県民からの信頼が厚い 奈良老舗の「柿の葉すし」

県民からの信頼が厚い 奈良老舗の「柿の葉すし」

2016/05/23

柿の葉すしは、奈良県民の大好物。家族で祝う記念日のごちそうや行楽弁当、酒のつまみにはもちろん、手みやげや贈答品にも迷わず柿の葉すしを選ぶという人は多く、県内では多数の専門店が味を競い合う。どこの店で買うか迷ったら、まずは「たなか」を選べば間違いないだろう。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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ルーツは、料理上手の妻が作った柿の葉すし

まだ交通網や冷蔵技術が発達していなかった江戸時代、海のない奈良県において、魚は貴重品だった。そこで人々は、日持ちするように魚を塩で締め、酢を加えた握り飯に添えて、乾燥しないように柿の葉でくるんだのだとか。

現在では、保存食の域を超えて、奈良が誇る名産品として親しまれている「柿の葉すし」。県内には多数の専門店があるが、なかでも「柿の葉すし本舗 たなか」は、最もポピュラーで、県民からの信頼が厚いブランドの一つと言える。

「柿の葉すし本舗 たなか」五條本店では、柿の葉すしだけでなく、お菓子や素麺、佃煮、調味料などの地元の名産品も扱っていて、ここだけで奈良みやげがひととおりそろう

「柿の葉すし本舗 たなか」の創業は、明治後期。当時、大工の棟梁をしていた田中徳松は多くの職人を抱えていたが、彼らの食事は、徳松の妻ヨシがまかなっていた。ヨシの料理は職人の間で評判がよく、そのことがきっかけで、ヨシは、国鉄五条駅(現在のJR五条駅)の駅前に食堂を始める。ここで作っていた柿の葉すしが、「たなか」の味のルーツなのだそう。

後に食堂は、徳松の孫である現相談役、田中修司に引き継がれる。今度は、その妻、孝(たか)が作る柿の葉すしが地元の名物となり、大阪や神戸からも客が買いに来るほどに。1973(昭和48) 年には、柿の葉すし専門店として、会社を設立するに至る。

「柿の葉すし」(1048円)はサバ・サケの2種入り。一つ一つ柿の葉にくるまれた姿は風流で気持ちを和ませてくれる。五條から隣の西吉野にかけては柿の名産地であったため、身近にあった柿の葉が使われたという

寿司飯に最適な特別栽培米の「日本晴」を使用

サバのコクと塩加減、米の酸味、そして柿の葉の香りが絶妙なバランスでまとまっているのが、「たなか」の柿の葉すしの特徴だ。しょっぱすぎず、後味がさっぱりしているので、飽きずにいくつでも食べられる。

「この味を出すために、素材にはかなりこだわっています」と話すのは、五條本店・店長の北川さん。「お米は、滋賀県東近江市蒲生の生産者と契約して、特別栽培米の『日本晴』を柿の葉すしのために作ってもらっています。日本晴は寿司飯向きの品種で、酢を混ぜて重石をきかせても、粒がしっかり残るんです。サバは国産にこだわり、ほどよく脂の乗ったものを全国から厳選しています」。

ちなみに、「たなか」の柿の葉すしの消費期限は、製造日を含めて3日だが、一番の食べごろは2日目だそう。「ひと晩寝かせることで、寿司飯にサバの旨味と柿の葉の香りが染み込んで、塩の味もまろやかになります」と北川さん。早速試してみたい。

五條本店は、重要伝統的建造物群保存地区に指定された観光スポット、五條新町通りにほど近い。「街歩きやドライブのご休憩に、ぜひお立ち寄りください」と店長・北川さん

※掲載の内容は2016年5月時点の情報に基づきます。
※2019年5月に店舗(住所、電話番号、営業時間など)、メニュー、料金などの一部情報を更新しました。

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