町の本屋さんを徹底的に愛すべし! 全国の“いい本屋さん”5選

特集

いま、個性派本屋がおもしろい!

2017/11/21

町の本屋さんを徹底的に愛すべし! 全国の“いい本屋さん”5選

「本屋は友人であり、家族でもある」という夏葉社の代表・島田潤一郎さん。本屋さんをこよなく愛し、『本屋図鑑』の執筆と出版も行う島田さんに、全国のおすすめの本屋さんを聞きました。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

教えてくれたのは、この人!

夏葉社・島田潤一郎さん

 

《プロフィール》
1976年高知県生まれ、東京都育ち。大学卒業後は作家を志しながら、アルバイトや派遣社員として働く。2009年に、「ひとりの読者が何度も読み返してくれる本を作りたい」とひとり出版社・夏葉社を創業。ユダヤ系作家バーナード・マラマッドの短編集『レンブラントの帽子』や、大森で古書店を営んだ関口良雄氏の幻のエッセイ『昔日の客』など名著を復刊させる。47都道府県の本屋を巡り執筆も行った『本屋図鑑』が好評発売中。

友人のような距離感が心地いい町の本屋さん

早速、全国おすすめの本屋さんをお聞きする前に訪ねたいのです。本屋さんの魅力って何ですか、ということを。

島田さん
島田さん
「大前提として言っておきたいんですけど、僕が好きな本屋さんって地味なんですよ。バラエティ番組から声をかけられたこともあったんですけど、あまりにも地味すぎてポシャったくらいで(笑)。僕は東京の世田谷で育ったんですけど、家の近辺には自転車で通える本屋さんが10軒くらいあったんです。高校生くらいの時は、友達も少なかったから暇さえあれば、本屋さんにとりあえず行ってみるくらいの距離感でした。本屋さんって、行くと何かがほしくなるし、もっというと知的好奇心が刺激されて向上心や向学心が増す場所でもあるんです」

--なるほど。町の本屋さんがお好きということですね?

島田さん
島田さん
「そうですね。ここ5年くらいで雑誌でも本屋さん特集が組まれていたりしますが、やっぱり町の本屋さんはフォトジェニックじゃないからか、その特集内にはなかなか入ってこない。だけど僕が好きなのは、やっぱり昔から行っていた町の本屋さん。なぜなら町の本屋さんで新潮文庫や岩波文庫で定番といわれるものにまず出会って、本のおもしろさを教えてもらって本が好きになったから。本屋さんに育ててもらったという感じなんです。このように、小さな本屋さんという拠点がなくなっちゃうと、本好きな人がいなくなるような気もしていて」

--『本屋図鑑』では利尻島から石垣島までの本屋さんを巡られていますよね。地方によって特色はあるんでしょうか?

島田さん
島田さん
「実はそこまで変わらなくて…(苦笑)。でもそれは日本の出版の流通が優れているからだと思います。どの地方に行ってもベストセラーがちゃんと並んでいるし。だけどここ2、3年、広島とか福岡とかいろんな地方の本屋さんもおもしろいことになってきているんですよ。本屋さんがなくなってきていることを憂いた若い店主たちが、自分たちの町に自分たちの手で本屋を作ろうという動きが盛んにあったりして」

--そんな島田さんが思う“いい本屋さん”とは?

島田さん
島田さん
町の人との距離が近い本屋さんですね。駅前の大型書店など不特定多数を相手にしていると町の色は出にくいけど、読者である町の人と対話することでその町の色がちょっと出るんです。そして本屋さんが町の人たちのリクエストを受けて選書することで、どんどん棚が面白くなっていくんです」
写真家・本多康司さんの写真集「madori」。一般流通は極めて少ない
島田さん
島田さん
「あとは、詩集と芸術書のセレクトが個性的だとワクワクしちゃいますね。例えば、最近買った写真家・本多康司さんの『madori』。めちゃくちゃキレイでかっこいい写真集なんですけど、一般流通の数はおそらくすごく少ないと思います。500部しか刷ってないらしいので。造本も凝っているし、卸をとおしていないから、普通は仕入れがめんどくさくて棚に並ばないようなものですが、手間を惜しまず入れようとする本屋さんがいるわけですよ。このように芸術書や詩集には、いい本がたくさんあるんですが、毎日情報をチェックしていないと、本が出ているということにすら気づかないわけです。そこまでちゃんと目を入れて仕入れている本屋さんは、熱量が高いなって感動しますね」

島田さんがオススメする“いい本屋さん”5選

ということで、ここからは島田さんがオススメする、街のいい本屋さんを紹介しましょう。

1軒目 ベニヤ書店(奈良)

奈良の花芝商店街の一角に佇む「ベニヤ書店」。店頭に大きな平台が配され、昔ながらの本屋さんといった趣きです。そんな姿に、島田さんもノックアウトの模様。

1956年の創業以来、町の人に愛されている
島田さん
島田さん
「ザ・昭和な佇まいがかっこよくて、めちゃくちゃいいんですよ。コミックやビジネス書がほとんどなくて、岩波新書や中公新書といった堅めの本がしっかり置いてある本屋さん。行ったら思わず勉強がしたくなっちゃいます(笑)。『お客さんの要望に応えたい』という店主の思いも素敵だし、看板ネコのグーちゃんが帳場に座っていたりするのもかわいい。昭和に活躍したマンガ家・清水崑さんにお願いして絵を描いてもらったというブックカバーにも注目です」
看板ネコのグーちゃん。鬼かわいい
Yahoo!ロコベニヤ書店
住所
奈良県奈良市花芝町16

地図を見る

アクセス
近鉄奈良駅[1]から徒歩約3分
奈良駅[中央口]から徒歩約17分
新大宮駅[出口2]から徒歩約22分
電話
0742-22-5050
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

2軒目 根木青紅堂書店(大分)

美しい石畳を持つ城下町、大分県佐伯市にある「根木青紅堂書店」。1921年創業のこちらは、2008年にリニューアルしオシャレな外観に生まれ変わったそう。

家族で営む「根木青紅堂書店」。店主は毎日30軒もの本の配達に出るそう
島田さん
島田さん
「外観は女性的ですが、置いてある本はけっこうハード。というのは、ちくま学芸文庫や講談社学術文庫といった専門的なレーベルが豊富に揃っているんですよ。どうしてこんな小難しい学術書があるかというと、やっぱり町の人が買っていくから。町に知的な人が多いんですかね(笑)。マンガを減らしてこっちを増やしたっていうから、すごいなぁって思うわけですよ。そんな本屋さんが大分県佐伯市という小さくて静かな町にあるのは、とてつもない奇跡だと思います」
学術書の数がハンパないっ…!
Yahoo!ロコ根木青紅堂書店
住所
大分県佐伯市城下東町1-15

地図を見る

アクセス
佐伯駅[出口]から徒歩約22分
上岡駅[出口]から徒歩約43分
海崎駅[出口]から徒歩約60分
電話
0972-22-0146
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

3軒目 三月書房(京都)

京都市役所前から近くにある「三月書房」。10坪ほどの店内には、歌集や詩集、文芸評論、人文書といった大型書店では見られないラインナップが楽しいと島田さんはいいます。

本屋さんが憧れる本屋さん「三月書房」
島田さん
島田さん
「ベストセラーは置いてなくて、マンガもガロ系のものだけ。ニッチなものが何から何まで揃います。『編集グループ<SURE>』や『編集工房ノア』などの関西の出版社の本がたくさんあって、棚の隅々まで楽しい。もうまさに唯一無二の存在。本屋さんみんな、この三月書房さんのことを尊敬していると思いますよ。リトルプレスも充実していて、同業者が来ても新しい発見がいっぱいです。まぁ、本に全く興味がない人が見たら何がなんだかわからないかもしれませんが(笑)」
アウトレットブックの棚。まさかの割引率にびっくり

新刊を扱う本屋さんですが、アウトレットコーナーもあって、“バーゲンブック”と呼ばれるアウトレットブックが、50~70%オフで売っていたりします。見た目は町の本屋さんなのに、中身は濃厚なワンダーランドです」

Yahoo!ロコ三月書房
住所
京都府京都市中京区寺町通二条上る要法寺前町721

地図を見る

アクセス
京都市役所前駅[3]から徒歩約6分
三条(京都府)駅[11(京阪)]から徒歩約9分
神宮丸太町駅[3]から徒歩約10分
電話
075-231-1924
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

4軒目 本の店 英進堂(新潟)

新潟市のショッピングセンターの一画にあるのは、「本の店 英進堂」。パッと見大型書店のように思えるが、店の中へ入るごとに本の深い世界が広がっていくと島田さん。

お客様と本とのステキな出会いをお手伝いすることがモットーの「本の店 英進堂」
島田さん
島田さん
「話題の新刊から雑誌まで揃っているんですけど大型書店と違うのは、250坪の大きい店内に店長の諸橋さんの香りがいたるところにするっていうか…。高価な本にはパラフィン紙と呼ばれる紙でカバーするんですけど、なぜか新刊本にもこれを巻いてあったりして。きっと本のことが好きで大事に思っているんでしょうね。そんな本屋さんほかにないですよ(笑)」
パラフィン紙に巻かれて大切にされている本たち
島田さん
島田さん
「あと郷土棚も異常に充実しています。郷土史や新潟出身の作家さんの本をたくさん並べてますが、とくに注目はマンガ家・高野文子さんの棚。今で刊行された単行本が全部あるし、挿絵を手掛けた本も寄稿している雑誌まで揃えるこだわりよう。いわゆる郷土書ってそんなに売れるものではないと思いますが、地元を愛し大切にしていることがよくわかりますよ」
Yahoo!ロコ本の店英進堂
住所
新潟県新潟市秋葉区程島1876

地図を見る

アクセス
古津駅[出口]から徒歩約20分
新津駅[出口]から徒歩約26分
東新津駅[出口]から徒歩約42分
電話
0250-24-1187
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

5軒目 ロバの本屋(山口)

最寄りの長門湯本駅からバスで30分、そこからさらに徒歩で40分という、見渡す限りなにもない辺鄙な場所にオープンした「ロバの本屋」。到底交通の便がいいとは言えない立地だが、そこまでしてでも行ってほしいと島田さんが笑顔で話します。

東京から移住してきた店主が、大分の俵山に2012年にオープン
牛舎を1から修繕し作り上げた
島田さん
島田さん
「あまりの田舎具合に『ウソでしょ?』と思いますが、本のセレクトは最高だし凄まじく素敵です。元牛舎を利用した空間に並ぶのは、出版社『港の人』や『トムズボック』の本。といっても、しばらく足を運べていないので、いまの棚がどんなふうになっているのかわからないのですが。店自体は小さいけれど、新刊も古本もどれも選び抜かれたものばかり。とくに古本は、ぼくが行ったときには国文社の詩集や昭和期のヨーロッパ紀行などいい本がいっぱいありました。ここに行くとわかるのは、本を好きな人はもちろん、近所の方がウォーキング途中に寄ってコーヒーで一息ついていたりして、みんな一様に幸せそうだってこと。それを見るとこっちまで嬉しくなっちゃいます。辺鄙な場所にあるけれど、旅をしながら楽しむには最高です」
一息つけるカフェスペースも併設する
Yahoo!ロコロバの本屋
住所
山口県長門市俵山県道38号線

地図を見る

電話
0837-29-0377
営業時間
月,火,金~日 11:00~17:00
定休日
毎週水曜日、毎週木曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

年々少なくなってきている町の本屋さん。友達に会いに行くような気持ちでふらりと訪れることができるから、さびしんぼうの1日だって最高の1日にしてくれるかもしれない。



撮影・取材・文/ふなばしまき

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

RECOMMEND

SPECIAL

SERIES