プロサウナー・ヨモギダ氏に聞く“サウナ道”の極め方

プロサウナー・ヨモギダ氏に聞く“サウナ道”の極め方

2017/09/23

いま、働く大人の間でじわじわと広がりを見せているサウナブーム。そんなサウナを愛して、愛して、愛しまくった結果「プロサウナー」になってしまったヨモギダ氏に、サウナのお作法とその魅力を説いていただいた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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サラリーマンやOLがハマる、サウナの魅力

昨今、健康志向のサラリーマンやOLが急増中だ。バランスの良い食事、快適な睡眠、適度な運動などなど、生活にちょっとしたエッセンスを加えるだけで「疲れが取れやすくなった」といった経験のある人は少なくないだろう。

そんな健康志向の働く大人たちの間で、今着々と信者を増やしているのがサウナである。今回は「サウナ道」の求道者であり、「プロサウナー」として日々活動を続けるヨモギダ氏に、サウナの素晴らしさをご教示いただく。聞き手は、最近徹夜ができなくなり、スローガンに「原稿(げんこう)より健康(けんこう)」を掲げる、ライター田代(28歳、腰痛持ち)が担当する。

サウナ師匠・ヨモギダ氏に会いに行く

今回ヨモギダ氏のインタビュー会場となったのが、東京・池袋にあるタイムズ スパ・レスタ。こちらは駐車場でお馴染みのタイムズ24株式会社が運営しており、220台もの大型駐車場に併設したラグジュアリーなスパ施設だ。

時刻は午前9時半。特別に許可をいただき、営業時間前に取材をさせていただくことに。すでにヨモギダ氏は館内のサウナにて取材班を待っているそうで、早速サウナへと直行し中を覗いてみると……。

脱いで待ってた。

 
ヨモギダ

ヨモギダ

プロサウナー


ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「あ、おはようございます、ヨモギダです。先に到着したので、早速入らせてもらっています」
ライター田代
ライター田代
「お、おはようございます! 朝っぱらからなかなかの汗の量ですね」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「これでも朝一で一度サウナに入ってきたので、本日2軒目のサウナなんですけどね」
ライター田代
ライター田代
「ファッ!? 2回目? まだ9時半ですよ、師匠」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「朝と夜、1日最低2回のサウナは基本です。あ、そろそろ「アウフグース」が始まりますよ」
ライター田代
ライター田代
「ちょっと待ってください。サウナ初心者の私にはいきなりの情報過多で何が何やら……その、あうふぐーす、とは何なのですか?」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「サウナの本場フィンランドで生まれた「ロウリュ」が原型の、スタッフによるデモンストレーションが追加されたサウナプログラムです。レスタさんでは、実際にこのデモンストレーションを目の前で実演してくださるんですよ。とにかくご覧いただければ分かるかと」
まず熱したサウナストーンに水をかけることで蒸気を発生させる。石に水をかけると「ジュワ〜〜」という音が。ライター田代は着衣だが、暑くて死にそうである
ライター田代
ライター田代
「ヤバいです、ヨモギダさん。とてつもなく暑い」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「これがサウナの取材ですよ。がんばってください」
ライター田代
ライター田代
「は、はいッ〜!」
スタッフの方がタオルをブンブン回し、蒸気を循環させる。そして最後にバスタオルを広げて……
ブオンッ!
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「こうして扇いでいただくことで、発生した蒸気と熱気が全身を包んで体感温度も急上昇。あっという間に汗が噴き出してくるんです。気持ちいいですね〜」
ライター田代
ライター田代
「そ、そうッスね……(暑さのあまり無心になりながらシャッターだけを切り続ける田代)」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「そろそろ水風呂行きましょうか!」
ライター田代
ライター田代
「何卒、何卒お願い致します」
しっかりと汗を流した後、水風呂に着水するヨモギダ氏。大変気持ち良さそうである
ライター田代
ライター田代
「着衣でなければ自分もダイブしたいくらいなのですが、サウナの後の水風呂はいかがですか」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「いや〜、最高ですね。やっぱりサウナの主役は水風呂なんですよ。これはサウナ愛好家の間でよくする話なのですが、水風呂の素晴らしさに気付いた時、みんなサウナにハマるんです」
そして水風呂を堪能した後、すかさず外気浴に向かったヨモギダ氏
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「サウナ→水風呂→休憩(外気浴)はサウナのスタンダードコースです。自分は水風呂からスタートすることもありますが、サウナで弛緩した血管を水風呂で収縮させ、休憩をする。これで体内を血液がどんどん循環してくれます」
ライター田代
ライター田代
「なるほど〜! めちゃくちゃ気持ち良さそうッス!」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「今日はまだ午前中ですから、最低限の発汗になるようにサウナに入りすぎず、水風呂メインにしました。こうすることで疲れず、頭が非常にスッキリとした状態で1日をスタートできます。僕が毎朝サウナに入るのは、1番調子のいいフルスロットルの状態で仕事に入れるからです」
ライター田代
ライター田代
「ふむふむ……朝と夜では入り方が違うんですか?」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「そうですね。夜は「もう水風呂に入りたいな」と思うまで、もっとサウナにじっくり入ります。適度な疲労感になるので、これで夜はぐっすりと休めるんですよ」
ライター田代
ライター田代
「1日2回のサウナ生活を始めて、どれくらいになるんですか?」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「もう5年ほどでしょうか。ここ2年は365日、絶対に欠かさず1日2回入っていますね。もう歯を磨かないと気持ちが悪いのと同じくらい、サウナに入らないと落ち着かないんです……あ、では僕は一度着替えてくるので話の続きは館内で行いましょう」

ヨモギダ氏の体が体現する、驚異のサウナの実力

館内着に着替えていただき、インタビューを再スタート
ライター田代
ライター田代
「早速お話を伺っていきたいのですが、その前にさっきからすごく気になっていることがあって……ヨモギダさん、めちゃくちゃ肌キレイですよね。おいくつですか?」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「42ですね」
ライター田代
ライター田代
「42!? 20代の私よりツヤッツヤなのですが」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「サウナ効果かどうかは分かりませんが、よくキレイですねとは言われます。でも、特にサウナに1日2回入るようになって一番変わったのは基礎体温ですね。僕、普段平熱が37度くらいあるんですよ」
ライター田代
ライター田代
「それもう微熱じゃないですか!」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「風邪引いてるわけじゃないんですよ(笑)。あと、ここ2〜3年は冬場にコートを着なくなりました。昔は会社に行く時、スーツの下にベストを着ていたのですが、最近ではそれも無し。ワイシャツとジャケットだけですね」
ライター田代
ライター田代
「いやいや、明らかに風邪引くでしょう?」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「たまに風邪も引きますけど、サウナに2時間くらい入ってるとすぐ治っちゃうことがほとんどなんです……必ずしもサウナの効果かどうかは分かりませんが」

サウナに入っていた時だけ、気持ちが楽になれた

「サウナ道」の原点を語るヨモギダ氏
ライター田代
ライター田代
「サウナしゅごい……。ところで、そもそもヨモギダさんがサウナにハマったきっかけは何だったんですか?」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「15年くらい前でしょうか。僕、以前精神的に落ち込んでいた時期があって、東京から地元の北海道・旭川に帰っていたんです。当時は不眠症に悩まされたり、通院もしていたんですが、実家の近くにあったアートホテル旭川というホテルの『スパ アルパ』という施設にフラッと立ち寄ったことがあって。すると、ビックリすることにサウナの中にいる時だけ、鬱々とした気分がスウッと消えていったんですよ。サウナから出て、休憩所にいたりするとまた気分が下がってきてしまうんですが、僕の中ではそれが大きな発見でした」
ライター田代
ライター田代
「ということは、フィジカル面よりメンタル面に効いたことが、サウナにハマるきっかけだった、と」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「もちろんこれはすべての人に当てはまる効果ではないのですが、僕の場合はそうだったんです。家からも近かったので毎日通っていると、どんどんサウナに入っている時間も短くなって、結局そのサウナに入り始めて3ヶ月ほどで鬱が治ってしまったんですよ」
 
ヨモギダ氏が通っていたという「スパ アルパ」の遠赤外線サウナ(画像上)。約30度の低温バス(画像下)も備えている
ライター田代
ライター田代
「そういう意味では、『スパ アルパ』はヨモギダさんの原点と言える場所ですね」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「そうですね。僕はよく『サウナに行きたいけれど、どこのサウナに入りに行けばいいか』と相談された時、第一に『家から近い場所』とアドバイスさせていただくんです。サウナは習慣にすることで生活の一部になりますから、やはり通いやすさは大切です。汗を流した体で電車とか乗りたくないですしね。それに、サウナにハマった人がオススメするサウナって、やっぱりその人の家の近所であることがすごく多いんです。設備がそんなに充実してなくても、通い続けると愛着が湧きますから。『どんなに高級なフレンチを食べても、地元の定食屋がいちばんおいしい』っていう感覚といっしょです」

食わず嫌いせずに自分好みのサウナを探し歩くべし

ライター田代
ライター田代
「それからヨモギダさんの『サウナ道』が始まるわけですね。ということは、もうサウナー歴とすると10年以上になるとのことですが、その間、日本のサウナ事情ってどのように変わったのでしょうか?」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「前回の東京オリンピックの時にサウナメーカーが日本に進出してきたのが、日本のサウナ文化の始まりと言われています。それから銭湯、健康ランド、スーパー銭湯、おしゃれスパが10年おきにブームになっているようです。国内にはこうしたさまざまな形態のサウナ施設が点在していますが、昔ながらのサウナは確実に減っています。特に銭湯は一週間に一軒のペースで閉店していると聞きますからね」
ライター田代
ライター田代
「そんなに新しくないけど、絶対行っておいたほうがいい」というサウナってありますか?」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「もちろんありますよ。例えば東京・神田にある「セントラルホテル神田」のサウナは、サウナ好きの間でも有名です。ここは僕的に、数あるサウナの中でもダントツに“良い”と思うサウナなんです」
味のあるレトロな外観の「セントラルホテル神田」(写真左)。ここのサウナがヨモギダ氏一押し(写真右)
ライター田代
ライター田代
「“良い”サウナとは、条件があるんですか?」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「それは人によって感覚が違うんですが、ここは部屋がコンパクトで、ストーブが対流式、湿度は低めで、テレビがないから集中できる。僕の中ではかなり理想形に近いサウナなんです。それに、ユーザーの声をすごく聞いてくれるサウナでして、利用者アンケートの内容をどんどん吸収してアップデートしてくれるんですよ。僕も『アメニティを充実させてほしい』『水風呂の温度を下げてほしい』などリクエストしたら、本当に反映してくれて。サウナーにとっては、とてもありがたい存在のサウナです」
ライター田代
ライター田代
「相当惚れ込んでますねェ!」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「そうですね。ここのサウナが好きすぎて、僕は宿泊で利用することも多いです。いろんなサウナに通い始めると、自分が好きなサウナも見つかるはずなので、『古そう』『設備が悪そう』と決めつけずに、いろいろな場所に足を運んでみるのがオススメですね」

サウナから誕生する新たなコミュニティ

ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「そしてもう一箇所、僕が最近しょっちゅう足を運んでいるのが東京・錦糸町の『ニューウィング』です」
こちらは男性専用のサウナ。高温サウナ(画像右)ではベンチ下に配置したボナサームヒーターで室内を加熱。ヒーター内の香花石に水をかけることで室温80〜90℃、湿度15〜20%を保つことができる
ライター田代
ライター田代
「こちらはどういう理由でよく足を運ばれるのでしょうか?」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「設備的にも大変素晴らしいのですが、僕はここで今定期的に『サウナサミット』というイベントを施設と共同で企画し開催しているんです。これはサウナに入った後、みんなでサウナについて語り合うというイベントなんですが、昨年秋に開催した第1回時には13人ほどの参加者数だったのが、前回は40人近くにまで増えました」
ライター田代
ライター田代
「おおお、すごい! 急増している! こういうサウナー向けのイベントってこれまではあまり開催されていなかったのでしょうか」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「実はそうなんです。サウナや銭湯って、基本的に個々人で楽しむものじゃないですか。だから、誰かと良さをシェアしたりすることがほとんどなかったんです。それに、これまでサウナ情報というと、施設側が一方的に発信する形のものばかりで、利用者同士が意見交換をする機会もほとんどなかった。『サウナサミット』はそういう意味では業界の中でも革新的なイベントで、思った以上にすごく盛り上がるんです」
ライター田代
ライター田代
「顕在化していなかったサウナ好きがワラワラと集まってくるわけですもんね……盛況しそうです」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「それに、サウナって一番の趣味にはなかなかならないじゃないですか。だから、そのサウナ好きのコミュニティの間で、”音楽好きのサウナー””キャンプ好きのサウナー”といった具合に、さらに小さなコミュニティができるんです。それってすごくいいことで、サウナを介してお客さん同士が繋がる、すばらしい機会になってると思います」

サウナは最高! でもサウナに期待しすぎるな

 
ライター田代
ライター田代
「ヨモギダさんのお話をお聞きして、自分も早速サウナに入ってみたくなりました。ただでさえ不健康だから、期待できますね〜」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「確かに僕の実体験をお話しすると『サウナはすごい!』と思っていただけるのですが、でも僕はあえて『サウナに期待しすぎるな』と言いたいです」
ライター田代
ライター田代
「期待しすぎるな……それはどういうことでしょう?」
ヨモギダ氏
ヨモギダ氏
「もちろん効果には個人差がありますし、『サウナに入ると◯◯が治る』とは一概には言えません。でもすごくサウナに対して高い期待値を抱いていると、あまり効果がなかった時に落胆しちゃうじゃないですか。だから、サウナは『あ〜気持ちいいなぁ』くらいに思うのが一番よくて、習慣化するコツだと思いますよ。いざサウナ施設に入ったら、サウナや水風呂が適温でなかったり、混んでいたり、マナーの悪い人がいたりと期待通りではない事がよくあるんです。しかしここは『ここはダメなサウナだ』と決めつけず、『今日はたまたまそうだったんだな』と許してあげて欲しいんです。不機嫌になってしまったら、心身共にサウナの気持ち良さを享受できたとは言えません。寛大な心がサウナの世界を拡げると思うのです」

ヨモギダ氏から教わった「サウナ道」、いかがだっただろうか。ちなみに今回会場となった「タイムズ スパ・レスタ」は、ヨモギダ氏曰く「キレイでラグジュアリーな施設なので、サウナ初心者も必ず満足できますよ」とのこと。サウナ生活に興味を持ったなら、ぜひ一度足を運んでみてほしい。

取材・文・撮影=田代くるみ

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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