「プレッシャーをなくす」ラーメンズ片桐仁が語るアートの入り口

特集

芸術の秋、アートを楽しみたい!

2017/09/18

「プレッシャーをなくす」ラーメンズ片桐仁が語るアートの入り口

芸術の秋! お笑い、俳優、ラジオとマルチに活動しながらも、自ら粘土アーティストとしても作品を制作している片桐仁さん。そんな片桐さんに、自身のアートの入口や、アートの楽しみ方を伺った。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

まずはプレッシャーをなくすことから!今年の秋はアートに浸る

今回お話をお伺いしたのは、片桐仁さん
片桐 仁

片桐 仁

お笑い芸人、俳優、粘土アーティスト 

「作品の時代背景を知らないと」「絵は上手に描かないと」

アートと聞くと、美術館などに見に行くのも絵などを描いてみるのも身構えてしまう。そういう思い込みがアートに触れる機会損失につながっていて、一番もったいないことだと片桐さんは話す。

アートを楽しむには、とにかく『プレッシャー』をなくしていくことが大事なのだ。

「3331 Arts Chiyoda」に場所をお借りして、片桐さんに話を聞いた

閉校になった中学校を利用したアート施設「3331 Arts Chiyoda」

片桐さんのアートの入口と楽しみ方!

1. 美大を目指すきっかけはゴッホ展
2. アートってなんだ?と袋小路に迷い込んだ多摩美時代
3. 相方(小林賢太郎)に言われて始めた粘土アート
4. ワークショップや作品展から導いたのはアートの入口は「プレッシャー」を感じないこと
5. 片桐仁がすすめるアートの楽しみ方

1. 美大を目指すきっかけは子どもの頃に訪れたゴッホ展

「勉強に興味がなくて、美術だけが好きな子どもでした」

— 多摩美術大学を卒業されていると思いますが、美大を目指したのは何かきっかけがあったのですか?

片桐仁
片桐仁
「小学生の頃から児童アトリエ教室で油絵をならっていたり、美術が好きだったんです。
ただ、その頃はプロを目指すとかではなく、写生会とかが好きな普通の絵が得意な子でした。
中1で、国立西洋美術館で行われていた『ゴッホ展』で衝撃を受けたのは覚えています」

— ゴッホに影響をうけたのですか?

片桐仁
片桐仁
「ゴッホの絵もすごかったのですが、かなりお客さんが多い展示だったので、『こんなにたくさんの人が絵を見るんだ』と驚いたんです。高校は普通科に通っていましたが、勉強に興味がもてず美術だけが好きだったので、美大に行きたいなと思うようになりました」
片桐仁
片桐仁
「高2の夏期講習で、はじめて美術の受験予備校に行きました。それまで『絵は気持ちを描いていい』と思っていたので、採点されて順位をつけられることに面食らいましたね。そういう世界なのかって。プロで食べていくことの現実を突きつけられたんです。遅めなのですが、高3から予備校で美大受験の勉強を始めました。質感の違いを描き分けるとか、構図の見栄えの良さを学ぶとか、それは面白かったですね」

2. アートってなんだ?と袋小路に迷い込んだ多摩美術大学時代

「卒業してからは、木版画は一切やってないですね(笑)」

— そして美大に合格するのですね。なぜ版画科を選んだのですか?

片桐仁
片桐仁
「油絵との併願で、現役で受かったのが版画科だったんです。多摩美術大学に版画科が出来たばかりで1期生でした。色々な学部を落ちた人が集まっていました(笑)
最初の授業が、木口木版(※)の版木を研ぐって授業だったのですが、『おもしろくないなー』って思いましたね」

※木口木版・・・表面が硬質な木口板を版木として使用し、ビュラン(外国の彫刻刀)を用いて彫る木版画

片桐仁
片桐仁
「絵を描けば褒められたところから、予備校でテクニックを習って、大学に入ったらテクニックは忘れて自分にしか描けない絵を描いてと……。当時はアートと言えばファインアートだったので、『アートやばいな。雲を掴むような世界だな』と袋小路に迷い込んでいました。でも、相方(ラーメンズ:小林賢太郎)に出会えたことと、美術だけを生きがいにする同級生と集えたのは大きかったと思います」

3. 相方(小林賢太郎)に言われて始めた粘土アート

粘土でつくったカエルの携帯カバー「カエルちゃん」

— 袋小路に迷い込んだことからラーメンズを始めたのですか?

片桐仁
片桐仁
「当時は、バブルが弾けた頃でしたが、タレント的なアーティストがもてはやされていた時代だったんです。アートを売るために、自分の知名度を上げようってよこしまな考えがありました(笑)」

— 粘土はどのタイミングで始めたんですか?

片桐仁
片桐仁
「漫画雑誌の連載をラーメンズで好きなことをやっていいことになって、相方に『粘土やりなよ』って言われたのがきっかけですね」
ラーメンズで下駄をつくるという企画で制作した「俺下駄」(粘土道)
片桐仁
片桐仁
「街中に彫刻やオブジェって死ぬほどあるんですけど、完全に無視されてると思うんです。じゃあ無視されないもの作ろうと思って、お笑い雑誌の企画で、粘土ではないんですが『俺下駄』を作ったんです。すると「何だこれ?」とか「使いにくい」って反応が来ました。これはいいなと、文具とか携帯に粘土を盛って使いにくくなるようなものと作るようになりました。ただ、カエルつくりたかっただけなんてのもあったんですけど……」

— 使いにくくするんですね……

片桐仁
片桐仁
「何かの道具に粘土を盛って、実際に使うことにボケがあるんです。『何これ?使いにくいじゃん』みないた。
18年作品作り続けて、携帯のカバーやスマホケースは10個以上作ってますね。しつこくやり続けるのは大切だと思います

4. ワークショップや作品展から導いたのはアートの入口は「プレッシャー」を感じないこと

「Gallery KIDO Press」にて作品鑑賞(3331 Arts Chiyoda 内)

— アートはどうしてもハードルを感じてしまいます。

片桐仁
片桐仁
粘土をなにかに盛るのはおすすめですよ。立体物ってゼロから作るのはデッサン力も必要だし、量感を考えたりと難しいんですが、『何かに盛る』だったら土台はあるので、手軽です。子ども向けにワークショップも実施していますが、土台にカラフルな粘土を盛ることができない子はいないですから。直感でできるんです。
他にも、絵を描く場合はノートの端とかレシートの裏とかに描くのが良いと思います。『どうせレシートだし』ってプレッシャーを感じないことが大切ですね。絵を描くぞってスケッチブックを準備するとプレッシャーを感じてしまうんです」
片桐仁
片桐仁
「アートを見る場合も同じです。『作品の背景を知らないと……』とかプレッシャーを感じず、それぞれに楽しめばいいんです。美術館で、キュレーターがなぜその作品を集めたかを話したりするイベントなどがあれば、想いも伝わるし言葉で聞けるのでもっと敷居も下がる気がしています」

5.片桐仁がすすめるアートの楽しみ方

— 片桐さんのおすすめの展示などはありますか?

「3331 Arts Chiyoda」で開催される「ポコラート展」準備中のギャラリースペースで作品を眺める
片桐仁
片桐仁
「先程準備中の『ポコラート展』の作品も少し拝見しましたが、こういう直感で楽しめる作品は鑑賞し易いと思います。なんでこの色にしたのかな?とか、なんで漢字が描かれてるのかな?と自由に楽しめます」
『ポコラート全国公募展vol.7』2017年9月16日(土)〜10月9日(月・祝) 3331 Arts Chiyoda
片桐仁
片桐仁
「あとは、先日息子と行ったのですが、国立西洋美術館の『アルチンボルド展』は良かったです。野菜で作られた顔とかだまし絵のような絵なのですが、中学生以下無料でお子さんもたくさんいました。息子も楽しんでましたね」
『アンチボルド展』2017年6月20日(火)〜9月24日(日)国立西洋美術館
Yahoo!ロコ国立西洋美術館
住所
東京都台東区上野公園7-7

地図を見る

アクセス
上野駅[JR公園口]から徒歩約4分
上野駅[7]から徒歩約7分
上野駅[9]から徒歩約7分
電話
03-5777-8600
営業時間
通常=9:30~17:30毎週金曜日=9:30~20:00(入館は閉館30分前まで)※開館日時等は変更になる可能性があります。最新の情報は美術館ホームページをご確認ください。
定休日
月曜日(祝日の場合その翌日)、年末年始(12/28~1/1)
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

片桐仁
片桐仁
あと、僕が好きなのは3年に一度の『アーティスト・ファイル』ですね。日本のアートシーン定点観測する展示で、2015年に行った時は日本と韓国がテーマで、2国のアーティストを比較すると、考え方が違ったりして……。すこし難しいかもしれないですが。

僕の展示、『ギリ展』にも来てほしいです。馬鹿にするぐらいの気持ちで。楽しませる自信はあります(笑)」
片桐仁
片桐仁
「展示を実施出来ない時期があって、今回18年分の作り溜めた作品をあらためて展示して、色々な反応があり個人的にも意義はあるなと感じてます。これまで雑誌の企画などで、怒られもせず褒められもせずだったので、反応が直にみれるのはうれしいですね」

— ありがとうございます。プレッシャーを感じずに楽しんでいいと言われると、たしかに一歩踏み出せますね。

片桐仁
片桐仁
「修学旅行とかで、美術館に来ている学生がつまらなさそうにしているのを見かけたりもしますが、もったいないんですよね。アートってもっと楽しいものなのに」
区民の方がスポーツを楽しむこともある「3331 Arts Chiyoda」にある体育館
『不条理アート粘土作品展「ギリ展」』 2017/ 11/17(金)〜 12/3(日)イオンモール幕張新都心
Yahoo!ロコイオンモール幕張新都心
住所
千葉県千葉市美浜区豊砂1-1

地図を見る

アクセス
海浜幕張駅[南口]から徒歩約16分
新習志野駅[南口]から徒歩約33分
京成幕張本郷駅[南口]から徒歩約35分
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材メモ/芸人や俳優のイメージが強かった片桐さん。話をお伺いするとアートの造詣も深く、もっとアートを楽しいで欲しいという熱い気持ちを持っている方でした。「粘土に何か盛るのは、少し前に流行った携帯にラインストーンを貼るみたいなものです」という話に、アートの予想外のとっつきやすさを感じた。どうしても構えてしまっていたが、「プレッシャー」を感じずにアートを楽しみたいと思う。

取材・文=那木丈裕 撮影=大滝洋之 撮影協力=3331 Arts Chiyoda

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

RECOMMEND

SPECIAL

SERIES