秋は長野の「松茸小屋」 上田の山小屋でマツタケ三昧という贅沢

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「きのこ好き」なら一度は行きたいスポット

2017/11/04

秋は長野の「松茸小屋」 上田の山小屋でマツタケ三昧という贅沢

山小屋で絶品のマツタケ料理が味わえる「松茸小屋」。そんな松茸小屋が長野県上田市には点在する。そこで今回は、“マツタケと縁遠い人生”を歩んできたライターの小山田滝音が本場の松茸小屋に突撃。実録!小山田meetsマツタケ。果たして小山田にマツタケの繊細な味・香りがわかるのだろうか。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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松茸小屋に行ってみた人

マツタケのことを「マッタケ」と発音するこの男
小山田滝音

小山田滝音

ライター

上田市のマツタケ事情に詳しい人に話を聞いてみた!

そもそも、なぜ上田市には松茸小屋が多く存在しているのだろうか。その謎を解き明かすべく、長野県・東信地方(長野県東部地区)の地域産業振興に携わっている滝沢一秀さんに会いに滝沢さんのお膝元の「別所温泉駅」へと向かった。

こちら滝沢さん。

うわ、とってもいい人オーラが! 何を隠そう滝沢さんは、松茸小屋を営む家庭に生まれたマツタケ王子でもある
ライター小山田
ライター小山田
「滝沢さん、今日は宜しくお願いします。早速ですが、上田市には松茸小屋が多いと聞いたのですが、その理由についてお聞かせください」
滝沢さん
滝沢さん
「それついては、まずマツタケについて説明した方が良さそうなので簡単にご説明しますね。マツタケとは、アカマツなどの根と共生関係を保ちながら生育される菌根性(きんこんせい)きのこを指します。実用的な人工栽培技術がない…つまり今のところは自然発生のみでしか生まれません。そんなマツタケが楽しめる松茸小屋が上田市に多いのは、大きく4つの理由が考えられます」
マツタケの生産量は全国NO.1の長野県。珍しい双子のマツタケ(一番左)に出会えることも

滝沢さんによると、上田市に松茸小屋が多いワケは、「自然・気候」、「地理・地形」、「歴史・文化」、「産業創生」の4つの理由が考えられるという。

1.自然・気候

国内最大のマツタケの生産地である上田市周辺には、マツタケが自生する樹齢20〜30年の若いアカマツが多く育っている。しかも、アカマツ林が存在する森の気候が、菌が育ちやすいとされる冷温帯となっている。

2地理・地形

上田市は盆地(上田盆地)にある。山中と言えど、そこまで急峻な地形ではなく松茸小屋を建てやすい地形であったこと。さらに、首都圏からの観光客が比較的アクセスしやすい地域であったことも関係している。

3.歴史・文化

上田市は「信州の鎌倉」と呼ばれるほど、国宝・重要文化財が点在している街。歴史をたどると、鎌倉時代に幕府守護職が居を構え長く治めた地域で、信州の政治・宗教の中心地として栄えた。そんな歴史ある観光地に松茸小屋を造ることで、より街が活性化するのではと考えられた。

4.産業創生

かつてこの地域は養蚕や稲作が非常に栄えたが、収穫が終わる秋シーズンは“手持ち無沙汰”になってしまい、新たな産業が求められた。9月〜11月頃が旬であるマツタケは、産業創生という課題ともマッチした。

滝沢さん
滝沢さん
「松茸小屋が造られ始めたのは、戦後になってからなんです。時代もあったんでしょう、新たな産業としてマツタケ料理が確立していったのもちょうどその時期です。ちなみに、松茸小屋の多くはアカマツの木を柱にして造られているんですよ」
ライター小山田
ライター小山田
「とっても勉強になります。さっそく今から松茸小屋に行ってみようと思いますが、このあたりには具体的にどれくらいの数の松茸小屋があるんですか?」
滝沢さん
滝沢さん
「現在は12〜13軒ほどになります。ぜひ楽しんできてください!」

松茸小屋に行って、マツタケ料理を味わってみる

今回小山田が訪れたのは、約50年前にオープンした「鈴子山荘」。毎年9月上旬〜11月中旬まで期間限定で営業している。海抜約500メートルの場所に位置し、上田市の景色が一望できるうえに、山の中特有の澄んだ空気の中でマツタケが味わえることで知られている。

人生初の松茸小屋に心躍る小山田
レトロな雰囲気が漂う小屋の中

案内してくれたのは、スタッフの大田美佳さん。約10年間ここでホールを担当しているという。

笑顔がとってもキュートな大田さん。マツタケはもちろん、上田産のねぎが「甘くて好き」だと語る
大田さん
大田さん
「いらっしゃいませ。鈴子山荘では料亭で提供されるような、見た目がいかにも豪華という料理はお出ししておらず、シンプルな料理で楽しんでいただいております。特徴は、なんといってもお腹いっぱいマツタケが味わえること。毎年約3000人が日本全国から足を運んでくれます。ちなみに、ここから一番近くで、徒歩30分行ったところにマツタケが採れる山があって、ここで提供する野菜もこの近くの畑で採れ、全部自分たちで栽培しています」
ライター小山田
ライター小山田
「山で自然のマツタケを採り、畑でお野菜を…贅沢ですね。ちなみに、こちらのオススメの料理は何でしょうか?」
大田さん
大田さん
「松茸鍋です。お昼の時間帯ですと、A〜Dコースとフルコースの5つのコースを用意しておりましてどれも鍋が味わえます。中でも一番人気は、やはり焼松茸が楽しめるCコースです」
こちらが一番人気の全8品のコース「Cコース」(9,000円)
なんといっても焼松茸が楽しめるのが魅力だ
焼松茸を塩のみでいただく小山田。その味は…
ライター小山田
ライター小山田
「おぅ、僕でもわかる上品な甘さ。香りも良いんですが、マツタケってこんなに甘いものなんですね」
大田さん
大田さん
「上田で採れるマツタケは、味も色も香りも他と全然違います。特に鈴子山荘で採れるマツタケは、陽当たりや風通しが良い山で育てているのもあってとっても美味しいんです。メインの松茸鍋もどうぞ召し上がってください」
こちらが鈴子山荘でメインとなっている松茸鍋。こんな鍋、見たことない…
あまり色が変わりすぎないときが食べごろとのことで、これくらいの煮具合で用意された卵にディップ
それでは鍋の方のマツタケもいただきます
ライター小山田
ライター小山田
「うま! 口の中でマツタケの良い香りが広がって、これはもう止まりません。“違いの分からない男”と言われる僕ですが、ここまで上質だとさすがにわかりますわ。あぁ、なにこのマツタケ。今まで僕が食べてきたマツタケと言われているものは、本当にマツタケだったのか疑わしいほどです」
鍋と一緒に味わいたいのが、松茸ごはん。もうご飯が進むクンというより、ご飯が止まらないクンである
あの小山田も香りを楽しめるレベルの香り高い松茸汁
問答無用の松茸天ぷら。焼いても煮ても揚げてももちろんうまいのだ
大田さん
大田さん
「Cコースでは、松茸鍋、松茸どびんむし、松茸茶碗蒸し、松茸天ぷら、焼松茸、松茸ごはん、松茸汁、香物が楽しめて9000円となりますが、Aコースでしたら、お手頃価格の5300円となります。もっとマツタケを楽しみたいという方には、松茸銀むし、姿焼を含んだ『フルコース』(15000円)も用意しています」
ライター小山田
ライター小山田
「懐事情にあわせていろいろ楽しめるのですね。Aコースも安いわけではないですが、正直全然元はとれます。上田のマツタケカルチャー、おそるべしですね」
大田さん
大田さん
「ありがとうございます。ただ、そんな順風満帆ってわけでもないですよ。直近でも、10月の台風の影響で松が倒れて、小屋が一つ潰れてしまったんです。また、この小屋もかつて雪で潰れてしまった過去がありまして2年前に修復したばかり。それに後継者問題もありまして、問題が山積みなんですよね」
ライター小山田
ライター小山田
「こんな美味しいマツタケがあるのに…なかなか難しいものなんですね」
大田さん
大田さん
「ですがお客さんが『美味しい』と言ってくださると、私たちとしてもとってもうれしくなります。今年は11月8日までの営業となってしまいますが、ぜひ来年また遊びにいらしてください!」

絶品のマツタケがたらふく楽しめる「鈴子山荘」。ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。

上田市周辺にある松茸小屋をご紹介!

前出・滝沢さんによると上田市周辺には12〜13軒ほどの松茸小屋が存在する。いずれも期間限定営業で、一番長くやっている店も11月中旬頃まで。最後に、今回紹介した「鈴子山荘」以外にもオススメの松茸小屋を3店ほど紹介しよう。

二幸園

昨年リニューアルしたばかりの老舗松茸小屋

昨年改装リニューアルしたばかりの老舗
ライター小山田
ライター小山田
「昭和26年にオープンした歴史ある松茸小屋『二幸園』さん。昨年に改装し、綺麗な木造建築の店として生まれ変わっています。マツタケ入りの鶏鍋がオススメですよ」

市坂山荘

見晴らし最高&松茸ご飯がおかわり自由!

別所温泉駅から徒歩約15分の場所に佇む
ライター小山田
ライター小山田
「鈴子山荘同様、見晴らしの良い景色が楽しめる松茸小屋です。たっぷりとスライスされたマツタケが入った鶏すき焼き鍋や、松茸のみそ漬けが好評なんだとか。なんといっても松茸ご飯がおかわり自由なのがうれしいですね」

別所和苑

元祖・松茸小屋の女神岳にあり塩田平を一望!

アカマツをバックに黒い顔がより一層際立つ小山田
ライター小山田
ライター小山田
「アカマツ林の中というネイチャーな立地。この地区で初めて建てられた松茸小屋『城山園』を引き継いでいるお店です。料理は、マツタケ以外にも地元産のものにこだわり、盛り付けにも力を入れています。またシーズン中にはマツタケ狩りが体験できるとのことで、特に女性客から人気だとか」
滝沢さん
滝沢さん
「小山田さん、松茸小屋は存分に楽しんでもらえましたか? お帰りの際は、ぜひ、すべすべ&つやつやの『別所温泉』へもお立ち寄りください!」
ライター小山田
ライター小山田
「わぁ、マツタケのあとに温泉なんて神コースじゃないですか。じゃあ今から温泉にも行ってきます!」

取材・文/小山田滝音
撮影/川村将貴

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