独自の発展、大阪のカレー世界を事情通に聞いてみた!

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大阪の今旬スポットに行きたい!

2017/11/20

独自の発展、大阪のカレー世界を事情通に聞いてみた!

数年前から独自の盛り上がりを見せる大阪のカレー。独創的なスパイス使いや、カレーと副菜の混食、2〜3種類のカレーをワンプレートに盛る「あいがけ」など、スタイルもさまざま。いまの大阪のカレー事情を、Facebookのグループ「口癖はカレー」を主宰する三嶋達也さんに聞いた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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「いま大阪では、だしとスパイスが融合したカレーが盛り上がってます」

三嶋達也さんは、カレー好きが高じて、2011年にFacebookのグループ「口癖はカレー」を立ち上げた。関西のカレー情報交換の場だけでなく、カレーイベントを開催したり、オリジナルのレトルトカレー開発に携わったりと活動の幅を広げている。

現地系カレーでは、スリランカカレーのお店が増えたようですが。

三嶋達也
三嶋達也
カレーと数種の副菜がワンプレートに盛られて、それらを混ぜて食べるカレーですね。大阪では「ロッダグループ」(九条)、「セイロンカリー」(長堀橋)などがそのスタイルの代表格で、老舗のレジェンド店「カルータラ」(肥後橋)ではディナー営業(予約のみ)にて現地さながらのビュッフェスタイルを楽しめます。

「自由軒」(千日前)の混ぜカレーとか、もともと昔から大阪人のルーツにカレーを混ぜて食べる気質があったのではと思ってまして、豪快に全部を混ぜるという「ちょっとお行儀悪い感」(笑)がクセになるような気がします。

混ぜて食べるカレーはインドにもあるんですか?

三嶋達也
三嶋達也
ここ数年大阪でも人気が高まっている南インドの「ミールス」は、ワンプレートにライスと小さな器(カトゥリ)に入れた数種のカレー・副菜を乗せて提供する、いわば定食のようなもので、こちらは一気に混ぜるというよりは、少しずついろいろ混ぜながら、自分好みの味を探しつつ食べ進むスタイルです。

九条の「アアベルカレー」に代表されるような、豆カレーと肉・魚介のカレー、複数の副菜やピクルスが一皿に盛ってあり、混ぜながら食べていくというのが、インドとスリランカのいいとこ取りをした大阪オリジナルの主流スタイルですね。

この複数のカレーを一皿に掛ける「あいがけ」スタイルが、大阪独自に発展し定着したカレーシーンの定番ワードで、この「いっぺんに2つ食べられる」的なオトク感が大阪人気質にマッチしているんだと思います。

あいがけカレーで有名なお店はありますか?

三嶋達也
三嶋達也
パイオニア的な存在でいうと「ゴヤクラ」(南船場)、「旧ヤム邸」(谷六ほか)や「バビルの塔」(谷四)でしょうか。僕があいがけでビジュアルも特に美しいと思うのは「シナジー」(北新地)ですね。見た目も美しく、薬膳も意識された体にもやさしい医食同源カレーです。

「あいがけ」の名手。体にやさしい医食同源カレー

「シナジー」(大阪・北新地)

野菜たっぷり、見た目も美しく、薬膳も意識した体にやさしい医食同源カレー

定番のチキンカレー(800円)は、ショウガやニンニク、3種のフルーツにカルダモンを利かせた華やかなひと皿。小麦粉は入れず、オリーブオイルを必要最低限だけ使うことで軽やかな味わいに。市場で仕入れる食材で、メニューが決まる週替わりカレーとの「愛がけ」(プラス100円)で、店主・原さんの愛をとことんまで感じよう。

シナジー
住所:大阪市北区堂島1-5-35 堂島レジャービル2F
アクセス:大阪市営地下鉄・西梅田駅から徒歩約5分、JR大阪駅から徒歩約10分
電話:非公開
営業:11:30〜14:00
定休日:土日祝

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


大阪スパイスカレーについて、新しい傾向はありますか?

三嶋達也
三嶋達也
現地系カレーをオマージュしながら、和やイタリアンなどルールに捉われない独自の要素とフュージョンさせる創作カレーですね。ハイブリッド系と呼ばれています。「レオーネ」(北新地)、「虹の仏」(四天王寺)などが人気です。だしとスパイスが渾然一体となったカレーも今、キテますね。大阪スパイスカレーのひとつのキーワードになっています。

だしというと、鶏ガラスープなどですか?

三嶋達也
三嶋達也
これまた、いろんなだしがありまして、鶏ガラももちろんですが、鯛のアラでとる鯛だしや、貝だし、定番の鰹だし、昆布とサバ・アジ・カツオなどの削り節に煮干しもブレンドした合わせだしとか、数種類のだしを、カレーによって使い分けている店もありますね。

お店でいうと、どこのカレーですか?

三嶋達也
三嶋達也
鯛だしを使っているのは、とんかつが専門店顔負けにおいしいことでも有名な「渡邊咖喱」(西梅田)とベジン(日本橋)。「マガリーダッタ」(南田辺)のように、もともとラーメン店出身の異色の経歴から、ラーメンスープのようなカレーにエスプーマトッピングなんてメニューもある、カレーの概念を覆すつわものもいますし、「フジヤマコウタ」(北浜)にいたっては、大阪でも珍しいスープカレーですが、鯛×鶏白湯の濃厚だしベースにさらに煮干×トマトだしや海老だしを追加して、もはや天文学的な凝縮されたうまみ(笑)をたたき出す猛者もいます。

スゴイですね! 個性派カレー、ほかにもありますか?

三嶋達也
三嶋達也
あと「アグニ」(北浜)は、すごく丁寧にひいた雑味のない鰹だしや貝だしを使い分けていて、スープの澄んだ旨みと、ホールからひいたスパイスの鮮烈な感じが、スコーンと突き抜ける感覚ですばらしいですね。

また、「ワルン」(堀江)や「ツキノワ」(堺筋本町)も昆布主体の和だしを使っていたり、僕がカレーを監修している水曜のみ営業の「ニッポンカリー オルタナ。」では、混合削り節・昆布・煮干の魚介合わせだしと野菜ベースのベジだしを使い分けた、2種カレーのあいがけという今の大阪スパイスカレー入門編のような位置づけのカレーを提供しています。

澄んだ旨みのスープに鮮烈なスパイスが融合

アグニ(大阪・千日前)

だしカレーとドライなカレーの二層になっており、写真は親鳥とアサリポークペッパーカレーのアグニ層カレー

間借り営業のカレー店「アグニ」は、2017年9月から千日前で月曜のみ営業に。アブラカスカレーと和牛ペッパーカレーのアグ二層カレーや、親鳥とアサリのカレーと和牛マサラのアグ二層カレーなど、だしのうまみにスパイスの香りが前面に出たすっきり、さっぱりした味わいは健在。営業日やメニューは公式ツイッターで確認を。

アグニ
住所:大阪市中央区千日前1-8-9 世情け横丁「きんぎょ草」内
アクセス:大阪市営地下鉄・なんば駅、日本橋駅から徒歩約5分
電話:06-6214-0575
営業:12:00〜売り切れまで
営業日:月曜のみ

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


代表的な大阪スパイスカレーの今を感じるなら

ニッポンカリー オルタナ。(大阪・天満橋)

あいがけやトッピングなど、おトクな盛り盛り感も大阪スパイスカレーならでは

ベースの和だしに削り節と真昆布と煮干しを使い、しっかりと濃いめに丁寧にだしを取ることで、スパイスと合わさったときにガツンとしたうまみとインパクトを感じられるカレーを目指す。和だしベースのカレーとインドスタイルのカレーを選べ、もちろんあいがけ(1000円〜)も。味付けうずら卵やとんかつなどのトッピングも充実している。

Facebookのグループ「口癖はカレー」を主宰する三嶋達也さんが監修するカレー店は、水曜のみオープン

ニッポンカリー オルタナ。
住所:大阪市北区天満2-4-8 NACビル1F
アクセス:大阪市営地下鉄・天満橋駅、京阪・天満橋駅から徒歩約10分
電話:06-6355-1117
営業:11:30〜15:30、18:00〜21:30
営業日:水曜のみ

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


取材メモ/古来からだし文化が根付く関西。料理の味の決め手に、うまみはなくてはならないものである。大阪スパイスカレーも、フレッシュなスパイスとだしを融合することで、味に奥行きや深みをもたせることに成功。今後さらに進化し、各地に影響を与えて、大阪の新たな名物料理となる日も近いはずだ。

構成=Lmaga.jp

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