東京の人気モンブランに込められたパティシエのこだわりとは?

特集

秋スイーツでほっこり幸せ。

2017/09/26

東京の人気モンブランに込められたパティシエのこだわりとは?

秋を代表するスイーツと言えば、やっぱりモンブラン!! 今やショーケースの中には欠かせない存在となったが、元祖の誕生秘話は思わぬところに。そして今日の東京には、個性派モンブランがたくさん! そこには、パティシエたちのこだわりが詰まっていました。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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東京は個性派モンブランの宝庫!

そこにはパティシエたちの並々ならぬこだわりが

左から「1904 ディズヌフソンキャトル」、「クリオロ 東京本店」、「東京 自由が丘 モンブラン」、「パティスリー レザネフォール」のモンブラン。みなさん、ユニークですね!

秋を代表するスイーツといえば、やっぱりモンブラン!! 今やショーケースの中には欠かせない存在となりました。今日の東京にも、個性豊かなモンブランがたくさん。そこには、パティシエたちの並々ならぬこだわりが込められています。

今回は、東京で人気のモンブランを4つ紹介。ほっこりたっぷり、召し上がれ。

1.東京 自由が丘 モンブラン

日本のモンブランを生んだ洋菓子店

代々受け継がれる、日本初の「モンブラン」(670円)。黄色い栗のクリームにちょこんとのったメレンゲがかわいらしい

1933年(昭和8)年に創業した「東京 自由が丘 モンブラン」。今や日本中のケーキ屋で定番となったモンブランだが、始まりはここから。登山好きだった初代社長の迫田千万億(ちまお)さんが、スイスでヨーロッパ最高峰と言われる山・モンブランに感銘を受けたことをきっかけにケーキの「モンブラン」は誕生した。

それから自身の店も「モンブラン」と命名。モンブランのふもとにあるシャモニー市の市長にも許可を取り、市の公認であるというから驚きだ。

店は自由が丘駅の正面出口からすぐ。モダンな外壁が目印
初代社長の迫田千万億さん(左)と創業時の店舗。スイスから帰国後「モンブラン」を屋号として商標登録したが、業界の発展を考えあえてケーキとしてのモンブランには商標を取らなかったそう

代々迫田家が継ぐ同店は、現在3代目の迫田一億(かずお)さんが継いでいる。今日は息子の直幸さんが店を案内してくれた。

広々とした店内奥には、ゆったりと優雅に過ごせる約100席のティールームを併設。できたての菓子を届けるべく、支店は作らず一貫してこの店舗のみで営業している。

自由が丘のパティスリーの中でも屈指の広さ。ケーキのほか、国産の良質なバターをたっぷりと使用したティーコンフェクト(クッキー)や葉っぱ形の「自由が丘 リーフパイ」(1枚330円〜)など焼き菓子も評判だ
喫茶スペースには初代と親交があった画家、東郷青児氏の絵がいたるところに。すべて同店のために描かれたもので、まるで画廊でお茶をしているよう。巨匠の作品を眺めながらのティータイムなんて、なんとも贅沢
ケーキのボックスも東郷青児氏によるもの。先を見据える横顔に、どこかきゅんとする

モンブラン峰に感銘を受けた初代・千万億さんが「店を代表するお菓子を」と日本人好みかつ高級食材だった国産栗を使って考案したものが日本発の「モンブラン」。

迫田さんはスイスから帰国後、看板商品の製作に取りかかる。イメージはモンブランと決めており、素材は日本人になじみのある和栗とカステラ生地を採用。小田巻き(おだまき)という和菓子専用の道具で栗のクリームを絞ることで山肌を表現した。

鮮やかな黄色いクリームは、栗の甘露煮を使っているため。当時高級だった栗をどのように洋菓子に取り入れるかと考え、甘露煮をクリームにしたのだという。その味は、創業から84年経った今でも同じ製法で受け継がれている。

ふわふわのカステラ生地の中には、栗の甘露煮がまるごと。栗のクリームは、絞る直前に甘露煮をペーストにしたもの(底辺の直径約6.5cm、高さ約10cm)
現在使われている栗は、3代目が全国を巡って出合った愛媛の中山栗。産地で採れたてを甘露煮にしているそうだ。「国産栗は剥き手が少なくなってきているので、国内での加工するのはなかなか大変」と3代目の迫田さん

香りと甘味が豊かな中山栗は、大粒で食感もいい。以前はその年によって産地が異なったが、生産者を知りたいという要望が多く地域を限定したのだそう。「中山栗が育っているのは、傾斜がきつい厳しい環境。そこに植えることで、より栄養価が高く芳醇な実に育ちます。1本の手入れには2時間もの時間がかかり、農家さんが手間ひまかけて作っています」(迫田さん)

焼いたカステラを専用の冷蔵庫で冷ましたら、円錐状にくり抜き栗の甘露煮をイン。上からカスタードを絞ってフタをする。カステラは冷蔵庫で急速に冷やすことで、水分が蒸発せずしっとりとした食感に
フタをしたら、周りにバタークリームを絞っていく。3代目いわく、このバタークリームのファンも多いという。バターを感じながらも、口当たりが軽くすっと溶ける独特の味わいだ
上にはもこっと生クリームを。ミルキーで口溶けのよいクリームは、4種の北海道産をブレンド。中心となるのは根釧産。上にのる栗のクリームがしっかりしているので、空気を含ませしっかりと立てるそう
「口溶けや風味を最大限に生かすため、小田巻きを使って空気を含ませながら絞り出します」と直幸さん
「押し出す力や回す速度によって状態が変わってくるので、熟練の技術が必要です」(直幸さん)。最後に、純白の万年雪を模したメレンゲをのせればできあがり

「栗そのものの味わいを楽しんでいただけるよう、栗のクリームにはほとんどつなぎを入れていません。また乾燥してしまうと栗本来の風味や味わいが損なわれてしまうため、作り置きはせず1日中追加で作り続けています」と迫田さんは胸を張る。

ふわふわのカステラに中のクリームがじんわり。舌触りいいマロンクリームは栗本来の優しい甘さ。その深みある味わいをコクのある生クリームが引き立てる。メレンゲのサクサク感と爽やかなバタークリームが後を引く
Yahoo!ロコモンブラン
住所
目黒区自由が丘1-29-3

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アクセス
自由が丘駅[正面口]から徒歩約0分
奥沢駅[出口1]から徒歩約8分
九品仏駅[出口]から徒歩約11分
電話
03-3723-1181
営業時間
10:00~19:00
定休日
なし
口コミ・写真など

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2.1904 ディズヌフソンキャトル

3種のマロンをブレンドした濃厚クリーム

「モンブラン」(500円)は併設のカフェでイートインもOK。今日は「カフェラテ」(420円)をお供に

閑静な住宅街にたたずむ「1904 ディズヌフソンキャトル」は、オーナーシェフの松野さんが2005年にオープンした。フランスの工場をイメージしたという店内は、パティスリーながらハードでレトロな雰囲気。至るところにキッチン系の古道具が飾られ、棚なども鉄で作られた特注品だ。

また販売スペースとキッチンがつながっているのも珍しい。ライブ感を楽しめるよう壁を設けず、あえて縦長に開けた造りにしたという。

「1日過ごす場所なので、僕の居心地のいい空間にしたかった」と松野さん。店内にもカフェスペースがあり、そちらのインテリアも特注
店内からは厨房が見通せる。店に入った瞬間、焼き菓子のいい匂いに包まれるのはこのためだ。自然木の床は、足裏に優しくフィットする歩き心地のよさ
「しまなみレモンケーキ」(4個入り1120円〜)も名物。古道具はシェフ自慢のコレクションだ。「渡仏すると、アンティーク屋巡りをするんです。新品では出せない使い込んだ味がいい」(松野さん)

こちらのモンブランの特徴といえば、分厚い土台!! 松野さん好みのサクホロっとしたパータフォンセ(タルト生地)に、素材を重ねていく。まずはクレームダマンド入りのパータフォンセにラム酒を少々垂らし、那須産たまごのカスタードクリーム、マロンの刻みをオン。

格子状に絞ったマロンクリームが約3分の2を占める。パータフォンセの中にはクレームダマンドが(底辺の直径約5.5cm、高さ約8cm)
特徴は土台となる生地。「これは作り手の好みだと思います。僕が好きな生地なんですよ。そして上のクリームが濃厚なので、それに負けない土台として採用しました」と松野さん
素材を重ね、それを包むように生クリームを絞る。仕上げは3種のフランス産マロンペーストをブレンドしたマロンクリームをたっぷりと。格子状に絞り出していく

「マロンクリームは濃いものと砂糖不使用のクリーム、クリーミーなものを合わせました。クリームから土台まで一気に召し上がっていただくと、サクホロっとしたパータフォンセがアクセントに。もろく、この砕ける食感が楽しいんです」と松野さん。

大胆なクリーム使いが印象的な「モンブラン」(500円)。土台が厚いので、思い切りフォークを下ろして。まろやかなマロンクリームはとっても濃厚。甘さ控えめの生クリームがマロンの味わいを引き立たせる

3.パティスリー レザネフォール

パリチックな和栗のモンブラン

表面の栗のグラサージュが印象的な「モンブラン」(626円)

恵比寿駅から歩くこと5分、クラシックな店構えの「パティスリー レザネフォール」が見えてくる。ここはシェフの菊地賢一さんによるパティスリー。洋菓子店を営む両親のもとで育ち、ホテルやパティスリーで経験を積んだのち、2012年にオープンした。

「レザネフォールとは、パリにおける狂乱の時代(1920年代)、黄金の20年代を意味する言葉。第一次、第二次世界大戦の間に、クラシックなパリはモダンに移り変わっていきました。いろんな文化が反映されていた時代だったので、クラシックなお菓子とレトロモダンなものを作りたいという自分の気持ちとリンクするものがあり、この名前を付けた」と菊地さん。

パリの街にあるような、クラシックなたたずまい。コンクールで多数の優勝歴も誇る菊地シェフは、洋菓子店「アルパジョン」や「ヴォアラ」で修行後、パークハイアット東京を経て渡仏した
ショートケーキなど日本で昔から愛されているケーキも。「パリにあるようなかわいいケーキも、かわいいだけじゃなくぱっと見ておいしそうって思えることを意識しています。そういうのって大事ですよね」(菊地さん)
1個から買える焼き菓子も

モンブランについては「ヨーロッパの山、モンブランを想像したときにこの形になった」と菊地さん。外側に栗のグラサージュをかけることで、雪降る山肌を表現した。

土台は春巻きのようなパリパリ食感のパイ生地。中にはほんのりシナモンが香るアーモンドクリームが。その上には、食感豊かな渋皮栗がごろり!(底辺の直径約6.5cm、高さ約10cm)
シロップ漬けにした渋皮栗の上にはカスタードクリームを。その周りに糖分を抑えた生クリームを巻いていく。それを三角形になるようならした後は、外側に宮崎県産栗のクリームをたっぷりと
栗のクリームは、下から上に平らに絞っていく。「栗が有名な産地は多々ありますが、宮崎産の栗が好みでした。香りが豊かで、まさに“和栗”という感じ。やはり国内のものは味と香りが格段に強い」と菊地さん

山の起伏をイメージした際に、グラサージュを思い付きました。栗は乾燥しやすいので、これでマロンクリームを包むことにより食べた際にいっそう栗の風味が広がるんです。ふんわりシュガーをかけ、パリっぽく金粉を散らしました」と菊池さん。

中のマロンクリームは、香りよく濃厚。甘いグラサージュやふんわりした生クリームと合わさって、口中に上品なマロンの風味が。パリパリッとした土台と食べると、ほんのりと香るシナモンが心地いい
Yahoo!ロコパティスリー レザネフォール
住所
渋谷区恵比寿西1-21-3 グレイス代官山 1F

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アクセス
恵比寿駅[4]から徒歩約1分
代官山駅[北口]から徒歩約5分
恵比寿駅[西口]から徒歩約5分
電話
03-6455-0141
営業時間
10:00~22:00
定休日
不定休
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

4.クリオロ 東京本店

職人技が光るろくろメイドのモンブラン

美しい層に見入ってしまう「クリオロ 東京本店」の「モンブラン」(540円)

昨年5月に本店を移転オープンした同店は、2000年に菓子学校としてスタートしたパティスリー。「身近な贅沢」をコンセプトに、数々の受賞歴を誇るフランス人パティシエ、サントス・アントワーヌさんがオーナーを務めている。

飴細工に磨きをかけるべく、生け花を学びに来たのが来日のきっかけ。国内の洋菓子店で指導やレシピ開発を行いながら、2003年にパティスリーをオープンした。「世界パティスリー2009」では最優秀味覚賞を受賞するなど、世界的な評価も高い。

閑静な住宅街にある「クリオロ 東京本店」。店舗の上に自社工房を構え、すべてのアイテムはこちらで作られている。チョコレートも得意とするサントスさん。店名のクリオロも、カカオの最高品種の名前だ
店内は、温かみある内装。ケーキのほか、焼き菓子やパンも販売。そのままイートインできるカフェスペースも併設されており、カレーなどのランチメニューもある
同店の開店に際して作られたチョコレートケーキ「トレゾー」(2592円〜)。しっとりしたチョコレートを使ったスフレ生地に、ガナッシュをサンド。プレーン、オレンジ、キャラメルなど全5種

美しい層が目を引く同店のモンブランは、数あるアイテムの中でも看板商品のひとつ。オープン当初は秋限定だったが、その評判から通年で販売するようになったとのこと。そしてこちらのモンブランには、クリームの絞り方にとある秘密が!!

「もとは手でクリームを絞っていましたが、今はろくろを使っているんです。『こっちのほうが早くきれいにできるのでは』というちょっとしたひらめきからから始まりました」とサントスさん。なかなか難しいため、全員ができるわけではなく皆かなりの練習を重ねているのだとか。

ふわふわのマロンムースやクリーミーなラム酒のクリームと、さまざまな味が重なる。食感が楽しめるよう、底はサクサクのメレンゲに(底辺の直径約7.5cm×高さ約8cm)
ケーキからパン、チョコレートまで、すべてのレシピを手がけるサントスシェフ。どれにおいても、素材そのものの味と食感にこだわるそう
メレンゲとマロンムースの間には、上からの水分がなじまないよう薄くスポンジを敷く工夫がされている。これも素材それぞれの味わいを重用視するサントスさんらしいアイデア
生クリームを頂点に絞ったら、イタリア産のマロンクリームを巻いていく。この日は絞りに定評があるシェフの上妻(こうづま)さんが担当。絞る手がブレないよう、ケーキに沿わせるようにするのがコツ、とのこと
片手でろくろ(陶芸用)を回しながら、ぐるぐると巻かれていく様子はまさに芸術!! その間、約10秒だ。「数をこなさないとここまできれいな層が作れない」とサントスさん

ちなみにカフェでケーキを提供する際は、通常スプーンを出しているのだとか。だが、モンブランだけは別。土台が固いため、フォークと共に提供されている。

「スプーンはフォークのようにとがっていないため、口の奥までなめらかにケーキの味を運んでくれます。モンブランに関しては、フォークで上からざくっと、すべての層を一緒に食べてみてください」(サントスさん)。

濃厚なマロンクリーム&なめらかなマロンムースが絶妙なグラデーションを描く。口に入れると、ラム酒のいい香りが。メレンゲがサクッとふんわり口溶けた後は、チョコレートの甘さが後を引く
Yahoo!ロコクリオロ 東京・本店
住所
東京都板橋区向原3丁目9-2

地図を見る

アクセス
小竹向原駅[3]から徒歩約3分
小竹向原駅[4]から徒歩約4分
小竹向原駅[2]から徒歩約5分
電話
03-3958-7058
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材・文=金城和子、撮影=三佐和隆士、最上梨沙


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Yahoo!ライフマガジン編集部

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