お風呂上がりに欠かせないお供は地元の味で決まり!

◆地元名産・晩白柚を使ったさわやかなソフトクリーム

熊本県八代市の名産、晩白柚(ばんぺいゆ)のエキスを使った「晩白柚ソフトクリーム」(270円)
日奈久温泉街のほぼ中央に位置する「日奈久温泉センター ばんぺい湯」内で販売
湯上がりはもちろん、散策の途中に休憩がてら食べてみて

「晩白柚(ばんぺいゆ)」って、聞いたことありますか? 世界最大級の柑橘(かんきつ)果物といわれ、直径20cm前後の大きさで、重さは約1.8kg。熊本で生まれ育った私にとっては、小さい頃、その大きさを比べられるように晩白柚を持って記念撮影した写真が残っているほど、なじみのある果物です。

柑橘特有の苦みをほとんど感じず、ほどよい甘味のあるさっぱりとした味わい。収穫時期は12月ですが、「日奈久温泉センター ばんぺい湯」では、その味わいをソフトクリームとして1年中味わえます。晩白柚のさっぱりとした味わいと香りを、ぜひ湯上がりに楽しんでください。

ライター平野
ライター平野
「全国津々浦々探しても、おそらくこの地域にしかないのではないかと思われる、晩白柚のソフトクリーム。『日奈久温泉センター ばんぺい湯』には立ち寄り湯はもちろん、外に足湯もあるので、ぽかぽかに温まってから食べるのがおすすめです!」

取材メモ/熊本県最古といわれる日奈久温泉。温泉街は歩いて回れるほどこぢんまりとしているので、立寄り湯や足湯を楽しみながら、温泉街を散策してみてください。町並みや八代海までを見渡せる温泉神社へ行ってみたり、俳人・種田山頭火が旅した足跡をたどったり。地元の人とのあたたかな出合いにもふれて、心身ともに癒やされること間違いなしです!

取材・文=平野淑湖 撮影=今村ゆきこ

月刊タウン情報クマモト

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毎月27日発行

1979年創刊のタウン誌。熊本県民のみなさんに“タンクマ”の愛称で親しまれ続けている『タウン情報クマモト』。グルメ、温泉、観光、人、音楽、ファッション、アートなど、熊本の“旬”が満載です。360円


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Yahoo!ライフマガジン編集部

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