焼肉探究ユニット「YAKINIQUEST」に聞く焼肉の流儀

焼肉探究ユニット「YAKINIQUEST」に聞く焼肉の流儀

2017/11/29

「『YAKINIKU』を世界の言葉に」を合言葉に約20年前から活動している「YAKINIQUEST」というユニットをご存知だろうか。焼肉をこよなく愛し、全国各地に肉遠征に行く姿勢は肉LOVERたちの尊敬を集め、半ば伝説となっている彼ら。今回は5人のメンバーのうち2人に話を伺った。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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焼肉を楽しむための「焼奥義」も動画で紹介!

メンバーのYL氏(左)とQD氏(右)

YAKINIQUEST(ヤキニクエスト)が結成されたのは1998年。当時は別の名前(焼肉振興会)として活動をスタートし、2004年からYAKINIQUESTと名乗るようになったそう。5人のメンバーはコードネームを名乗り、日々焼肉への愛を深めているという。

2015年にはシンガポールに、メンバーの2人が現地で経営する焼肉店『BEEF YAKINIKU DINING YAKINIQUEST』をオープン。日本の食文化である焼肉の魅力を、シンガポールでも発信し続けている。

YL氏
YL氏
「今でも年間200回前後は焼肉屋さんに行きますね。コードネームのYLは、YAKINIKU Loverの略です」
QD氏
QD氏
「僕も週に1回以上は食べています。QDの由来は、旧焼肉振興会広報部のディレクターだったので、Q(旧)D(ディレクター)。もしくは自分のニックネームの頭文字+QUESTのQを合わせてQDです」

YAKINIQUEST直伝!焼肉を10倍おいしく食べられる3つの法則

1.焼肉は自由だ! 「YAKINIKU」の楽しさを世界に広めたい
2.注文の順番は味の濃さが決め手
3.焼奥義を活用すべし

1.焼肉は自由だ! 「YAKINIKU」の楽しさを世界に広めたい

焼肉屋で肉を焼くとき、「あまり触れないほうがいい」という人もいれば、「気にせず触ってOK」という人もいる。YL氏は「焦がさなければどっちでもいい」と言う。焼肉の楽しさは自由であること。だから焼き方は個人の自由なのだ。

2人の焼肉へのこだわりは尽きることがない

考えてみれば、料理の仕上げを客が自ら行う料理は非常に少ない。しかも、自分好みに仕上げることができるのは、焼肉のみに許された特権だ。体調によって食べられる量も違うし、店によってタレの味は異なる。もちろん、仕入先や牛の種類、部位やカットによっても全く違った味を楽しめるのは、焼肉ならでは。シンプルな料理なのに毎回新しい発見があるので、飽きずに探究し続けられるのが魅力だとQD氏は語る。

YL氏
YL氏
焼肉は自由だからこそ、「自分の肉は自分で焼く」という規律が必要。逆にいえば自分が参加できる楽しさがあります。大人数での焼肉も楽しいけど、網一面を贅沢に使って一人で焼く喜びもあります」
QD氏
QD氏
「僕にとっての焼肉は『音楽』です。肉とタレが交わって醸し出すハーモニー、部位の連続がアルバムのようになっていく感じですね。日本だからこそのバリエーションの豊かさもあり、たとえ同じ店で何度食べていても飽きません」

2.注文の順番は味の濃さが決め手

さっぱりとした塩の肉(イチボ)から注文

焼肉店でコースを頼む場合は悩まなくて済むが、アラカルトでオーダーする場合、どのような順番で頼めばいいのだろうか。何となく「タンから」と思う人も多いだろうが、基本となる考え方を教えていただいた。

YL氏
YL氏
「店によっても違いますが、一般的にはさっぱりしたもの(塩)から濃いもの(タレ)の順にオーダーする、そしてその順に食べることが多いです。寿司と一緒の考え方ですね。
タレの肉を後にするのは、むやみに網を汚さないためという意味もあります。個人的にはアラカルトのほうが自由度が高いので好きです」
QD氏
QD氏
「予算の制限がある場合、高級な肉を先にオーダーしたほうが幸福感・満足感が一気に上がるので、ROI(投資利益率)=コスパを高く感じると思います。オーダーの際の工夫として、オススメです。

生肉を提供できる店では、ユッケが焼き物より先に出てくることが多いですが、寿司屋で刺身が出てくるのと同様、前菜的な役割を果たしているんですよ」
タレの肉(トウガラシ)も前菜より先にいただく
YL氏
YL氏
「前菜といえば、初めて訪れる店で最初にキムチを食べてしまうと、タレの味が分からなくなるので、付け合せで出てきても僕は後回しにします」

3.焼奥義を活用すべし

焼肉は客が自ら仕上げる料理ということは先ほど述べた。つまり、自分好みの肉にするのは自分のテクニックに委ねられている。

焼奥義とは、YAKINIQUESTのメンバーが毎月実施していたMEATING(誤植ではない。MEAT=肉とかけている)で開発した焼き方のテクニックだ。10種類以上ある奥義の中から、今回は6つ披露してもらった。

まずは、動画でチェック!


1.鶴の構え(つるのかまえ)

網の上の肉の変化に即対応できるよう、まるで鶴のように箸を構えることからこの名前がついた。火の近くでスタンバイすることで、肉を火から遠ざけたり、ひっくり返したりと素早く動くことができる。

腕や手が熱くないのか心配になるくらいの近さだ
2人の箸さばきの素早さ・美しさは、すごいの一言
YL氏
YL氏
「車のハンドルと一緒で、目を離してはダメです。トングがあっても、細かい動きに対応するため、箸を使うことが多いですね。自分の肉は自分で焼くのが基本なので、直箸でも問題ないと思います」

2. RRS(あーるあーるえす)

薄切りの肉をくるくる巻いて焼く技。RRSとは「Rolling Roast Special(ローリング・ロース・スペシャル)」の略。

こうすることで、中に肉汁を閉じ込め、外はしっかり、中はレアに焼き上げることができる。ミルフィーユ状の肉を口に入れた瞬間、肉汁が口いっぱいに広がり、今まで味わったことのない不思議な食感を楽しめる。

用意された大判のサーロインを器用に巻く
焼きあがった肉の断面。内側がほんのりピンク色なのがわかる
QD氏
QD氏
「ポイントは、きつめに巻くことと、巻き終わりの部分を先に焼くことです。こうすることで、焼いている最中にほどけないようにできるんです」

3.ブリッジ(ぶりっじ)

ある程度の厚みがある肉をU字状にして焼く技。火の通りにくい肉の端までしっかり火が通り、焼きムラを減らすことができる。

ブリッジした肉を「鶴の構え」で待ち構える2人
端まで均一に焼きあがった
QD氏
QD氏
「ブリッジすることによって下から炙られる形になるので、燻煙効果も期待できます。肉汁が漏れ出す端を先に焼くことで、肉汁も閉じ込められる技です」

4.追いダレ(おいだれ)

焼く前に皿の上のモミダレを肉の表面にまんべんなく浸してから焼く技。こうすることで、均一に味付けができ、つけダレを使わなくても充分に味わうことができる。

今回使ったのはトウガラシ。皿の上のタレ両面を浸す
肉汁とタレが入り混じってキラキラしているのがわかる
YL氏
YL氏
「つけダレが必要ないくらいたっぷり追いダレすることで、つけダレに肉汁が逃げないのが良い点。ただし、モミダレとつけダレの味が異なり、2つのタレのマリアージュを狙っている店では、追いダレせずにつけダレにつけて食べます。初めての店では、実際にタレをなめて確かめたりするんですよ(笑)」

5.白金ルーレット(しろかねるーれっと)

大判の薄切り肉は焦げやすく、焼きムラも出やすいため、箸を網に突っ込んで180度回転させることでまんべんなく火を通す技。「180°(わんえいてぃー/網を180度回転させる)」の発展系。

特に炭火焼きの場合、火の強さが一定ではないため効果を発揮する
QD氏
QD氏
「箸を突っ込んで、ぐっと力を入れると意外にすんなり回ります。ただ、何度も回す必要はなく、1回でOK。180度回転させることで火の当たり方は変わりますから」

6.新技! Zミート(ぜっとみーと)

焦げやすい大判の薄切り肉を皿の上でZの形に3つ折りにし、網の上で一気に広げる技。裏返すときも同様に、折りたたんでからひっくり返して広げる。

Z型に折りたたまれた肉
今回はRRSで使ったのと同じ、大判のサーロインを用意いただいた
YL氏
YL氏
「これはYAKINIQUESTのサイトにも載せていない新技です。この技によって、焼きムラ無く、焦がさず、重ならずに焼き上げることができます。折りたたむのが最初は難しいかもしれませんが、練習する価値ありの技ですよ!」

今回紹介した奥義は、今日からすぐに試せるものもあれば、ある程度の練習が必要なものもある。しかし、奥義によって焼き上げられた肉は、肉そのものの美味しさを引き立てるとともに、今まで食べたことのないような至福の食感をもたらしてくれる。

焼肉は本当に奥が深い。今日もどこかでYAKINIQUESTのメンバーが、焼肉の自由さを満喫しているに違いない。

お話を伺ったのは横浜の人気店の新店「炭焼喰人 三宿店」!

国道246号線沿い、三宿交差点のそばに店を構えている

横浜市のセンター南で地元住民に愛されている『炭焼喰人』が、ついに東京に上陸。
2号店となる三宿店は、池尻大橋駅から徒歩約9分。窓には大きな牛の絵が描かれており、通りからも見つけやすい。

全33席。テーブル、カウンター席の他、店の奥に半個室がある
オープン前なのに快くご協力くださった山本大祐オーナー

センター南店にないメニューは、リブ系の肉とのこと。ナムルの種類も増やし、6種類から4つ選んでもらう形だ。木箱に入れられた塊肉も、部位や量を選ぶことができる。

取材メモ/私も肉が好きなのでNickと呼ばれていますが、伝説のYAKINIQUESTの2人の奥義には脱帽でした。焼肉業界のレジェンドたちの話を間近で伺うことができて、取材というより修行のような時間を過ごすことができました。焼肉道(!?)、奥深いですね!

取材・文:筒井 “Nick” 智子(リベルタ)、撮影:田中 和弘

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