福岡ならでは? 名物駅弁「かしわめし弁当」の秘密に迫る!

特集

一度は食べてみたい全国の人気駅弁【西日本編】

2017/11/23

福岡ならでは? 名物駅弁「かしわめし弁当」の秘密に迫る!

全国で開催される駅弁の即売会でも人気を博す、折尾駅(福岡県北九州市)の駅弁「かしわめし弁当」はなんと100年近く続くロングセラー商品だ! そんな歴史ある駅弁を手がける株式会社 東筑軒に、その誕生秘話やおいしさの秘密などを聞いてみた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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北九州の駅弁の老舗・東筑軒に潜入!「かしわめし」の秘密を探る

ご飯に“かしわ肉”や錦糸卵、海苔がのる「かしわめし弁当」

「かしわめし弁当」と聞いて、みなさんはどんな弁当を想像するだろうか。そもそも「“かしわ”って何?」という人もいるかもしれない。

「かしわ」とは鶏を指す呼称で、「かしわめし」はわかりやすく言えば鶏の炊き込みご飯のこと。鶏肉を「かしわ」と呼ぶのは日本原産のニワトリ「黄鶏(かしわ)」に由来しており、西日本を主とする一部地域では今でも「かしわ」の呼び名が残っているのだ。

そんな「かしわめし」を扱った名物駅弁が、福岡県北九州市にある。その人気の秘密を探るべく、製造・販売している株式会社 東筑軒に話を伺った。

\目次はこちら/

1.「東筑軒」とは? その歴史やこだわりを聞いてみた
2.「かしわめし弁当」の製造工程を潜入取材!
3.東筑軒の人気駅弁3選

1.「東筑軒」とは? その歴史やこだわりを聞いてみた

大正10年創業! 北九州市・折尾が誇る駅弁の老舗

株式会社 東筑軒の本社。JR九州の鹿児島本線と筑豊本線が通る折尾駅。株式会社 東筑軒は、その西口のすぐ目の前に本社を構えている

創業者は、当時国鉄の門司運転事務所の所長を務めていた本庄巌水(いわみ)さん。仕事などで全国をめぐるうちに各地の駅弁がどこも同じものであることに気づき、福岡らしい弁当を出そうと大正10年「筑紫軒」という名前で、折尾駅で立ち売りによる弁当販売をスタートさせた。

「東筑軒」という社名は、昭和17年に国政により一帯で営業していた複数の駅弁会社を統合する際に改めて名付けられたものだそうだ。

社内には折尾駅での立ち売りの様子を写した写真や、購入者からの感謝の手紙なども飾られている

「筑紫軒」時代や昔の写真は、残念ながら残っていないとのこと。ただし、東筑軒の看板商品である「かしわめし弁当」は、この「筑紫軒」時代に誕生したものだという。

東筑軒本社の様子。手前のカウンターから弁当の注文ができる

鶏の水炊きが名物であるように、昔から鶏肉が好んで食べられていた福岡。創業者の本庄さんはその土地柄に着目し、鶏のスープで炊いたご飯に鶏肉と卵をのせた「かしわめし」を開発。当初は「親子めし」と呼んでいたが、声に出すと「親殺し」に聞こえてしまうため「かしわめし」という名前に変更したそうだ。

折尾駅のホームで今も続く、東筑軒の“弁当の立ち売り”

折尾駅で駅弁の立ち売りを行う、東筑軒の小南英之さん

「かしわめし弁当」と並ぶ東筑軒の名物が、創業時から続く“弁当の立ち売り”だ。駅構内での立ち売りは現在では全国的にも数が少なく、古き良き時代の名残を留める貴重な情景でもある。現在立ち売りを担当している小南さんに話を伺った。

小南英之さん
小南英之さん
「東筑軒の立ち売りは創業時からの伝統のようなものです。代々続いていたのですが、2011年に立ち売りの前担当者が体調を崩してしまい、その後2年間ほど折尾駅のホームに立ち売りがいない時期が続いていました。そんなとき、『立ち売りをやってみないか』と私に声がかかったのです」
電車が停車するたびに「かしわめしー」とホームに声を響かせる

もともとは東筑軒の配送業務を担当していた小南さん。声をかけられた当初はどうするべきか迷っていたそうだが、最終的には自ら立候補して立ち売りの担当になったという。

小南英之さん
小南英之さん
「大学卒業後、最初の就職先は仏壇メーカーの営業でした。原点回帰というわけではないのですが、もう一度お客さんと直接向き合う仕事もいいかもしれない、と思ったのです。それに、東筑軒の立ち売りがいない折尾駅はなんだか寂しかったんですよね」
10~15個の弁当が入る木箱は、重さ10kg以上。「始めた当初は30分で疲れ果てていました。今ではこの重さにも慣れましたね」と小南さん

立ち売りで1日に売れるのは10~30個ほどだという。「ネットが発達して何事も便利になった世の中だからこそ、あえてこのアナログな“立ち売りの文化”を残していきたいですね」と力強く話してくれた。

なお、立ち売りは折尾駅の4・5番ホームで行われている。時間は8:30~16:00ごろ、毎週水曜は休みなので注意。

駅弁の販売以外に、電車を待つ人々と交流を図ることもあるという。取材中には門司港へ向かうという青年が駅弁を購入していた

2.「かしわめし弁当」の製造工程を潜入取材!

これほどまでに歴史がある「かしわめし弁当」。ロングセラーの秘密を探るべく、今回特別にその製造工程を見学させてもらった。白衣とキャップ、長靴を装着していざ潜入!

「かしわめし弁当」はこうして作られている!

“かしわ肉”の調理場の様子

まずは、「かしわめし弁当」に欠かせない“かしわ肉”の製造スペースから。かしわ肉とはご飯にのる鶏のほぐし身のことで、下ごしらえや味付けなどの作業は主にここで行われている。

厳選された九州産の鶏肉を大釜で2時間以上じっくりと煮込むところから調理スタート。煮込み終わったら鍋から取り出し、一旦冷蔵してからスライサーで細かくカットされる

鶏肉を取り出した大釜にはそのまま鶏ガラが投入され、再度煮込むことで鶏の旨味を最大限に抽出。数日かけて火入れと寝かす作業を繰り返し、最後に“秘伝の調味料”と合わせて完成するこのダシ汁は、ご飯を炊く際に使用されるものだ。

鍋から上げて冷蔵で一晩寝かした鶏肉は、水分がなくなるまで煮詰め味付けされる。ここでかしわ肉の味が決まるため、熟練の技を持つスタッフのみが作業を行える

味付けと並行して、かき混ぜながら皮など身以外の部位の除去が手作業で行われる。これもかしわ肉の独特の歯ごたえを生み出すための大切な作業だ。

味付け後は専用のトレイに詰め、再び火入れなどを行いながら2~3日寝かす。大釜一つで、弁当2500個分ほどのかしわ肉を作ることができるそうだ

次はご飯を炊くスペースへ。1つあたり約6kg(約42合)の米を炊ける釜が壁一面に並ぶさまはなかなかの迫力。これを1日平均50~60釜分炊き上げるという。

配送にあわせて、列ごとに炊き上がり時間が設定される。タイミングの都合、残念ながら取材時は炊き上がりに遭遇できず・・

「かしわめし弁当」の盛り付けはすべて手作業。各スタッフの手際のいい仕事により、ベルトに乗った“かしわめし”が見る見るうちに“かしわめし弁当”へと姿を変えていく

刻み海苔、漬物、かしわ肉、錦糸卵の順で盛り付けられると見覚えのあるあの姿に!
蓋をし、包装紙を付けたら完成。弁当は作られたすぐそばから次々と配送されていく

ところで、“秘伝の調味料”って?

工場内にある“秘伝の調味料”の調合場所。トビラには「マル秘」「門外不出」「関係者以外の入室禁止」と書かれた紙が貼られている

かしわめしのレシピは、創業のころから変わっていない。“秘伝の調味料”についても同じで、これは創業者の妻・スヨさんが開発したもの。社内でもその配合比などを知っているのはごくごく一部のみという、東筑軒イチの企業秘密だ!

3.東筑軒の人気駅弁3選

パッケージにもこだわった、開ける前から楽しい駅弁ばかり!

最後に、東筑軒が誇る人気商品をピックアップ。定番や予約が必要なものなど、3品を紹介する!

「かしわめし弁当(大)」(770円)

折尾駅を中心にJR線の駅名や周辺の名所などが描かれたパッケージがかわいらしい

創業当時から愛される、東筑軒の定番中の定番!

こだわりのダシで炊き上げたかしわめしに、かしわ肉、錦糸卵、海苔が綺麗に盛られた看板商品。地元の人が持ち帰りで購入したり、お土産用にまとめ買いされたりと駅弁の枠を越えて愛される駅弁だ。

整列したかしわ肉、錦糸卵、海苔が食欲をそそる!
ダシが香るご飯と、噛むほどに味が溢れるかしわ肉が愛称抜群。濃い目のかしわ肉、あっさり目の錦糸卵や海苔とバランスもいい
小南英之さん
小南英之さん
「本社や直営店のほかに、折尾駅構内の立ち売りでも購入できますよ。添え物は漬物オンリー。シンプルだからこそ長く愛されているのかもしれません」

「大名道中駕籠かしわ」(1030円)

容器や箸入れで大名駕籠(かご)を模したユニークな二段弁当

見た目も楽しい、ボリュームたっぷりの二段弁当

定番のかしわめしにおかずが付いた、名前の通りに贅沢な一品。かしわめしやおかずが両段にぎっしり入っており、ボリュームもしっかり。

有頭エビ、白身魚のフライ、煮物などおかずは約8種とたっぷり。かしわめしは下の段に詰められている
小南英之さん
小南英之さん
「『かしわめし弁当じゃ足りないよ』という人にはこちらをおすすめします! 駅弁では珍しい二段組で、見た目の通り中身も豪華です。立ち売りでも取り扱っていますよ」

「新・驛(えき)物語」(1030円)

今では見ることができなくなった、旧折尾駅舎(東口)の写真をパッケージに採用

かつての折尾駅の姿がパッケージに!

創業時から折尾駅とともに歩んできた東筑軒ならではのデザインが話題。かしわめしと白ご飯のどちらもが入り、おかずも揚げ物、煮物、漬物までが詰められ食べごたえあり。

かしわ飯に白ご飯、揚げ物に煮物と内容盛りだくさん!

こちらは「かしわめし弁当」「大名道中駕籠かしわ」の2つとは違い、取り扱いは直売店のみ2日前までに予約が必要なので注意しよう。

このほかにも季節限定の弁当やオードブル、5~6人前のかしわめしを詰めたものなど多彩な商品を販売。商品のラインアップは、東筑軒のホームページでも確認できる。

電車での旅のお供に、今度は「かしわめし」を選んでみてはいかが?

株式会社東筑軒 折尾本社売店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

取材メモ/福岡市在住の私自身も、なんだかんだ1年に1回は食べている「かしわめし弁当」。なじみのある駅弁だっただけに、「こんなに歴史のある商品だったのか!」と驚きの取材となりました!

取材・文=廣田祐典(シーアール)/撮影=長崎辰一

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