石のような堅さの伝統菓子「カタパン」は極上美味なまちの宝!

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2018/01/13

石のような堅さの伝統菓子「カタパン」は極上美味なまちの宝!

「カタパン」という食べ物を知っていますか?「パン」と付けばフワフワのパンをイメージしますよね。でも漢字にすると「堅パン」。パンなのに堅い!? しかも老舗のお菓子屋さんで買えるそう。頭の中は「?」だらけ。「カタパン」の正体を求めて食べることが大好きなライターがお店に潜入しました!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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120年以上愛され続ける、びっくり菓子

「え? 石!?」目を閉じて、口にポンっと入れられると、誰もがそう思っちゃう!? ウソみたいにカッチカチの伝統菓子「カタパン」なるものが香川県善通寺市にあると聞きつけ、さっそく足を運んでみました。目指すは善通寺のすぐそばにある「熊岡菓子店」明治29年創業、老舗のお菓子屋さんです。

昔の金毘羅街道の面影を残すまち並みのなかにある熊岡菓子店

\私が行ってきました/

村山ゆかり

村山ゆかり

フリーライター

「カタパン」。すなわち堅いパン、ですよね……? そもそも、それはパンなの? さまざまな疑問が浮かんでは消え、浮かんでは消えている間にお店に到着!「レトロ」と決してひとことでくくりたくないほど、その歴史の長さを感じる建物。大正2年に建てられた家屋で、現在も店舗兼住宅として住んでいらっしゃるそうです。

店の手前に駐車場も完備されているので、ドライブ途中にも訪れやすい

四国霊場第75番札所である善通寺の西院仁王門から徒歩すぐの場所。地元民の生活道路であり、参拝に訪れた観光客が散策する参道でもある道沿いに「熊岡菓子店」はあります。「カタパン」と書かれた茶色い暖簾(のれん)が目印!

昭和29年に「熊岡菓子店」に嫁いできた民子さん

この日、訪れたのは朝の8時半。「おはようございま~す」と声をかけると、奥から出てきてくださったのが3代目店主の奥さま、熊岡民子さん。3代目の妻としてお店を支えていらっしゃいます。「うちは焼くの以外は全部手作業ですよ」と、形成、乾燥、仕上げをすべて手作業で行っているそう。

年季の入った木製のショーケースも愛おしい

そして、ついに念願の「カタパン」とご対面。お~! このコロコロ感は、フォルムも大きさもまさに小石のよう。趣ある木製のショーケースに貼られた札に目をやると、「石パン」(!!!!!!)の表記が。堅いを通り越して、石になっちゃってる! 

軍食用に開発されたカタパン

民子さんが聞かせてくれる古きよき昭和時代の話も楽しみの一つ

創業は明治29年(1896年)11月3日。初代である熊岡和市さん(民子さんのご主人のおじいさん)は、この店を開く前、大阪の菓子店「松前堂」で大番頭を務めていたそう。そのときに、軍用食として腹持ちがよく、かつ日持ちのするものという軍の要望をふまえて作ったのが「カタパン」でした。「フランスの焼き菓子にヒントをもらったそうですよ」と民子さん。

その後、故郷であるこの町に戻り「熊岡菓子店」を創業。「カタパン」は善通寺に置かれた大日本帝国の陸軍の一つ、第11師団へも軍御用達として納められていたそうです。

名物の石パン。週末や連休になると午前中に売り切れてしまうことも!

そんな歴史を聞かせてもらう間も、客足は途絶えない。石パンは100g180円の量り売りスタイル。「石パン200(g)ください」と注文が入ると「はいよ~」と民子さん。カラコロと音をたてながらスコップですくい、手のひらサイズの紙袋へ。

一度でぴったりの重さ! 長年の経験があるからこそ成せる技

そのまま秤(はかり)にかけて量ると、ほぼぴったり。あとは1個、2個と微調整。

昔ながらのスタイルで、家族で守り続けるまちの宝

程よいサイズの小丸パン。これも同じように堅い!

「熊岡菓子店」のカタパンは全5種類。石パンのほか、生地そのものが味わえるプレーンな角パン(1枚30円)、生姜(しょうが)砂糖を絡めて仕上げた小丸パン(1枚20円)、中丸パン(1枚50円)、大丸パン(1枚300円)もあります。

石パン、角パン、丸パン、すべて異なる生地を使用していて、どれも一つ一つ手作業で仕上げる。どれもカッチカチのカタパンであることは変わりないが、どれもそれぞれの深い味わいがあることを知っていてほしい。

店頭につるされた紙袋も絵になります
数が多くなると登場するそろばん。見事な玉さばきも美しい

今では珍しい紙袋に直接入れるスタイルも、「複雑な計算になったときは使うよ」と見せてくれたそろばんでの計算も、どれも大切にしたい日本の風景だと思うのです。

笑顔がすてきな親子3代でお店を切り盛り

親子3代、家族みんなで営むお店。左から民子さん、5代目の奥さん衣津美さん、4代目の奥さん暢子さん。創業121年、長い歴史を経てまちの宝となった「カタパン」は味も形も作り方も、もちろんその堅さも初代の和市さんが考案したときのままから変わっていません。このご時世、変わらず続けることがどれだけ難しいことか、想像していただけるかと思います。

石パンの堅さは完全に石です(笑)! ちなみに、1カ月くらいは持つとのこと

「石パン」の表面は生姜砂糖でコーティングされ、つるっとしています。生姜砂糖は、生姜のスパイシーさと砂糖の甘さがマッチする日本人が大好きな組み合わせ。一つ口に入れた瞬間、「ん!? これ、かめるかな? 歯、大丈夫かな?」と不安になるほどの石パン。だけど、一つ食べ終わると、また次に手が伸びる。まさに、クセになるとはこのことです。

石パンを食べたあとに丸パンを食べると、柔らかく感じますが、こちらもかなり堅いです(笑)

地元の小学生も「1枚ちょうだ~い!」と買いにくるそうです。この町ではよく見かける日常の風景。だけど、この町を出るとなかなか見ることのできない光景だったと思わされます。こんなすてきなお菓子屋さんが近所にある子どもたちは幸せだな、と思いました。古きよき時代にタイムスリップさせてくれる、貴重な時間を過ごすことができました。

Yahoo!ロコ熊岡菓子店
住所
善通寺市善通寺町3-4-11

地図を見る

アクセス
善通寺駅[出口]から徒歩約19分
金蔵寺駅[出口]から徒歩約40分
電話
0877-62-2644
定休日
火曜日・第3水曜日 (祝日の場合は営業)
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材メモ/とにかく堅いんです! でも、ほんと「クセになる」って表現が正しいかも。「あー!堅い!」って言いながら食べ終わっても、自然に、次の手が袋に伸びてます(笑)。

文・取材=村山ゆかり 撮影=西澤博子

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