カレー大好キッチュ! 松尾貴史が激推しする東京カツカレー3皿

特集

今日はどうしてもカツカレーが食べたい!

2017/09/07

カレー大好キッチュ! 松尾貴史が激推しする東京カツカレー3皿

カツカレーは、お店でも自宅でも手軽に食べられる“国民食”。カレー屋はもとより洋食屋やとんかつ屋、ドライブインでも必ずメニューがある。でも、本当においしいカツカレーを出す店はどこなのか? 芸能界随一のカレー好きで、自身のカレー店『般゜若(パンニャ)』を持つ松尾貴史さんに話を聞いた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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教えてくれたのはこの人!
カレー愛が高じて下北沢で自身の店を営む松尾貴史さん

『般゜若』は下北沢駅と小田急線・東北沢駅の中間地点にある。下北沢駅から歩いて約10分強
松尾貴史

松尾貴史

タレント・俳優

本当においしいカツカレーは胃にもたれない。むしろ食べて元気になる!

男性が食べるガッツリ飯といえば、カツカレー。腹持ちいいんでしょう? でも、胃にもたれるんでしょう?と、注文を敬遠する女性も多いはず。でも本当にうまい店のカツカレーは、どうも胃もたれしないらしい……。自身のカレー店『般゜若』も開店9年目を迎えた松尾貴史さんに、おいしいカツカレーの店をナビゲートしてもらった。

\松尾貴史さんが愛するカツカレーはこれ!/

1.般゜若(パンニャ)(下北沢駅)
2.リッチなカレーの店 アサノ(町田駅)
3.上等カレー 渋谷本店(渋谷駅)

1.『般゜若(パンニャ)』(下北沢駅)

黒、赤、黄! お皿の上のコントラストが鮮やかな「マハーカツカレー」(1520円)

黒いカツと赤いルー、ターメリックで炊いた黄色いご飯は色味が華やか!

下北沢の住宅地にある座席数11のほっこりするカレー屋。松尾貴史さん自ら店内の内装を手がけ、自身の折り紙なども飾られ、居心地のいい空間になっている。女性客1人でも入りやすいのが特徴で、「マハーカツカレー」のほか「チキンカレー」や「キーマカレー」も人気だ。

平日14時過ぎで満席。この日は夏日だったが、お客さんが次々とやってくる
松尾さんが作られた左上の折り紙のヨーダが、店内を見守っているよう

ーー『般゜若』の「マハーカツカレー」は、赤、黒、黄と色とりどりで見た目にインパクトがあります。なぜ真っ黒なカツにしたのでしょうか?

松尾貴史さん
松尾貴史さん
「大阪・お初天神に豚料理の『涿屋(たくや)』さんという名店があります。こちらのとんかつの風味が良くて、よく通っていましてね。もともとシンボリックでインパクトのあるメニューを作りたいと思っていたので、『涿屋(たくや)』のご主人にダメ元で相談をしたところ、特別にイカスミの入ったパン粉を分けてくださることになったんです。『般゜若』は2012年に大阪・新福島にも2号店を出していますが、大阪店では『涿屋(たくや)』さんに敬意を表して、この黒いパン粉のカツカレーは出していないんです」
厨房から「マハーカツカレー」がまさに今、出る瞬間

ーー以前、下北沢店では1日5食限定でしたよね?

松尾貴史さん
松尾貴史さん
「そうなんです。当初は普通の衣のカツを出していたんですが、どうしても1日に出せる量に限度がありました。いろいろと試作する中で、なんとかいいものができた。それがたまたま黒いカツで実現できたんですよ。ようやく下北沢の店舗でも一日中、カツカレーをお出しできるようになりました」

ーーカツのこだわりを教えてください。

松尾貴史さん
松尾貴史さん
「ウチのカツは揚げる温度にすごく気を遣って、一枚一枚揚げています。そこまで気を遣うと店の回転は遅くなってしまいますし、待っていらっしゃるお客様をさらにお待たせしてしまうことになります。でも、おいしいものをお出しするために、どうしても必要なことだと思っています」

——調理のポイントなども教えていただけますか?

松尾貴史さん
松尾貴史さん
「油はブレンドで、主にサラダ油です。風味がいい反面、口に入れた感じが重たくなるラードの量は昔に比べてかなり減らしました」

\ここがポイント!/

カツの仕込み。肉を叩かず、大きさや分厚さによって筋切りしながら、切り込みの入れ方を変えている

——肉のこだわりを教えてください。

松尾貴史さん
松尾貴史さん
「僕が、あまり重たい感じのお肉が好きじゃないんですよ。それと、カツカレーは女性があまり食べるものではないので、女性にも気分よく食べていただきたくて、軽めの食感のお肉を使っています」
店内には松尾さんがインド人になりきっている写真も

——「マハーカツカレー」のルーは、『般゜若』のどのメニューのものを使っていますか?

松尾貴史さん
松尾貴史さん
「『チキンカレー』のルーをベースにしています。南インド風のカレーとよく言われますが、どこでもない感じのカレーに仕上げています。スパイスは南インドのほか、スリランカのものも使っています。主にタマネギ、バター、ダシ、ガラムマサラ、ブレンドスパイスが入っています」

——『般゜若』をオープンする際、どんなカレーを目指して作られたのですか?

松尾貴史さん
松尾貴史さん
「どの時間帯でも食べられて、腹持ちする。でも胃もたれしないカレーです。『般゜若』は、カツカレーだけ衣の部分がパン粉なので小麦粉が入りますが、その他のカレーの部分には小麦粉が入っていないので、胃もたれしにくいと思います。胃がもたれるのは、小麦粉や脂のせいだと思うので」
壁時計も「マハーカツカレー」。松尾さんの手作りだ

——どうしてそこまでこだわって、皆さんにおいしいカツカレーを食べてもらいたいのですか?

松尾貴史さん
松尾貴史さん
「なんででしょうね(笑)。カツカレーは和食ではありませんが、日本食だと思うんです。ごはんがあって、さらっとしたカレーを先にかけて、後でカツを乗せる。ほかにはあり得ない組み合わせですよね」

——言われてみれば、確かにそうかもしれません。

松尾貴史さん
松尾貴史さん
「日本食でこういうスパイシーなものはなかなかないですし。子供の頃に衝撃的だなと思った食のノスタルジーが、僕を駆り立てているのかもしれません」
お店のインテリアは松尾さんとスタッフさんが一緒に作り上げている

カツは、軟らかくて脂のくどくないさっぱりしたお肉。ヒレのような印象だ。黒い衣は、『般゜若』のスタッフさんが店で揉んで細かいクリスピー状にしているので、揚げた油をあまり吸っていない。衣でお腹がいっぱいにならず、女性でも気軽に食べられるのが嬉しい。

カレーのルーは、舌先にタマネギの甘みとバターの味わいが最初に来て、後から辛さや苦味などのスパイスの味が感じられる。黒いカツにさらっとしたカレーを絡めても、カツの衣が油分や水分をあまり吸わないように工夫が施されているためか、カツ本来の旨味が最後まで楽しめる。

お客さんを会計で待たせないよう、食券制にしている

そのほかでは「チキンカレー」(970円)、「羊とひよこ豆のキーマカレー」(1180円)、ハーフ&ハーフの「チキンとキーマのカレー」(1380円)などが人気。

月に15回ほど店に顔を出し、取材中「味も人もグレードを下げてしまうと本末転倒になってしまうから」と、何度も語った松尾さん。カレー愛にあふれた彼が薦める次の2軒も楽しみだ。

2.リッチなカレーの店 アサノ(町田)

胃もたれどころか、内蔵から疲労が回復する「リッチなカツカレー」(1450円)

続いて松尾さんがオススメする店は『リッチなカレーの店 アサノ』。JR町田駅ターミナル口にほど近い町田仲見世飲食街にある。カウンター7席の小さな店ということもあり、常に行列が絶えない。

JR町田駅ターミナル口から徒歩3分。店主直筆の張り紙には、時間をたっぷりかけて作られる料理の工程が書かれている

「料理は化学」「カレーは漢方薬」「本当に疲れた時にウチのカツカレーを食べると、次の日の身体が全然違うよ!」と、取材冒頭から名言を連発するご主人の浅野さん。

カツカレーに合うスパイスの調合に余念がなく、『アサノ』のカレーは胃腸の働きを良くして肝臓の解毒作用を高め、内蔵から身体を復活させると説く。

人懐っこく、カレーを底なしの愛情で語ってくださる、店主の浅野信三さん。ご主人の人柄に惚れるファンも多い
松尾貴史さん
松尾貴史さん
「浅野さんは、僕がお店に伺うと『お好みのスパイスある?』って聞いてくださるんです。その時の気分で『カルダモンを多めにしてくれませんか?』って言うと『いいねえ!』ってご主人に笑顔で褒められて。カレーを生き物として扱っていらして、カレーにものすごく愛情とプライドを持っていらっしゃるなぁと思います」

\ここがポイント!/

ルー作りは、まとめて1週間分仕込む。1日しっかりと冷蔵庫で寝かせたルーがこれだ

浅野さんは1週間分のルーを一気に仕込む。その際に使われるタマネギは100個。キツネ色になるまで10時間、丹念にバターで炒める。この段階で味に差が出てしまうため、気が抜けない。

よく炒めたタマネギに加えられるのが、トビウオの煮干しと昆布から取る和風のダシに豚骨、阿波尾鶏の鶏ガラ。これがルーのベースだ。「日本人は離乳食から味噌汁を飲んでいるから、和ダシは欠かせない」と浅野さんは言う。さらにC&BとS&Bのカレールーを入れ、さらにニンニクとショウガを効かせ、スパイスで味を立体的にしていくのだ。

肉は神奈川の高座豚。ジャガイモとニンジンは別茹でで、素材の甘みが感じられる

ブイヨンを取るのに10時間かけ、さらにマレーシア人から伝授されたココナツミルクを入れて、コクとまろやかさを出す。煮込みとルーの寝かしに4~5日かけてようやく完成する。

カツに使われるお肉は、東京と神奈川だけでほとんどが消費されるという地元の銘柄豚「高座豚」。神奈川県で高座豚を生育している養豚家は現在8軒ほどで、とても貴重な豚だ。

\いよいよ登場!「リッチなカツカレー」(1450円)/

「おいしい料理は見た目が大事」と浅野さん。赤、黄、緑、茶色と、彩りは欧風カレーの印象だ

こちらがお客さんの7~8割がオーダーする『リッチなカツカレー』。とろみがなくサラサラしたルーを一口入れると、爽やかな甘辛さが口に広がる。入口は優しい甘みで、舌の奥でスパイスの辛さを感じた。この独特の甘みと爽やかさは、リンゴ、バナナ、フルーツチャツネ、マンゴーチャツネ、ヨーグルト、トマトが入っているからだ。

絶妙なタイミングで揚げられたキツネ色のカツ

カツの高座豚は上品な脂の甘みが感じられ、食べた当日も翌日も、全く胃もたれしなかった。浅野さん曰く「食べた後のウチの食器をお湯の下で流すと、それだけでほとんど油が落ちていく」とのこと。それくらい脂が軽いのだ。カツカレーは男子のガッツリ飯というイメージがあったが、女性ひとりが並んで食べているのも納得できる。

松尾貴史さん
松尾貴史さん
「さらっとしたルーでカツカレーを食べられるのがうれしいですね。『アサノ』さんは本当に老舗なのでこんなことを言うとおこがましいですが、さらっとしたカレーという意味では『般゜若』と共通しているところはあると思います。浅野さんのようなカレー愛に満ちた先輩が店を続けてくださっているのは、ものすごく心強いです」

店主の浅野さんに人気の理由を尋ねた。

店主 浅野さん
店主 浅野さん
「ウチはカレーとカツにものすごくこだわっているから人気が出たんじゃない? カツは、高座豚のキレイなピンク色がまだ気持ち残っているかなと思うぐらいで、揚げ油から上げる。予熱で火が通るからね。油が少しでもぶくぶくしたら、肉汁が出て旨味が逃げてしまう」

料理は秒単位の勝負だということを、浅野さんは解説つきで見せてくれた。

そのほか「リッチなポークカレー」(950円)も人気。豚肉はカツカレーと同じ高座豚。トロットロに煮込んであるので、サクッサクのカツとの食感の対比が楽しめる。「リッチなチキンカレー」(950円)、「リッチなエッグカレー」(1000円)もあり、根強いファンが多いそう。

リッチなカレーの店 アサノ

住所:東京都町田市原町田4-5-19 町田仲見世商店街
アクセス:町田駅[東口]から徒歩約1分、町田駅[南口1]から徒歩約5分
電話:042-729-7258
営業時間:11:30~14:30、17:00~20:00 ※売切れ次第終了
定休日:毎週水曜日、第2・3木曜(祝祭日と重なった場合は翌日に振替)

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

3.上等カレー 渋谷本店(渋谷)

カツも一口で食べられる洋食の王道「トンカツカレー」(880円)

JR渋谷駅南口から徒歩4分。ヒカリエを背にして国道246を挟んで斜向いの明治通り沿いにある

3軒目は『上等カレー』渋谷本店。『福島上等カレー』として関西で有名な老舗カレーチェーン店だ。関東で8店舗を展開し、うち渋谷本店を含めた4店舗が直営店だ。

『上等カレー』は昼と夜の間に休憩時間がない。取材時は平日の15時台だったが、6人がけのテーブル席を除く15名のカウンター席はほぼ満席だった。客層は20代~40代の男女が中心で、男性8割、女性2割。照明をやや暗くしたシックな内観なので、女性1人でも入りやすい。

砂田店長が常にルーの状態を見ている。1日で寸胴5つ分のルーがなくなるという。ターミナル駅近くに店舗があるため、1日の来客数は250人にものぼる。

\ここがポイント!/

ラーメン屋さんの湯切りのように、一度油切りした揚げたてのカツに包丁が入る

『上等カレー』のとんかつは、スプーンで一口で食べられるのが売りだ。お店の中に、フォークなどは置いていない。注文が入ってから揚げたてのカツを油切りし、縦に5つカット。さらに90度回転させて包丁を入れ10個の切れ目を入れたら、楕円形に成形された白米の上に乗せる。

揚げ油はラードを使わず、全てサラダ油。パン粉は、とんかつ用の厳選生パン粉を渋谷本店で独自に取り寄せており、軽い口当たりになるように気をつけている。白米は、全社一括で特約農家に作ってもらっているブレンド米だ。

\トンカツカレー(880円)到着!/

「ルーに膜が張るといけないので、撮影時間はルーをかけてから1分ね」とカメラマンにも気を遣ってくださる砂田店長

お客さんの7割が注文する「トンカツカレー」が登場。やや茶色がかったテリのある黄土色のルーが特徴的だ。『般゜若』や『アサノ』と決定的に違うのは、とんかつの上からしっかりとルーがかかっているところ。

とんかつが一口大になっているため、カツの上からスプーンを入れ、カツ、白米、ルーの3層一体となったハーモニーが口の中で楽しめる。ロースカツは、脂身がしつこくなくさっぱりとした味わいだ。

松尾貴史さん
松尾貴史さん
「僕はカツカレーを、本当に大阪らしい食べ物だと思っているんです。『上等カレー』さんは、“カツカレーらしいカツカレー”を出されます。最初は甘く感じて、辛味が徐々に舌に乗っかっていく。洋食系の王道カレーですね」
来客数が多いため、ルーが入っている寸胴の火は一日中入れたまま

ルー自体はサラッとしているが、ほんの少し粘度がある。口に入れると、まずフルーティーな甘さが感じられ、少したってから、口の奥でやわらかい辛味や複雑な苦味がやってくる。果実のような甘みについて砂田店長に尋ねると、「ルーのメインにタマネギを使い、バナナ、リンゴ、チャツネを入れているから」とのこと。

チェーン店だが作り置きをしない。注文が入ってから、砂田勝久店長がルーに改めて火を通す

『上等カレー』のルーは1種類。チェーン店だが、各店舗でルーの味が違うと言われることが多い。実際に他店と味が違う印象があったので聞いてみると、「元のルーは本社一括で同じものを使っています。ただ“カレーは煮込み料理”なので、ただ温めればいいというものでもありません。仕込みの段階で店舗によって差が出ると思います」とのこと。

翌日使うルーは、前日の夜から仕込み始める。牛脂の入った粘度の高いルーのため、160度を超えて、ルーそのものが加水分解するまで煮込む。5時間ぐらいかけて火を入れ、翌朝、開店前にさらに2~3時間火を入れて調整をしている。まさに“カレーは一日にしてならず”なのだ。

「ライス大盛」「ルゥ大盛」なども自販機でオーダー。また白い服を着ていっても、エプロンがあるので安心だ

「トンカツカレー」のほか、「エビフライカレー」(980円)、「温玉カレー」(730円)、「チーズカレー」(730円)、「カレー」(630円)などもラインナップ。

トッピングは「チーズ」(100円)、「温玉」(100円)、「トンカツ」(250円)、「エビフライ」(150円)などが追加料金で可能。人気の「らっきょ」(50円)も別売りだ。

「ルゥ大盛」(150円)、「ライス大盛」(100円)、「ルゥ・ライス大盛」(200円)もあり、ガッツリ食べたい人はそちらもぜひ。

\お手製ピクルスはマストで/

付け合わせは福神漬とキャベツのピクルス。いずれもなんと食べ放題! 関東では渋谷本店だけのサービスだ

最後に、砂田店長お手製のキャベツのピクルスを推したい。これが、かなりおいしいのだ。塩もみした後、酢漬けにする。漬物とピクルスのいいとこ取りをしたような爽やかなビネガー味だ。

人によってはルーを甘く感じる人もいるかもしれない。その時は、この付け合わせのピクルスを一緒に食べることをオススメする。飽きずに完食できること間違いなしだ。

付け合わせのピクルスや漬物について、今回は『上等カレー』だけを取り上げたが、実は『般゜若』も『アサノ』も美味。『般゜若』は以前、ザワークラウトにしていたキャベツを浅漬けに変更しており、『アサノ』は先代が得意としたキュウリのぬか漬けを引き継いでいるので、お店に行かれたらそこも注目!

取材・文=横山由希路(リベルタ)/撮影=筒井 “Nick” 智子

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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