日本最大のインド人街・西葛西で絶対に外したくない店3選

特集

移民の街で本場グルメを味わう!

2017/10/15

日本最大のインド人街・西葛西で絶対に外したくない店3選

日本最大のインド人コミュニティを持つ街、東京・西葛西。約2000人のインド人が住むこの街で、3軒のインド料理店を訪ね、現地人スタッフのみなさんにインド視点から見る料理の魅力を教えていただいた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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“インドの風”を感じる人気のレストランを求めて

東京メトロ東西線の西葛西駅前

「近くを流れる江戸川がガンジス川に似ているから」なんて説もあるが、家賃や物価が都心に比べて安く住みやすいこともあり、IT関係の仕事などで来日したインド人が多く住んでいるという西葛西。日本最大の「インド人街」ではあるが、ズラリとインド料理店が並んでいたり、観光地っぽく店が並んでいるわけではない。でも少し街を歩けば、確かにインド人の存在を感じることができる。今回はそんな西葛西で人気のインド料理店を訪ねることにした。

1軒目

「スパイスマジック カルカッタ 南口店」

南北のインド料理が味わえる、西葛西インド人街の原点

カルカッタ出身のオーナー、ジャグモハン・チャンドラニ氏は紅茶などのビジネスのため1978年来日。紅茶を扱うための倉庫の都合もあり西葛西に住み始め、以来、氏を慕って多くのインド人が集まるようになったとか

西葛西にインド人が多く住むようになったきっかけのひとつと言われているのが、こちらのレストラン「スパイスマジック カルカッタ」。「江戸川インド人会」を運営するチャンドラニ氏とこのレストランが、インドの人々のよりどころになっているという。

現在『スパイスマジック カルカッタ 南口店』の店長を務めるのはシヴ・クマールさん
店長、クマールさんの出身地はインド北部にあるパンジャーブ地方のチャンディガールという都市

クマールさんは10年前に来日、友人の伝手(つて)でこのレストランにやってきたという。「日本の中ではどの街が一番住みやすかったですか?」と聞いてみた。

クマールさん
クマールさん
「西葛西! 横浜もGOODです」

なお、NISHI-KASAI(西葛西)の名は、インドにいた頃から知っていたという。

南北両方のインド料理を提供

南インド料理を担当するウメシュクマルさん(中央)と、北インド料理担当のラクスマンさん(右)とで調理を分担。クマールさん(左)はホールのほか、調理のサポートも

「スパイスマジック カルカッタ 南口店」では、北インドと南インドの料理どちらも食べられるのが特徴だ。北口にある本店は北インドの料理専門で、両地域の料理が食べられるのは南口店。ナンやバターチキンカレー、タンドリーチキンなどのように日本人にもなじみの深い北インド料理だけでなく、南インドでポピュラーな料理がいろいろ食べられる。

まずは北インド料理を堪能

一口にインドといっても、ご存知の通りインドは広い。さまざまな種類があるインド料理のうち、日本人に比較的なじみが深いのが北インド料理だ。

マイルドでとろっとしたテクスチャー、辛さはインド料理の中では控えめだ

まずは、北インド料理の中で一番人気だという「チキンバターマサラセット」(1540円)を注文。いわゆるバターチキンカレーと、人気メニューのチーズナンがセットになる。バターチキンカレーは店ごとに味が結構異なるものだが、こちらのお店では、酸味を抑えたマイルドな仕上がりになっている。こってりしすぎず、優しい印象。

ナンは少し甘めの仕上がりだ

生地の中と表面にたっぷり加えたチーズがとろける! はちみつとバジル、シナモンをかけてあり、カレーがなくてもそのままでいけてしまうおいしさだ。

西葛西の街では、ビリヤニを用意している店を多く見かける

続いて、「ダムプック・ビリアニ」(1500円)を注文。日本人にはチャーハンのようにも見えるが、”ビリアニ”(日本ではよくビリヤニと呼ばれる)は炊き込み御飯に近い料理だ。いろいろな地域で作られるが、同店ではインド中南部の街・ハイデラバード風のレシピを採用しているという。

チキン、マトン、野菜から具材が選べるが、今回はマトンをチョイスした。3cm角ほどのマトンがゴロゴロ入っていて、食べ応え抜群!

脇に沿えられた白いものは”ライタ”

ビリヤニ単品でもバランスのとれた味だが、ヨーグルトに刻んだキュウリやスパイスを混ぜて作った”ライタ”を添えるとまろやかでリッチな味になり、いっそう箸が進む!

南インドの「イドゥリー」&「ヴァダ」にチャレンジ

続いて、南インドの料理にも触れてみよう。

一見、小さなホットケーキのようにも見える”イドゥリー”

続いては、南インド料理をご紹介。こちらは、米と豆を使った蒸しパンのような食べ物”イドゥリー”が食べられる「イドゥリーセット」(650円)だ。

口に含むとほろほろと崩れるけれど、パサパサしてはおらず、しっとりとした食感。かすかな酸味とクセのないほんのり塩味は、日本の食パンを思わせるところもあり、朝食で食べることが多いそう。ココナッツチャツネとトマトチャツネにディップすると、イドゥリーの細かい気泡にスッとチャツネがなじむ。

豆と野菜を煮込んだスープ状のカレーで、どこか味噌汁を思わせるような素朴な優しい味わい

奥にあるカレーのようなものは“サンバル”と呼ばれるもの。日本人のインド感からすると意外だが、大根も入っている。インドでも大根はよく使われる食材なのだそう。

「ヴァダ・セット」は「イドゥリー・セット」と同じく650円。210円で単品追加も可能

イドゥリーの代わりに“ヴァダ”をセレクトすることも可能だ。

きめの細かいほんのり塩味のドーナッツのような食感で、フワフワしているけれど少し弾力がある

シメにいただいたのは、「マサラティー」(350円)。チャンドラニ氏が紅茶を扱う仕事をしているだけあって、スパイスだけでなく、紅茶自体がとても香り深い。

マサラティーはいわゆる”チャイ”のこと

2軒目

「アムダスラビー」

さわやかな酸味とフレッシュな食感の南インド料理を堪能

続いて、北口の人気レストラン「アムダスラビー」へと向かう。

こちらお店のスタッフのみなさん。とてもいい笑顔!

オーナーのJDさん(中央右)は、来日して14年。ご主人の銀行員の仕事の都合で日本にやってきて、娘さんは日本人と同じ小学校に通っているという。完全に日本に生活の基盤を築いているのだ。南インド出身のシェフと、ホールスタッフのネパール人男性ともにこの店を切り盛りする。

入った瞬間、わーっと声が漏れてしまった。この内観だけでも、女友達を連れてきたくなる!

インド料理店というと、赤や金などのカラフルな店が多いが、ミントブルーの壁にピンクの花柄のテーブルクロスがとてもエレガント。

南インド・タミル地方のワンプレートを食す

インドの中でも特に南インドの料理を提供している

こちらのレストランのテーマを、JDさんにお聞きしてみた。

JDさん
JDさん
「コンセプトは、リラックスして過ごせて、おいしいごはんで健康になれる、家のような場所です」

インド南部のタミル地方の料理をベースに、辛さだけ若干日本人になじむようにアレンジしているそうだ。中でも特にタミル地方らしさのある料理を! とオーダーしたところ、まずおすすめされたのがこちらの料理。

ボリューム満点だが、それ以上に各素材のフレッシュさが際立つ

こちらは「南インドタリー」(ランチ1100円、ディナー1700円)。中央にはインドのキング・オブ・ライスと呼ばれるバスマティライス、おせんべいのような“パパド”、それを囲むように“サンバル”、“ラッサム”、“アチャール”など、わたしたちが「カレー」の一言で呼んでいるような料理がいくつも並ぶ。

インドのお米というと、もっちりごはんLOVEの日本人からするとパサパサしているというイメージがあるが、パサパサというより、ふんわりサラサラ炊き上げられているという印象だった。サラッとした料理にとてもよく馴染んでいる。パパドは豆を使うタイプもあるが、同店で提供するのは米を使ったもの。

「南インドタリー」には、さらに揚げパンの”プーリ”までついて、かなりのボリューム! さらにディナータイムには、牛乳に極細のパスタのようなものを加えたデザートがつく。
サンバルは、セットの中でも特に素朴な味わいの一品

どの料理も、玉ねぎをはじめ食材の食感がとてもフレッシュで、明るく鮮やかな味がする。ほとんどの料理に共通しているのが独特の爽やかな酸味で、これはお酢やレモンなどではなく、豆のような果実”タマリンド”でつけているものだそう。どの料理も、油が控えめで野菜たっぷり、とてもヘルシーだ。毎日食べていたら、むしろ痩せて肌もキレイになりそう!

インド人女性のふくよかなイメージとは裏腹に、とってもスリムなJDさんの姿がそれを証明している

近年注目の高まる「ドーサ」はこちら!

かつては日本のインド料理店といえば北インド料理中心だったが、近年どんどん南インド料理への注目が高まっている。その中でも、インパクトのある見た目に惹かれるのが”ドーサ”だ。

前へならえ、をした手の幅よりも大きなドーサ

こちらは、クルッと巻かれたクレープのような”ドーサ”が楽しめる「マサラドーサ」(1000円)。ナンの変型判のように見えるが作り方は結構違って、水に浸した米とレンズ豆を潰したものを数時間寝かせて生地にするのだそう。そのため、細かい気泡があって、生地自体に発酵による酸味がある。

いろんな大きさのものがあるが、「びっくりしてほしいから」と大きめのサイズにしているとか。「みなさんワオ!って言います」とJDさん
ちなみに、日本ではひよこ豆と呼ぶが、インドでは「チャナ」と呼ばれ、インド人にとっては特にひよこに見えるわけではないという

生地をパリッと割って開くと、中にはじゃがいもやひよこ豆を使ったフィリングが。このフィリングだけでもウマイのだが、サクサクしたドーサにのせて食べるのがやっぱりおいしい。

タイ料理では「プーパッポンカリー」というカニのカレーが知られているが、インドでカニというのはちょっと意外な感じ

さて最後は、ちょっと意外な、カニを使ったカレーをご紹介。インドでも海沿いの地域ではカニはポピュラーな存在で、魚ではマナガツオもよく使われるのだそう。

一晩で20人ほどのオーダーが入ったこともあるという人気メニュー

チェッチイナドクラブセット」(1700円)は、ワタリガニのマサラ炒めの奥に、カニを煮込んだカレーがつくというカニづくしのプレートだ。その奥にあるのは、辛酸っぱい“ラッサム”というスープのような料理。サラダとバスマティライスに加え、薄く焼いたパンのような料理“チャパティ”がつく。

チャパティは主にレストランで食べられるナンとは違って、家庭で焼くとても身近なものだそう
JDさんはとても知的かつにこやかで、ステキな女性

JDさん、家では日本のカレールーを使ったカレーも作るそうで、お子さんも給食で肉じゃがなどを喜んで食べているという。日本のカレールーだとどれがおいしいですか? と聞いたところ、S&Bの「ゴールデンカレー」の名が。まさにインド人もビックリのおいしさというワケだ!


3軒目

「インド料理&バー ムナル」

ネパールとインドのカレーの魅力が詰まった「飲める」店

最後にご紹介するのは、インド料理とネパール料理が味わえる「インド料理&バー ムナル」。

瓦屋根風の外観に「一番搾り」の提灯がぶら下がり、一見日本の料理屋にも見えるが、インドとネパールの国旗が看板に描かれているのが見える

こちらのオーナ―は、インド人ではなくネパール人のアチャリア・ヴィッディアさん。

ものすごく優しいジェントルマン、アチャリア・ヴィッディアさん

とても日本語の堪能な方で、かつてサウジアラビアで仕事をしていた時期もあり、ネパール語、ヒンディー、日本語、英語、パキスタン語、そしてアラビア語も少し使えるというものすごくインターナショナルな方だ。

西葛西にはインド人だけでなく、ネパール人も結構いるらしく、アチャリアさんの親戚や友人も西葛西在住経験があるという。せっかくなので、ずっと気になっていた「インド料理とネパール料理って何が違うの?」という質問をぶつけつつ、両国の料理をオーダーしてみよう。

ネパールで人気のインド料理とは

ネパールでもインド料理はとてもポピュラーだそう

というわけで、まずはインド料理をオーダー。ネパールの人の間で人気のインド料理をお願いしたところ挙がったのが「タンドーリセット」(1290円)。2種のカレーとチーズナン、日本米のライス、サラダとドリンクがセットになる。

ネパール人に人気のインドカレーはマトンマサラとバターチキンだということで、その2種類をチョイスした
釜で焼くタンドリーチキンもセットに加わる
日本米の粘りにも負けない、マイルドかつ味の輪郭がハッキリしたカレー

店によっては、カレーの種類ごとの違いがあまり感じられない場合があるけれど、こちらのお店のカレーはどれも具材の味が際立っているのが印象的。特にマトンマサラは肉の旨味がしっかりカレーに溶け出し、具も大きくて満足度大! バターチキンカレーはマイルドながらも、トマトの酸味がクッキリしている。

ネパール料理を通してインド料理を知る

インド料理とネパール料理は、使うスパイスなどは基本的にあまり変わらないが、ネパールではインドに比べると唐辛子の使用量を抑えめにしたりと、辛さを抑えてマイルドに仕上げるのが特徴だそう。

金色に輝くずっしりした食器の重さも手に嬉しい

続いて、ネパールっぽいカレーをお願いします! とお伝えしたところ登場したのが、ネパールの定食のような料理「ダルバート」(1700円)。手前左の豆のスープのような”ダル”と、米飯を意味する”バート”がセットになった料理。漬け物のような料理”アチャール”やベジタブルカレー、サラダもセットになっている。

ダルは素朴なホッとする味だけれど、ほどよい酸味がアクセントとなり、しっかり印象に残る味。そして特に印象的だったのが、手前右のアチャールだ。きゅうりやにんじん、じゃがいもなどをごま、クミン、レモンジュース、ターメリックなどに漬けて作るそうで、メインを張れるほどの食べ応えだった。ライスは白いごはんも選べるけれど、ぜひこの写真のクミンライスをオーダーしてみてほしい。ふんわり香るクミンと、ふっくらしたピラフっぽい炊き方がとても絶妙だ。

インド&ネパールのお酒を楽しむ

ネパールのお酒に混じって「浦霞」のボトルも。飲めるインド料理店としても重宝されている

かなり満足してしまったところで、インドとネパールの飲み物事情についても聞いてみた。

アチャリア・ヴィッディアさん
アチャリア・ヴィッディアさん
「インドではラッシーに塩を入れますが、ネパールでは入れないのが普通。ちなみにお酒だと、ネパールではビールよりもウォッカやラムが人気です」
甘さの奥に大人の苦みが効いた「ラムラッシー」(500円)

そんなお話を聞きながら、人気のドリンク「ラムラッシー」を注文。その名の通り、ラッシーにラムを加えたものだ。喉の奥で、ラムのほろ苦さがかすかに広がるのがなんともたまらない。家でも作ってみたくなるおいしさだ。


子連れの女性から、昼間に酒を飲んでいるおじちゃんたちまで、多種多様な人が行き交う

西葛西は、大久保のコリアンタウンのように一目でパッとわかる移民街ではない。でもじんわりと、周辺国の文化を巻き込みながらインドの風が渦巻いている街なのだ。ぜひお気に入りの一軒を見つけに、訪れてみてほしい。


取材・文/増山かおり
撮影/スパイスマジック カルカッタ 南口店=田渕日香里、アムダスラビー=遠藤 分、インド料理&バー ムナル=ミヤジシンゴ、その他=増山かおり

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