江戸川乱歩や井伏鱒二などの文豪が通い詰めた天ぷら料理店。昭和6年創業の老舗で、江戸前の素材にこだわり、文豪たちの舌を唸らせたそのおいしさの秘密とは!
Yahoo!ライフマガジン編集部
まずは、文豪たちが通い詰めた天ぷら料理店が1分でわかる動画をご覧ください。
東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄三田線 神保町駅から徒歩2分、すずらん通り商店街にあるのが「神田 天麩羅 はちまき」。
改装を重ね、外観は新しいが、創業は昭和6年。戦後、屋台営業などを経て、昭和20年から現在の場所で営業している老舗だ。そんなお店の前には昭和27年に撮影された文豪たちの集合写真が飾られている。
昭和20年代には、江戸川乱歩や井伏鱒二などの面々が毎月27日に店に集まる「廿七会」なるものが開かれていたらしい。店内は落ち着いた色合いでまとめられ、ゆったりと過ごすことができる。
テーブル席のほか、天ぷらを揚げているところを見ることができるカウンター席もある。カウンター席では、プチプチと天ぷらを揚げる音とつゆの甘い香りに食欲がそそられる。その他、歴史を感じる6大学野球のペナントや昭和20年代のお店の写真などが飾られている。
江戸前の素材にこだわった天ぷら!
天ぷらの素材にはこだわりがあり、中でも「穴子」は江戸前にこだわっている。
毎朝築地で身の大きな活き穴子を仕入れ、手作業で開いたものを使っているので、数量限定の逸品だ。季節によって穴子の大きさのばらつきがあるため、仕入れも大変らしい。
揚げるときののポイントは、穴子の周りに花を咲かせるように衣を散らしていくこと! そうすることによって周りの衣が食べたときのサクサク感をより一層増してくれる。
丼ものにかけるつゆは創業以来ずっと継ぎ足しながら使われ続けている。
天候によって微妙に材料の配分を変えるというこだわりだ。創業当時の味と信念がうかがえる。そんなこだわりが詰まった丼が、どーんと穴子が丼から飛び出している『穴子海老天丼』。
穴子のほかに海老が2本、レンコンやピーマンなど季節の野菜などがのっていて、ボリューム満点!
衣は厚すぎず、薄すぎず、さっくりと揚がっていて食感も完璧! まさに職人技だ。絶妙な天ぷらの衣と伝統の丼つゆが合わさって、穴子の淡白な味とふっくらした食感が引き出されている。これで1500円はリーズナブルだ。
今でも作家だけでなく多くの著名人や文化人が通っているとのこと。江戸前の素材を使ったこだわりとさっくり、ふっくらと揚げる職人技が文豪たちの舌を唸らせたのかもしれない。