戦国時代の姿に思いをはせる 滋賀・長浜市「小谷城跡」

戦国時代の姿に思いをはせる 滋賀・長浜市「小谷城跡」

2017/10/25

戦国大名・浅井氏が3代にわたって居城としていた小谷城。天正元(1573)年、織田信長との戦いに敗れて落城し、その後、廃城となった。城跡は昭和12(1937)年に国の史跡に指定され、平成7(1995)年には清水谷地区が追加指定された。

中広

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地域住民によって組織された保存団体「小谷城址保勝会」

小谷城は標高495メートルの小谷山に築かれた、戦国時代の代表的な山城だ。規模は壮大で、小谷山の南に広がる清水谷を挟む、東西の尾根に曲輪群が築かれていた。急峻な地形を巧みに利用しながら土塁や空堀、曲輪などを配置した、非常に攻めがたい城であった。その堅固さは、織田信長が城を落とすのに3年かかったことからもうかがえる。

廃城後、草木に埋もれていた小谷城跡の保護活動は、大正5(1916)年に始まる。小谷山が民間に払い下げられることになり、小谷村会議が城のあった尾根一帯を村有地として、保勝区域に設定した。

大正13(1924)年、小谷城址保勝会が発足。昭和12(1937)年4月17日には、国の史跡指定を受けた。昭和45(1970)年から50(1975)年にかけては、発掘調査を含む環境整備事業が実施された。

小谷城バスの発着地「戦国ガイドステーション」から仰ぎ見た小谷山

櫓や石垣の一部は長浜城などに転用され、城跡に建物は残っていない。しかし、整備された登山道に沿って巡れば、尾根に連なる「本丸」「京極丸」「山王丸」などの曲輪群や土塁、石垣、堀切などの遺構から、往時の小谷城の姿を十分思い描くことができる。

史跡の保存・維持管理に中心的な役割を担ってきたのが、小谷城址保勝会である。地元住民ら600世帯以上が会員として、草刈りをはじめ、案内道標や説明看板設置など登山道の整備、昭和天皇大典記念植樹林(楓・桜・檜)の手入れ、山桜苗木の植林などを行ってきた。現在も夏と秋、年2回の清掃奉仕作業は欠かさず続けられている。

黒金門跡の手前にある首据石。天文2(1533)年、浅井亮政は今井秀信を神照寺に誘殺し、その首をこの石の上にさらしたと伝えられる

浅井氏と小谷城を中心とした、地域の歴史遺産の活用を図る

小谷城址保勝会は史跡の活用や保護啓発、顕彰活動などにも取り組んでいる。絹本著色浅井長政像(滋賀県指定文化財)など文化財の収集、小谷城戦国まつりの開催、書籍・資料類の発行、浅井氏と同盟を結んだ縁から朝倉氏遺跡保存協会(福井市)との交流、小谷神社の再建などと幅広い。

平成22(2010)年からは、小谷城戦国歴史資料館の指定管理者として館の運営にも携わっている。同館は、小谷城跡を生かした地域活性化の拠点施設として、平成19(2007)年、湖北町児童館を改修して開館された。館内には浅井長政やお市の肖像画、小谷城の復元ジオラマ、城の絵図、城跡からの出土品などが展示されている。この7月には、上空からレーザーを照射して測量した小谷城跡の図が加わった。レーザーは樹木をすり抜けるために正確な形状がわかり、新たな曲輪も見つかったという。

浅井氏供養塔。昭和47(1972)年、浅井氏400年祭に際して建立された
谷城址保勝会会長の高橋文雄さん
谷城址保勝会会長の高橋文雄さん
「城跡を訪れた人からは、眺望は素晴らしいが何もないんですね、という声をよく聞きます。ぜひ、登城前に資料館へ立ち寄ることをお勧めします。資料館では友の会を設立して、館や城跡でのガイドを始めました。小谷城の歴史や特徴、構造などを知って登るだけでも、見方や感じ方が違ってきますよ」

ガイドは自説や地域に残る言い伝えなどを交えながら、見どころを楽しく解説することで評判も高い。春の大型連休や夏休み期間、紅葉の時季には、地元の小学生たちによるガイド隊も登場。地域をあげて、小谷城の魅力を発信している。

現在、御屋敷跡と周辺地域の調査が進められており、長政とお市、浅井3姉妹が暮らしていたとされる屋敷からどんな発見があるのか、期待が寄せられている。

資料館では、浅井氏の肖像画や遺物、小谷城の復元ジオラマなどを展示。当時の城の様子を学ぶことができる

小谷城こどもガイド隊

長浜市立小谷小学校の5、6年生が務める小谷城こどもガイド隊。元校長の伏木正和さんの発案で5年前に結成された。「強制ではなく、毎年応募をかけるのですが、今年は5、6年生の全38人がガイド隊に入ってくれて、とてもうれしかったです」

子どもたちは、伏木さんや地域の歴史文化ボランティア(亀花クラブ)が制作した、小学生向けの『浅井氏三代と小谷城』で、浅井氏や小谷城の歴史について学ぶ。ガイドの心構えの基本「笑顔」「挨拶」「大きな声」も練習を重ね、本番のガイドに臨んでいる。5年生は担当する場所が決められ、観光客が来ると説明を行う。6年生は観光客と一緒に歩きながら、各所を紹介していく。

観光客と一緒に城跡を巡りながらガイドする6年生。「マニュアルを基本にしつつも、工夫を凝らした自分なりのガイドができるようになれば」と伏木さん
小谷城こどもガイド隊指導者 伏木正和さん
小谷城こどもガイド隊指導者 伏木正和さん
「ガイド隊の活動を通して、自分たちが暮らす地域にはこんなに素晴らしい歴史や史跡があるんだと、郷土に誇りが持てる子どもになってほしいです。また、小谷小学校は過疎化によって徐々に児童数が減少し、仲間内だけの交流になりがちで、引っ込み思案な子どもが多い。外に向かっての発信ができるようになってほしいという思いもあります」

ガイド活動は年間10回程度。今年度は春と夏の活動をすでに終え、あとは紅葉シーズン(11月3日〜26日)の小谷城バス運航日の内、4回ほど実施する予定だ。

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