岐阜・揖斐の自然の中で美しいガラス作品を生み出す

2017/09/11

岐阜・揖斐の自然の中で美しいガラス作品を生み出す

山の中にあるアトリエ&ギャラリー「ガラス物語hanagataya」と、宙吹ガラス工房「風遊」。オーナーである西垣まさ代さんを中心に、とんぼ玉を制作する長女の亜弥さん、泡ガラスを制作する次女の明香さん、販売を手がける夫の晴夫さん。家族でガラス工芸に携わっています。

中広

中広

ギャラリー経営者を魅了した気泡を生かした独特なデザイン

揖斐郡揖斐川町坂内坂本。揖斐駅から車で50分ほど北に進んだ地域にあるのが、アトリエ&ギャラリー「ガラス物語hanagataya」です。併設する宙吹ガラス工房「風遊」の周囲には、泡ガラスの材料となる廃ビンや草花が並び、かすかな川の音が耳に届きます。

オーナーの西垣まさ代さんは、もともと岐阜市柳ケ瀬でガラス作品を展示、販売するギャラリーを営んでいました。大阪府豊中市の「ギャラリーようらく」で開かれていた「稲嶺盛吉展」で泡ガラスに出合います。泡ガラスとは、ガラスの表面や中の気泡をデザインとして利用した特徴的なガラスです。廃ビンのラベルやごみが変化してできる、以前は失敗とされていた泡を利用しようと考えたのが、泡ガラスの第一人者である稲嶺盛吉さん。稲嶺さんの作品を見たまさ代さんは、大きな衝撃を受けました。

「風遊」の泡ガラス。グラスはふちが広く、手に取りやすい形につくられています
オーナーの西垣まさ代さん
オーナーの西垣まさ代さん
「透明なガラスや色ガラスはたくさん見ていましたが、泡ガラスは素朴ながらも他ではまねできない独特なデザインで、『なんだこれは』と夢中になりました」

泡を芸術として取り入れた稲嶺さんの作品は、他の作品とは泡の密度が大きく違います。まさ代さんはすぐに稲嶺さんが制作をしている沖縄へ向かい、個展への出品を依頼します。個展実現後、稲嶺さんと家族ぐるみの付き合いが始まりました。

とんぼ玉の制作風景。ガスバーナーでガラスを熱し、形を整えてからカルライトという砂に入れて冷まします。空気に触れた状態にしておくと、急激に冷えて割れることも。とんぼ玉づくりは体験も可能です

鮮やかに光を通す泡ガラス。額に汗して窯と向き合う

1998年、当時19歳だった次女の明香さんは、通っていた保育士の専門学校をやめて沖縄で稲嶺さんの内弟子になります。掃除洗濯をこなしながら約1年間指導を受け、弟子の中で唯一稲嶺さんと同じ泡出し法の使用を許されました。科学物質には頼らず職人の手で泡出しをするのが稲嶺式です。「風遊」の作品に光を当ててみると、科学物質を利用した泡ガラスより鮮やかに光を通すのが分かります。

工房の名の「風遊」は「かじ」と呼びます。沖縄で「風」を表す言葉。気持ちのいい川の風に遊びながら制作を続けていけるように、と稲嶺さんが名付けました
明香さん
明香さん
「泡出しが一番大変な作業。気温や窯の状態で、1時間で泡が出る時もあれば、泡を出せず1日が過ぎてしまう日もあります。だからこそ、やりがいがある作業です」

明香さんが沖縄で学んでいるさなか、まさ代さんが工房を建設しました。建設地として選んだのは人が多くにぎやかな観光地ではなく、じっくりと作品に向き合える旧坂内村です。

工房にはガラスを溶かす本窯と、皿やグラスなど、器の形に仕上げる成形窯、作品を冷ます徐冷窯の3つの窯を設置。現在、火を入れた工房で窯と向き合うのは明香さんの仕事です。

明香さん
明香さん
「ガラスは急に温度が下がると割れてしまうので、冷却には微妙な温度調節が必要。以前は他の窯と同じく火をくべて温度を調整していたのですが、あまりにも手がかかりすぎるので、冷却窯だけ電気窯に変えたんです」
本窯は火を止めると、中のるつぼが冷えて壊れてしまいます。るつぼは溶けたガラスの器となる重要な部分です。毎年レンガを崩して、るつぼを入れ替え、窯をつくり直しています

本窯は1400度、成形窯は1200度、徐冷窯でも500度の温度を保ち、工房の壁や天井は70度近くまで上がります。一度火を入れたら温度調整やガラスの成形にかかりきりで、「熱くて化粧なんかしていられない」と明香さん。泡ガラス制作は熱さとの戦いでもあります。

まさ代さんは沖縄から稲嶺さんを招き、「風遊」で泡ガラスの制作法を教わりました。現在でも明香さんが沖縄を訪ねるなど、稲嶺さんとの交流が続いています。

千の花という意味の名前を持つ「ミルフィオリ」。とんぼ玉のパーツで、熱して花を開かせます

名脇役となる作品づくり。自然を感じる制作体験

まさ代さんの長女である亜弥さんも、ガラスづくりに携わっています。亜弥さんが制作しているのはとんぼ玉。柳ケ瀬のギャラリーを手伝いながら、本やビデオを利用し独学で制作法を学びました。「あの時の集中力はすごかった」と、まさ代さんは誇らしげに話します。両親の影響を受けてガラス工芸の世界に飛び込み、一人前に成長した亜弥さんと明香さん。二人の娘が自分と同じ道に進み、活躍する姿がまさ代さんにとって一番の喜びです。

亜弥さんがつくったとんぼ玉は、まさ代さんが組み立ててアクセサリーに仕上げます。完成したアクセサリーは『フルール・ヴェール』というオリジナルブランドとして、まさ代さんの夫である晴夫さんが全国のデパートなどで展示会を開催します。6月にはジェイアール名古屋タカシマヤでも個展を行いました。

体験が終わると、「風遊」の器を使ってもてなします

泡ガラスもとんぼ玉も、名脇役を追求しています。芸術に偏った作品ではなく、普段使いを意識。器に入れた食材や、アクセサリーを身につけた人が引き立つ使いやすい作品が目標です。オーダーメードの注文も多く、使用に適したデザインを考え抜いて制作しています。

泡ガラスのグラスやとんぼ玉は、制作体験ができます。難しい作業行程も、すべて体験できるのが特徴です。

明香さん
明香さん
「失敗も多いので、一からつくり直すなど面倒もありますが、だからこそお客さんも制作を楽しんでくれています」
まさ代さん
まさ代さん
「自然を楽しみながらhanagatayaへたどり着いて、汗を流して制作すれば、どんな出来栄えでも思い出が残ります」

西垣さん一家は楽しみながら、人々を笑顔にする作品を生み出しています。

Yahoo!ロコガラス物語hanagataya
住所
岐阜県揖斐郡揖斐川町坂内坂本1118-1

地図を見る

電話
0585-53-2210
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

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